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船橋に住む7人の幼馴染と26人の友人たちが過ごす2019〜2026の7年間

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国境警察との戦い/国境の町、カレーにて

2016-05-06 18:29:32 | 日記
「あなたのランディングカードは?

無表情に言ってくるのは、入国審査員のおばさん。「英語はわかる?
「少しだけ
「ペンは持ってる? 持ってないわね」そう言って、胸のポケットからペンを抜くおばさん。「書いてきなさい」と、窓際のカウンターを指差す。「Next!

ぼくはカウンターに向かい、ペンを取ったが、ペンを置いて、バスへ走り、iPod touchをとって駆け戻った。iPod touchには、PDFデータになった”ランディングカードの書き方”が入っていた
ランディングカードを書いて、再び列に並ぶ
待たせていたバスのおねえさんと運転手さんがやってきた。「何か問題?
「ランディングカードを忘れて。もう少し待ってて
「セキュリティの彼女に声をかけなさいよ」と、黄緑のジャケットを着た入国審査員とは別の、オレンジのジャケットを着た女性を指差す黒人のおねえさん
「もう少しだけ待ってて
「こいつかわいいな」と、ぼくの後ろにいたガタイのいい黒人のおにいさんが言った。「5分だけ待ってやれよ
頷くおねえさん、舌打ちする運転手さん
再び、同じおばさんの待つブースへ

硬い表情で挨拶を交わすぼくたち

「最後に利用した空港には、コペンハーゲンとありますが? 日本のどの空港から出国したのですか?
「成田です
「なんです?
「成田です。千葉、日本
「なるほど?

「所持金は?
ぼくはポケットからカードと、5.20€を取り出した
「なるほど? このランディングカードには、無職と書いてありますが? このクレジットカードはどうやって手に入れたのですか?
「働いている時に手に入れました
「働いている時?
「パートタイムで、ハウスキーパーの仕事をしていました。ホテルです
「ふんー、、、

「あなたは1人ですか?
「はい

「イギリスへの滞在は、3日間?
「はい

「観光の経路を教えてください
「コペンハーゲン、デンマーク。ヘルシンキ、フィン、、、
「待ってください」と、紙にペンを走らせるおばさん。「それで?
「ヘルシンキ、フィンランド。タリン、エスト、、、
「待ってください、、、。それで?
「タリン、エストニア。リガ、ラト、、、
「なんです? イタリア?
「タリンです。エストニア
「それで?
「リガ、ラトビア。ヴィリニュス、リトアニア」「待ってください?」「待ちません(日本語(早口版))。ポーランド、クラクフ、サンドミエシュ、ワルシャワ。オーストリア、ウィー、、、」「なるほど。わかりました

「滞在先は? このホテルで?
「ええ
「予約証明書はありますか?
「ええ」と、iPod touchを見せる
困ったように笑うおばさん。「日本語は読めないわ。まあ、いいでしょう

「帰りのバスチケットはありますか?
「あります」と、差し出すぼく。
「なるほど。旅の始まりはいつですか? いつ頃日本を出国致しましたか?
「2/15です
「2月?
「2月の、15です
「いつ頃日本へ帰りますか?
「5、9。5月の、9日です
「航空券はありますか?
「あります
「見せてください
「あぁ、、、
「なんです?
「それは、無理です
「なぜ?
「持ってないからです。いや、持ってはいるんですけど、Eチケットって言って、インターネット上にありまして
「なるほど。つまり、航空券を見せられないと?
「紙は持ってません。でも
「答えなさい。YesかNoよ。Butは認めないわ
「持ってません
「結構、そこに座ってなさい」と、窓際のパイプ椅子を指差すおばさん
ぼくは、おとなしく座った。
ぼくを見てニヤつく白人のおにいさんや女の子たちに気がついた
入国審査を待つ面子だ
ぼくは、パイプ椅子を指差し、ニヤついた笑みを返した。
肩をすくめていると、おばさんがこっちにやってきた。「今、どうして彼らにニヤついたんですか?
「え? いや」おにいさんたちを見ると、真顔に戻り、目を泳がせていた。
「彼らは知り合いですか?
「いや。ただ、彼らがニヤついてきたから、ニヤつき返しただけで」
「知り合いではないんですね?
「はい

おばさんは、ブースに戻った
ぼくは、おばさんがぼくのパスポートやチケットをジップロックに入れ、封をするのを、ただ見つめていることだけしかできなかった
「あっち行けなかったら帰りどうすんだよ。歩けってか?
ぼんやり待つこと5分。
ブースに戻ってきたおばさんが、パスポートに赤いスタンプを押した
ぼくは頭を抱えた
次に、青いスタンプを押し、ランディングカードに何かを書くおばさん
こういう理由により入国を認めません、とでも書いているに違いない
こちらにやってくるおばさん。「3日でパリに帰るんですよ?
「行けるんですか?
「入国を認めます
薄く微笑むおばさん
ぼくは、彼女と握手をかわして、バスに飛び乗った

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