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映画「ニュースの真相」は、実話に基づいているだけに面白い

2017-09-13 12:42:55 | 映画
2015年に制作されたアメリカ映画「ニュースの真相」を録画で観る。2004年に行われた大統領選挙で、ジョージ・ブッシュのベトナム派兵逃れとみられる、テキサス州兵志願が問題になったことがある。それは、噂レベルの話から始まったように記憶するが、アメリカではCBSテレビの人気報道番組である「60分」で、スクープが放送されたので、大騒ぎになったようで、この映画はその裏話が描かれている。

「60分」というのは50年近く前からあるCBSの看板番組で、恐らくは、今でも続いているが、その製作スタッフの奮闘ぶりがわかる。ブッシュの件も、状況証拠はたくさんあるが、決定的な証拠がつかめないまま、番組スタッフは苦労していたが、そこに決定的ともいえる書類メモを持つ男が現れて、番組スタッフは色めき立つ。

その資料の偽造の可能性や、背景との整合性などを調査して、スタッフは番組を放送し、大反響を呼ぶ。しかし、その文書が偽造ではないかとの意見がいろいろと出てきて、それを決定的に否定できないまま、CBSの看板アンカーだったダン・ラザーがイヴニング・ニュースの中で、誤報を謝罪するまでの追い込まれる。

そこまでが前半で、後半は番組制作のチーフだったメアリー・メイプスが、第三者委員会からの聴取を受けて、責任を取らされるまでを描く。

この映画はそのメアリー・メイプスが書いた本「真実と責務」の映画化で、人気アンカーだったダン・ラザーをロバート・レッドフォードが演じている。監督はこれまでは娯楽映画を作ってきたジャイムス・ヴァンダービルト。主演のメアリー役には、ケイト・ブランシェット。

映画の原題は「真実」となっている。映画の最後でメアリーが力説するが、問題の本質はブッシュのテキサス州兵時代の評価だったはずが、ある時から偽文書かどうか、というのが問題にされてしまい、問題の本質が隠れてしまう。

現在の日本でも、まったく似たような状況ではないかという気がした。

2016年に日本でもテレビ・ニュース番組を題材とした「グッドモーニングショー」という中山貴一主演の映画があったが、問題意識や台本からして「ニュースの真相」に負けている。日本映画ももっと頑張ってほしい。


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