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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

メトロポリタンの「ロベルト・デヴェリュー」

2017-08-10 17:32:13 | オペラ
衛星放送で、ドニゼッティの「ロベルト・デヴェリュー」を観る。メトロポリタン歌劇場の2015-16年のシーズン作品。デイヴィッド・マクヴィカーの演出で、主演のエリザベス女王にはソンドラ・ラドヴァノフスキー、相手役のタイトル役にはマシュー・ポレンザーニという配役。

ドニゼッティは沢山オペラを書いているが、上演の機会が多いものは限られていて、この「ロベルト・デヴェリュー」などは、日本のオペラ解説書には紹介されていない作品。珍しい上演なので初めて観た。ドニゼッティは喜劇的作品と、いわゆるオペラ・セリアと呼ばれる正歌劇の両方を書いているが、この作品は正歌劇のスタイル。昔風にベル・カントのオペラで、装飾的な歌が多く、歌手にとっては技術的にも体力的にも歌える人が少ないので、近年は上演機会が少ない様だ。

メトは英国王朝を描くドニゼッティの三部作を連続上演していて、その最後にあたるのがこの作品。3作品ともデイヴィッド・マクヴィカーが演出している。マクヴィカーはなんとなく名前から推察できるが、スコットランド出身のオペラ演出家。それなので、英国王朝物を演出するには良いかも知れない。今回の演出は、王宮の中で演じられるオペラを劇中劇として見せる形になっている。劇中劇なので、思いっきり芝居がかった衣装や演技ができるわけで、それが、この結構様式的な台本とよく合って成功している。

美術的には昔風の王宮の四角い広間で演じられるイメージであり、衣装はエリザベス朝の雰囲気を出している。セットの中央に大きな両開きの扉があり、左右に小さな扉がある。扉の間には彫像の飾りがあり、上手側には「死」の寓意像で、下手側には「時の翁」の寓意像がある。この作品のテーマが暗に「時」と「死」であることを示していると思われる。この「時の翁」の寓意像というのは、一般的に砂時計を持つ老人となっているが、このオペラでは背中に大きな羽根を付けている。図像学的にはこれもあるらしい。

エリザベス女王は、謀反の疑いがかかるロベルトを愛しているが、当のロベルトは親友の伯爵の妻であるサラと愛し合う関係にある、という話。しかし、サラとの愛はプラトニックなもので、本当は結婚したかったのだが、サラが親友の妻となってしまったので、プラトニックにとどまっているわけだ。この複雑な四角関係で、お互いに自分の身を犠牲にしてでも愛する人を救おうとするのだが、結局はエリザベス女王もロベルトが死刑となるのを止めることは出来ない。泣いて馬謖を斬るわけだ。

今回はエリザベス女王役を演じたソンドラ・ラドヴァノフスキーが歌も演技も最高に良い。難曲を見事に歌った。他の3人も曲の難しさを感じさせない歌いっぷりで、音楽的にも優れていた。指揮はマウリツィオ・ベニーニ。

こうやって聞くと、ベッリーニとかドニゼッティの時代の作品は結構面白いので、日本でももっとたくさん上演してほしいものだ。
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