Zooey's Diary

本家サイトはブックマークの一番目の”Banana Fish's Room”です。

「ダンケルク」

2017年09月14日 | 映画


息苦しい映画です。
観終わった時には肩で息する、疲労困憊状態。

第二次大戦中、フランス北部ダンケルクの浜の、ドイツ軍に追い詰められた英仏軍40万人の救出作戦。
駆逐艦が救出に向かうも、空と海から次々と爆撃を受け、
ようやく乗り込んだ兵士たちも、再び戦局の海へ放り出される。



防波堤で救出を待つ兵士トミー、その兵士たちを救出に向かう民間船の船長ドーソン、
その救出を無事成功させるために空で戦う空軍パイロット、ファリア。
その3人が主な登場人物で、彼らの目線で物語は進むのですが
3人の性格も背景も、ろくに語られない。
特にトミーは、浜で悄然と救いを待つ、膨大な数の兵士のうちの一人に過ぎず、
ようやく船に乗れたと思ったら爆撃されて沈められ、
海に漂う重油で顔も真っ黒になり、他の兵士と殆ど見分けがつかなくなる。



まあでも、実際はそんなものなのだろうとも思います。
戦争において、歴史に残る、キャラの際立つ有名兵士はほんの一握りで、
殆どの兵士がトミーのように「その他大勢のうちの一人」で、
あのような状況においては訳も分からず、逃げ惑うしかないのだろう。
そして視聴者も、トミーと一緒に何度も海に沈められることになる。
ハンス・ジマーの、神経を逆撫でするような不協和音の音楽から逃げることもできず、
何度も溺れさせられ、息苦しいことこの上ない。



うっすらと対岸(イギリス)が見えるほどに近い所にいるのに帰国できないとは
どんなに悔しかったことだろう。
軍艦が次々に爆撃され絶望感漂う浜に、ユニオン・ジャックの小旗をはためかせた
無数の民間の小舟が近づいて来た時は、どんなに嬉しかったことだろう。
実際に、貨物船や遊覧船、漁船などの900隻もの民間船がこの時、救出に駆け付け、
この救出作戦は成功したのだそうです。
一般市民と兵士が協力して仲間を救おうという精神を「ダンケルク・スピリット」といい、
英国人の誇りとして、今も語り継がれているといいます。

あまりにも英国礼賛の作品で、多少鼻に付くこともあったのですが…
ようやくのことで救出されて、帰国した兵士たち。
勝つこともできず、民間人に助けられて帰るなんてと恥じ入る兵士たちを
生還できてよかったと、歓声や毛布や紅茶で暖かく迎える市民たち。
これが日本だったらどうだろう?とつい考えてしまいました。
お国の為に散ることが美とされ、あれだけの数の特攻兵を送り出した日本だったら…?



しかしあの、自分を犠牲にして敵機を攻撃し続け、ダンケルクの浜に不時着した
空軍パイロットのファリア。
戦闘機スピットファイアが燃え上がり、ドイツ兵に囲まれるところで
画面は終わってしまいましたが、あの後どうなったのだろう?
捕虜になったのならいいけれど、蜂の巣にされたりしなかったのかしらん?

クリストファー・ノーラン監督。
公式HP http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
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11 コメント

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スピリット (ノルウェーまだ~む)
2017-09-15 10:19:43
zooeyさん☆
何度も溺れて息が苦しい映画でしたね~
思い出すだけではあはあしちゃいました(笑)
監督はあえて戦争のヒーローを作らず群像劇にしたかったらしいので、主人公が見分けつかなくて正解だったのでしょうね。
何しろ人気グループ、ワンダイレクションのメンバーが入っているのに全くクローズアップもせず、あくまでも大勢の兵士の一人って扱いでしたものね☆
映画終わっても全く気付かなかったです、私(笑)
まだ~むさま (zooey)
2017-09-15 23:42:06
本当に苦しかったし、
気が付かなかった。
何しろみんな同じ軍服着てるし、真っ黒に汚れてるし。
ワン・ダイレクションどころか、トム・ハーディですら
私はよく分かりませんでしたわ。
でもよかったよねえ!
勇気ある撤退 (セレンディピティ)
2017-09-16 13:40:44
こんにちは。
ダンケルクの窮地に、数多くの民間船が駆け付ける場面
感動的でしたね。
それから最後のもどった兵士たちを温かく迎える場面も。

私は、これが日本軍だったら撤退など考えず
最後のひとりまで無駄に戦わせることになったのではないかと思いました。
ヒーローも登場しないし、撤退戦なのにもかかわらず
凛としたイギリス兵たち、みんなかっこよかったですね。
セレンディピティさま (zooey)
2017-09-16 23:51:18
>これが日本軍だったら撤退など考えず
最後のひとりまで無駄に戦わせることになったのではないかと思いました。

