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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

ミラノ・スカラ座のバレエ「真夏の夜の夢」

2017-07-06 14:22:20 | バレエ
イタリアまでオペラとバレエを観にいったので、しばらくブログの更新を休むこととなったが、観てきた演目についてのメモを綴る。

6月28日(水)にミラノ・スカラ座で、ジョージ・バランシンのバレエ「真夏の夜の夢」を見る。夜8時の開演。観客の入りはほぼ満席といった感じ。チケットはネットで購入。発売日に購入して、「自宅でプリント」を選ぶとメールでPDFファイルが送られてくるので、それをプリント・アウトして持って行った。入場時にはプリントアウトしたチケットを見せると、ハンディ・バーコード・リーダで読み取ってそのまま入れてくれる。現地の人も自分で印刷したチケット持参の人が結構いた。

購入した席は1階バルコニーのほぼ中央にあるボックス16の最前列。この席は平土間の観客の少し上にあるので、前の人の頭などは全く気にせずに見ることができる。バレエの場合には、足元までよく見たいので、そうした点では良い席だ。スカラ座は2000人ちょっと入る劇場だが、ボックス席は6階まであるので、劇場の規模としては案外小さく感じて、正面ボックス席でもそれほど遠いと感じることはなかった。

さて、演目は「真夏の夜の夢」で、新書館の「バレエ101物語」の説明ではアシュトン版の説明がメインだが、オックスフォード版の「ダンス事典」ではバランシン版の説明がメインとなっている。バランシン版は1962年で、アシュトン版は1964年、ノイマイヤー版は1977年の初演だから、20世紀初頭までの作品を除けばバランシン版が古い。

バランシンというと、頭に浮かぶのは抽象バレエと呼ばれる物語性のないバレエ作品だが、この「真夏の夜の夢」はバランシン晩年の作で物語性のある長編バレエになっている。バランシンは、ブロードウェイのミュージカルの振付などもしているので、こうした物語性のある作品もちゃんと作れるのだ。題名からわかる通りに、原作はシェイクスピアの戯曲で、音楽は同名のメンデルスゾーンを使っている。

原作の話と比べると、冒頭部分を省いて、二組の恋人たちが、妖精パックの悪戯によって恋する相手が狂ってしまう話が中心。恋人たちは赤チームと青チームという風に色でカップルが分けられているので判りやすい。物語は前半の一幕で終わってしまい、後半の二幕は二組の恋人たちの結婚と領主の結婚を祝う景となるが、物語の最初をカットしているので、領主が突然登場するのは、原作を知らないと分かりにくい。これにオベロン夫妻や妖精パックも加わって踊る。古典派のバレエだと二幕はディヴェルティスマンとなるのだろうが、この作品ではパ・ド・ドゥの組み合わせのようなムード。

音楽はメンデルスゾーンの既成曲を使っているので、美しい曲が多いが、バレエ専用に書かれた曲ではないので、リズムの多様さには欠ける。近年の物語バレエで傑作が生まれにくいのは、踊りに合わせて作曲をしないからではないだろうか。

もともとは、バランシン作品なのでニュ―ヨーク・シティ・バレエのための作品だろうが、1960年代からあちこちのバレエ団でもレパートリーに入ったようで、ミラノ・スカラ座版もロベルト・ボッリのビデオが出ていたような気がする。

さて、キャストはオベロンが二コラ・デル・フレオ、ティタニアにはニコレッタ・マンニ、パックにはアントニーノ・ステラといった配役。主演級は誰もがきちんと踊っていたが、コール・ド・バレエは平均的な水準。そのほかに、妖精役としてバレエ学校の生徒たちが沢山出てくる。特によく踊っていたのはパック役のステラ。

オーケストラはオペラの時と異なり、スカラ座アカデミーとなっている二軍クラスなので、若干弱い。劇場の音響がとても素直に響くので、オーケストラの欠点もすぐにばれてしまう。ごまかしの利かない劇場だ。

休憩25分を含めて10時過ぎに終わったので、ホテルの近くの食堂で軽く食事して帰り、ホテルでさらにプロセッコを飲んで寝た。

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