劇場と映画、ときどき音楽と本

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クリント・イーストウッドの「インヴィクタス」

2017-07-27 06:13:59 | 映画
衛星放送でやっていたイーストウッドの監督した「インビクタス/負けざる者たち」を観る。2009年の作品。イーストウッドというと僕などは西部劇に出ていたころや、「ダーティハリー」シリーズのイメージが強いのだが、21世紀に監督した作品はどれも見ごたえがあり、なかなか良い監督になったなあと、感じる。

題名の「インビクタス」はラテン語だが、「イン」は否定の接頭辞なので、「ビクタスでない」という意味だろうが、「ビクタス」というのは「勝利」ではないのかなという気がして、久しぶりにラテン語の辞書をひいてみると、「ビクタス」は動詞「ビンコ」の過去分詞で、この場合は受身的に「ビンコされる」つまり「勝利される」という意味だと分かった。それで、副題が「負けざる者たち」となっているのだ。

映画の中身は南アフリカでネルソン・マンデラが大統領になり、それまで虐待を受けていた黒人たちが、逆に白人たちに復讐的な態度をとろうとするのを諫めて、同じ南アフリカ国民としての融和を図ろうとする様子を描いている。その象徴がラグビーのナショナル・チームの活躍で、南アで開催されたワールド・カップで強豪のニュージーランドを破り優勝するまでが映画の中心になっている。

観ていると分かるのだが、南アの白人たちはラグビーを好み、黒人たちはサッカーを好むので、黒人たちはそれまでは決して自国のラグビー・チームの応援をしなかったのだが、それをマンデラが融和して、国民が一丸となるわけだ。劇中でのマンデラの国民に対する呼びかけは、なかなか説得力があり、今の世界にもっとこうした政治家が必要だという気になる。

出演者の中にスコット・イーストウッドという名前があったので、調べてみるとクリント監督の息子で、イーストウッドという名前を使ったのはこの映画が最後で、その後の映画ではスコット・リーヴスという名前に変更しているようだ。

描き方は決して力んでおらずに、淡々とした映像の積み重ねだが、その言わんとするところはよくわかる映画だった。
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