ハリソン君の素晴らしいBLOG

素晴らしい日本人=波里尊(はりそん)君が、新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『魔性の夏/四谷怪談より』(前篇)

2017-06-10 14:35:20 | 素晴らしい日本映画









1981年に公開された日本映画。演劇界の巨匠=蜷川幸雄さん2本目の監督作品です。

我々世代なら誰もが知ってるし「お岩さん」という名前を聞いただけで背筋が寒くなる、トラウマ級に恐ろしい『四谷怪談』の映画化。

これも30年以上前に観たきりで、『太陽にほえろ!』のマカロニ(萩原健一)とシンコ(関根恵子=高橋惠子)が夫婦役で再共演されたのはよく憶えてたけど、テキサス(勝野 洋)まで重要な役で出てることはすっかり忘れてました。

蜷川さん、もしかして『太陽』ファンだったとか? ご自身も何度かゲスト出演されてたし。

関根さんが「いわ」で、ショーケンさんがその夫=伊右衛門。そして勝野さんは「いわ」の妹=そで(夏目雅子)の夫である与茂七の役ですから、マカロニの義理の弟がテキサスって事になります。

後に平成復活版の『太陽』で七曲署捜査一係の一員となる石橋蓮司さんも重要な役どころだし、常連ゲストの阿藤 快さんや内藤武敏さん、鈴木瑞穂さん、小倉一郎さん、赤座美代子さん等も登場しますから、まぁ偶然にせよ『太陽』濃度の高い映画です。

ラストはショーケンさんと勝野さんの一騎討ちで幕を下ろしますから、少なくともマカロニ対テキサスの組み合わせは狙っておられたんじゃないでしょうか?

それはともかく、つくづく残酷なストーリーで、いわ&そで姉妹を除けば悪人しか出て来ません。

もしかすると若い世代はご存じないかも知れないので粗筋だけ書くと、いわの父親に過去の悪事をバラされそうになった浪人の伊右衛門が、口論の末に彼を殺した挙げ句、金持ちの娘に見初められ、彼女と再婚するため邪魔になったいわに毒を盛るという、酷いと言えばあまりに酷いお話。

しかも、その毒が「顔を醜くする薬」っていうのが最大の残酷ポイントで、いわの髪の毛が抜け落ち、美しい顔の半分が爛れていくビジュアルが、どんなスプラッタホラーよりも怖いし、あらゆる悲劇の中でもトップレベルに哀しいです。

で、伊右衛門が新妻を抱こうとしたら、その顔がいわの爛れた顔に見えて錯乱し、斬り殺しちゃう。逃げても逃げてもいわの幽霊につきまとわれ、発狂し、破滅する。

いわの幽霊は、伊右衛門の潜在意識下にある罪悪感が作り出した幻覚とも解釈できるし、悪いことをすれば必ず報いが訪れるという訓話になってますよね。

とにかく、女性の命とも言える「顔」を崩しちゃうという発想、その衝撃が、『四谷怪談』をあらゆる怪談やホラー映画が束になっても敵わないものにしたのは間違いありません。

この蜷川幸雄バージョンが映画として優れてるのかどうかは、正直なところよく分かりませんw もっと胸に迫るものに出来た筈なのに、あえてしなかったような印象があります。

女の哀しみや怨念よりも、どちらかと言えば伊右衛門を筆頭とする男どもの愚かさや卑劣さ、滑稽さを蜷川さんは描きたかったのかも知れません。

だから『四谷怪談』にしてはそんなに怖くありません。子供の時に観たらトラウマになったとは思いますがw

それよりも、ショーケンさんの棒読み芝居の方がやたら気になりますw たぶん本来の自然体すぎる演技を、舞台畑の蜷川さんが嫌われたんでしょう。ショーケンさんの芝居が変わっていくキッカケになった作品かも知れません。

勝野洋さんもまた、いつも以上に棒演技ですからねw お二人共、明らかに普段とは違う芝居をされており、そこは私にとって大きな見所になってます。

尚、蜷川幸雄さんは後に、京極夏彦さんによる独自解釈の四谷怪談小説『嗤う伊右衛門』(主演=唐沢寿明、小雪)も2004年に監督されてます。
 
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