劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

オックスフォード版「オペラ史」を読む

2017-07-18 10:53:17 | 読書
きちんとオペラの歴史を押さえておこうと思い、オペラ史の本を探したところオックスフォード版の本が邦訳されていたので、頑張って読んだ。結構、大変で、体力を使うことおびただしい本だった。何が大変かと思うと、まず、重たい。大判で600ページを超えて、図版が多いのでアート紙を使っているためか、何しろ物理的に重たい。一体どのくらいの重さかと思って台所用の計りで計ったら振り切れてしまい、体重計で計ったら1.8kg以上あった。

僕は本を手に持って読むことが多いので、この重さだとすぐに手がくたびれてしまい、長続きしない。事典ならば拾い読みが中心だから重たくてもよいのだが、通読する歴史本はある程度の範囲内の重さにしてほしい。

二番目の問題は、翻訳の問題だ。ハッキリ言うと読みにくい。関係代名詞の部分を「―」記号で本文の途中に入れてあるので、何を読んでいたのか、気が遠くなるような思いをする。オペラや演劇は専門的な用語も多くてわかりにくいが、「アクション」という言葉をいろいろと翻訳しているのは、苦労されたのだとは思うが、結果としてわかりにくい。特に問題なのは「アクション」を「場面」と訳している箇所が多いことだ。

「シーン」も「場面」と翻訳している。この本の前のほうに出てくるが、オペラは古典演劇における「三一致の原則」を早くから捨て去った。「三一致」というのは、「時」と「場所」と「筋立て(物語)」が作品の中で変化せずに同じでなければいけないという古典演劇の原則で、その時の「筋立て」が「アクション」なのだから、「場面」ではなく、「筋立て」とか「物語」と翻訳してほしかった。

この本は横組みなのだが、句点には「,」カンマを用い、読点にはピリオドではなく「。」を用いている。これは何とも気持ち悪い趣味だ。カンマとピリオドか、和風で行くのなら、点と丸にしてほしい。

原題は「図説オペラの歴史」となっているので、図版が多い。珍しい図版もあるので、それはそれでよいのだが、文章のほうはオペラを知っている人に追加的な情報を与えようという観点で書かれているので、この本だけでオペラ史が理解できるわけではない。グルックの改革も、ブフォン論争も、ほとんど説明なしにどんどん話は進む。

それでも、頑張って読んだのは、イタリアやドイツだけでなく、ほかの国のオペラについてもある程度説明がしてあったのと、巻末にオペラの演出の歴史がまとめてあったからだ。

日本語で読むのは、まったく推薦できない本だが、英語版の評判はどうだろうかと思い、アメリカのアマゾンの評価を見てみたら、星は平均で3つ、トップの評者は「退屈な概説」という表題だった。本の重さは2.9ポンドなので、1.3㎏だった。
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