ハリソン君の素晴らしいBLOG

素晴らしい日本人=波里尊(はりそん)君が、新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『地獄』(1960年バージョン)

2017-06-14 14:14:16 | 素晴らしい日本映画









中川信夫監督による新東宝の怪奇映画。日本のロジャー・コーマンと呼ばれる大蔵貢氏プロデュースによる作品です。

若きモテ男の天知 茂さんが、その優柔不断さゆえに友人の轢き逃げ事故の隠蔽に加担、自らも事故を起こして妊娠中の恋人(三ツ矢歌子)を死なせてしまう。

更に、復讐に現れた轢き逃げ被害者の遺族を殺害、逃げ帰った実家の老人ホームでは食中毒で全員が悶死と、とにかく主人公に関わった人間が片っ端から死んでいくという、現世からして充分に地獄ですw

で、主人公自身も毒を盛られて死亡し、後半はあの世の地獄が舞台となります。三途の川、閻魔大王(嵐 寛寿郎)、血の池、針のむしろ、大焼炙etc…と、あらゆる地獄のイメージを具現化したテーマパークみたいな映画になってます。

……なんて、歳を重ねた今だからこそ面白がって観られるけど、子供の頃なら怖くて正視出来なかったかも知れません。

私が通ってた小学校で回覧した『蜘蛛の糸』の絵本は本当に衝撃的で、今でも深く心に残ってます。

地獄に堕ちた犯罪者が、生前に踏みかけた蜘蛛を殺さずに助けた行いにより、お釈迦様の温情で極楽へと上る蜘蛛の糸を授かるんだけど、他の者たちを蹴落として自分だけ上ろうとした為に、糸が切れて地獄に戻っちゃうという、芥川龍之介氏の短編小説を絵本にしたものでした。

もしかしたら他の文献と記憶がゴッチャになってるかも知れないけど、その絵本には映画『地獄』と同じような阿鼻叫喚がリアルに描かれており、本当に怖くて「絶対に悪いことはしない」「無駄な殺生はしない(少なくとも蜘蛛だけは殺さない)」って決心したもんです。

それまで虫の類いは平気で殺してたのが、まぁゴキブリや蚊は仕方ないとしても、何か害が及ばない限りは殺せなくなりました。

絵本の回覧は学校教育の一環だったのか、あるいは宗教絡みだったのか今は知る由も無いけれど、効果はバツグンでした。年齢的にも、あの時より幼いと刺激が強すぎるし、もうちょっと成長したら所詮ファンタジーだと割り切ったかも知れず、ベストタイミングだったと思います。

大人になれば、地獄という観念自体が道徳教育の産物であることを理解するワケだけど、それでも根っこの部分、潜在意識下に『蜘蛛の糸』の恐怖がちゃんと残ってる。そういうものが有るのと無いのとでは、人格形成が大きく違って来る筈です。

あれって、全国的にやってた事なのか、私が通ってた学校だけの事なのか、どうだったんでしょう? 現在でもやってるんでしょうか? やってるとしても、ゲーム世代の子供たちに効果はあるんでしょうか?

それはともかく、この映画の場合は現世からして地獄状態(あまりに極端で自己投影しづらい世界)なので、道徳教育には役立ちそうにありませんw それよりも、前述の通り地獄巡りのアトラクション映画と捉えて楽しむ作品かと思います。

主人公の天知さんは優柔不断だけど決して悪人ではなく、不運が重なりまくって悪事の連鎖に巻き込まれていった感じ。

なのに地獄へ堕ちちゃうのは、彼があまりにモテ過ぎたせいでしょうw イケメンは、一人残らず地獄行き。私はモテなくて本当に助かりました。イケメンの皆さん、御愁傷様です。

そんなワケで、これも先日の『魔性の夏』同様、そんなに怖い映画じゃありません。恐怖よりも、中川信夫監督ならではのシュールな世界観、超アナログ特撮による手作り感、そしてヒロイン・三ツ矢歌子さんの美しさを堪能すべき作品です。

現世のくすんだ色合いと、地獄の青白い天然色の世界。BGMも控えめで、現在の映画では味わえない独特な情緒があります。
 
ジャンル:
モブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『太陽にほえろ!』名場面集46 | トップ | 『地獄』(1979年バージョン ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。