私もそれを思ったのです。
なんたって特攻兵を送り出した国ですから。
この映画では生きて帰ることが何よりも大事、という描かれ方でしたから
「恥ずかしながら帰ってまいりました」などという日本の復員兵の言葉は、理解されないだろうなあと。
Unknown (uribo)
2017-09-24 01:27:30
見損ねてはと思い23日夕方、映画館へ足を運びました。「ヒトラーのわすれもの」といい、最近、良質な戦争映画が立て続けに製作されていていい傾向だと思います。zooeyの関心が戦争映画に傾いているのも同様にいい兆候です・・・・参考になればと思い追加解説を致します。

本作ではダンケルクの奇跡が専ら英軍の視点から描かれていますが、侵攻作戦をめぐっては、ナチスドイツ内部で前線指揮官と上官との間に凄まじい対立があって、ヒトラーの仲裁で収まったという背景が存在します。結果、敵ドイツ軍による総攻撃は中止になりました。

ある意味、ナチスドイツの戦局の見誤りによってチャーチルが救われた格好です。映画では民間船舶が恰も兵士を大勢救出してドーバーを渡ったように描写されていますが、無傷の駆逐艦まで運搬したというのが真相です。小型船舶にあれだけ兵士を乗せてしまったら燃料が持ちません。船長役マーク・ライランス(ブリッジオブスパイのスパイ役も素晴らしかった!)の感情を押し殺した演技は秀逸でしたね。

そして、隠れたヒーローは名機スピットファイアに搭乗したパイロットたち。僅か3機しか制空権争いに加わらなかったのではなく実際はかなりの数の友軍機が結末のような運命を甘受したようです。救われた命の数の蔭に落命した大勢のパイロットがいたのです。
ついでに (uribo)
2017-09-24 01:56:03
チャーチル麾下の英国軍だけではなく、旧帝国陸軍にも栗林中将のほかにも立派な軍人さんが存在します。無名の兵士だけではなく将校のなかにも心ある指揮官がいたという事実を知ってもらい度、追伸です。

zooeyの母校の前身岐阜中学を卒業し陸士へ進んだ宮崎繁三郎中将は、インパール作戦の前例なき過酷な撤退戦で稀に見る統率力を発揮しました。

遅きに失した撤退命令がようやく下ると、山中、中将自ら負傷兵の担架を担ぎ(置き去りにしないで)、自身の食料まで兵卒に与えて大勢の兵士の命を救いました。「攻撃に際しては先頭を、退却では最後尾を」をモットーに率先垂範に努めた宮崎中将のような模範的な軍人がいたことはもっと知られていいのではないでしょうか。

uriboさま (zooey)
2017-09-26 22:28:11
岐阜に帰省していて返事が遅れました。

戦争モノは、まったく好きではないのですが
話題作は一通り観ています。
鑑賞後どっと落ち込むので嫌なんだけど
なんとなく観なくちゃいけないと思ってしまう、難儀な性格。

ダンケルク作戦の同時期に、カレーに取り残されていたイギリス軍は見捨てられたという
情報も得ました。
そりゃ戦争なんて、美談よりそうじゃない話の方が圧倒的に多いのでしょうね?

スピットファイアは私はかつて、スミソニアン航空博物館で見たのでした。
そんなエラい戦闘機だとは知りませんでしたが。

宮崎繁三郎中将のことも知らなかった。
あの私が大っ嫌いな学校にも、そんなエラい人がいたのか。
Wikiで見てみたら、
”岐阜中学を卒業後、陸士(26期)を卒業、席次は737人中230番”だって。
そこまで詳しく書かなくていいのにねえ?w
Unknown (なな)
2017-09-30 23:44:46
>戦争において、歴史に残る、キャラの際立つ有名兵士はほんの一握りで、
> 殆どの兵士がトミーのように「その他大勢のうちの一人」で、
>あのような状況においては訳も分からず、逃げ惑うしかないのだろう。
まったく同意です。
救い出す方は英雄っぽく描かれていたけど
救い出される名もない兵士たちは
実際あんな感じだったと思うので
とにかく自分のことで精いっぱい・・・という風に描かれていましたね。

無事に帰還してきた兵を、太平洋戦争の日本なら
きっと肩身のせまい思いをさせたかもしれません。
・・・・そもそも、「玉砕」を美徳とした大日本帝国軍は
ダンケルクのような救出作戦を立てなかったと思うけど。
ななさま (zooey)
2017-10-01 21:53:10
戦場の兵士たちは
チャーチルの決断も英国軍の方針も、その場では分からなかったでしょうね?
爆撃に怯えながら、逃げ惑うしかないですよねえ。

昔、南の島に30年近く隠れていた兵士がようやく帰国が叶って
「恥ずかしながら帰ってまいりました」と挨拶したことが理解できないと
アメリカ人の友人が言ったことを思い出しました。
Unknown (浅野典子)
2017-10-08 22:32:05
こんにちは!FBの記事が埋もれてしまっていて表示できなかったので、こちらに失礼しますね。

怖い映画でした。一瞬先の自分の生死が予測出来ない怖さ。ハンス・ジマーの音楽が不気味な怖さを加速させていました。この恐怖音、どこかで・・?と思ったら「ジョーズ」あれと通じるものがあります。どちらも海が舞台ですしね。


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