劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

マリインスキー劇場の「ジゼル」

2017-04-25 14:15:39 | バレエ
衛星放送でマリインスキー劇場のバレエ「ジゼル」を放映したので、録画で見る。なかなかサンクトペテルブルグまでは足を延ばしにくいので、こうして放映してくれるのは有難いことだ。

「ジゼル」はロマン派バレエの代表作で、一幕は町の娘の王子との恋の現実世界の話。二幕はジゼルが亡くなり、墓参りに来た王子アルブレヒトを、ウィリーと呼ばれる結婚前に亡くなった妖精(亡霊)たちの攻撃から、ジゼルが身をもって守るバレエ・ブランシュとなっている。

19世紀中ごろの古いバレエなので、チュチュ(スカート)も踝ぐらいまである長いもので、ロマンチック・チュチュ(ロマン派のチュチュ)が使われるので、優雅な舞台だ。その後、19世紀後半以降はどんどんとスカートは短くなり、「白鳥の湖」に代表されるように、脚を丸出しにしたクラシック・チュチュ(古典派)が使われるようになった。

音楽の世界や文学の世界では、「古典派」の後が「ロマン派」ということになっているが、バレエ界では「ロマン派」の後に「古典派」が来るのでややこしい。

まあ、「ジゼル」はそうしたロマン派に位置づけられる、ロマン派の古い時代の作品でも、一幕などはずいぶん整理したのだとは思うが、マイムの多い物語バレエとなっている。そうした物語の中でも村娘の踊りなど、見せ場はしっかりとあるのがうれしい。

こうしたロマン派のバレエはフランスでは残らなかったが、マリウス・プティパがロシアに持っていき、そこで伝えたらしい。だから、プティパらしい美しさが随所に残っている。

今回の公演ではマリインスキーのプリンシパルであるディアナ・ヴィシニョーワがジゼルを踊り、王子アルブレヒトはパリ・オペラ座のマチュー・ガニオが客演しており、ロシアとフランスの顔合わせで、興味深い。録画は2016年7月となっていた。

マリインスキーの舞台なので、極めてオーソドックスな演出で、ヴィシニョーワとガニオも文句のない踊り。高度なテクニックを見せる場面があるが、そこで拍手が来るのは、さすがマリインスキーだと感心する。

二幕はバレエ・ブランシュで、コールド・バレエの群舞が中心となるが、マリインスキーは昔からコールドのレベルが高いと評判なだけあって、一糸乱れぬ見事な群舞となっている。この群舞の中心はウィリーを率いるミルタだが、今回のミルタはちょっと優しさも感じるような雰囲気で、これはまずい。

感情を持たずに冷酷に、男に復讐をするような「冷たさ」が欲しいところ。

ウィリーたちの登場は舞台の両袖からで、最初はベールで登場して、それからベールを取るのが普通の演出だが、マリインスキーのウィリーたちはすぐにベールを取って踊りだす。

以前に、確か東京シティ・バレエ団の「ジゼル」を見たときに、ミルタがウィリーたちを呼び出すと、舞台奥の墓場からウィリーたちが音楽とともにムックと起き上がる演出があったが、あれはなかなか良かったなー。もとはどこのバレエ団の振り付けなのだろう。

まあ、マリンスキーはよくも悪くもオーソドックスな踊りで、奇をてらっていないから、安心して踊りに集中できた。

テレビで見ると顔がアップになり表情もよく見えるので、やっぱり美男美女が良いなーと感じた。
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