Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

pee the same color!「ドリーム」

2017年10月05日 | 映画


米ソが熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年初頭、アメリカ初の有人宇宙飛行計画を
支えた、NASAの3人の黒人女性の功績を描く伝記物語。

映画の冒頭、小さな痩せっぽちの黒人少女、キャサリンが出てきます。
数学に天賦の才を持つ彼女を飛び級で上の学校に進学させるため、
黒人学校の教師たちが彼女の両親に、その費用をカンパするのです。
その期待に応え、彼女は大学院まで出てNASAに就職するのですが
その時代は、半端ではない人種差別政策が横行していました。



バスの座席も別、学校も別、町なかの水飲み場も別、図書館で借りられる本も別。
キャサリンが計算係として配属されたNASAの研究所には、白人用のトイレしかない。
彼女は毎回、800mも離れた別の建物のトイレまで走らなければならない。
管理職代行として計算部を指揮するドロシーも、
ハードウエアのエンジニアとして働くメアリーも
正当な役職が与えられなかったり、資格を取るために必須の学校に行けなかったり、
それぞれ理不尽な差別と日々闘っていました。

しかしどんな逆境や差別にもめげず、めげずに仕事に打ち込み、結果を出していくうちに
徐々にその実力が認められるようになる。
その奮闘ぶりが、悲壮感なく、気持ちの良いテンポでコミカルに描かれているのです。



ヒューストンのNASAに行ったことがありますが、実に広かった。
広大な敷地の中を我々観光客は、何台も繋がるカートに乗って移動しました。
ビルとビルの間が、嫌と言うほど離れている。
キャサリンが800m離れたトイレまで走らなければならなかったということは
容易に想像できます。
しかも彼女が行かなければならなかったトイレというのは「colored」用、
つまりもしそこに日本人がいたとしたら(いなかったでしょうけれど)
我々もそこしか使えなかったということです。

ソ連に先を越された宇宙計画の実現のために、皆が1秒をも惜しんで仕事する中、
トイレの為に席を外すキャサリンを問い詰めた上司(ケビン・コスナー)が
初めて事の次第を知って、トイレの「colored」の看板を叩き壊すシーンは印象的でした。
" Here at NASA we all pee the same color!"
「NASAじゃみんな小便の色は同じなんだ!」と言って。

意地悪な白人女性の上司ヴィヴィアンを、キルスティン・ダンストが好演していました。
ラスト近く、トイレ(その時は白人用のトイレを皆が使えるようになっていた)の中で
彼女に言い返したドロシーの台詞は、胸がすくものでした。
“despite what you think, I don’t have anything against you all.”
“I know,I know you probably believe that,”
「私は別に、偏見なんか持ってないのよ」
「貴女がそう思ってるってことは知ってるわ」



偏見と差別はすさまじかったといえ、この映画には本当に悪い人は出て来ない。
キャサリンは頭脳明晰に加えて性格もよく、新しく誠実な恋人もでき、
3人の娘たちは天使のように愛らしいし、母親も温かく彼女を助けてくれる。
女子友3人は始終仲が良く、嫉妬したり足を引っ張り合うこともない。
デキすぎなんじゃないの?と思う部分もありますが
久しぶりに気持ちの良いサクセス・ストーリー、ハリウッド映画の王道を観た思いです。
にしても、このチープな邦題はなんとかならないのか?
原題は「Hidden Figures」(隠された人々)です。

「ドリーム」 http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/
コメント (12)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする