![]() | 発達障害の子どもたち (講談社現代新書 1922)杉山 登志郎講談社このアイテムの詳細を見る |
☆人間の存在が、こんなにも制限されていたとは。。。この制限は抑圧であり、抑圧こそ不安を製造する基本構造である。杉山登志郎氏は、「発達障害という言葉自体が、誤解を招くが」という条件付きで、本書を執筆し、発達障害の新しい理解を求めている。目からウロコの本で、人間存在の成り立ち方について改めて考えさせられる。
☆なにゆえに誤解を招くのか。それはIQという尺度そのものが誤解を製造していたのだ。IQ70から85未満が境界知能で、70未満を多くの発達障害のカテゴリーが収まる仕掛けなのである。アスペルガー症候群はこのIQの基準では測れない例外である。
☆そして偏差値とはIQ85以上の子どもたちのスコアなのである。この水域は資格社会であり、競争社会である。つまりここにもまた抑圧の微分化が仕組まれている。ここから不安が生まれ、そのリスクヘッジの心の装置が未成熟だと、心の病が生まれる。
☆IQの設定が抑圧を生み、本来発達障害という存在の状況がないにもかかわらず、障害を映し出す。心の病も同様である。
☆障害や病は、その抑圧構造を映し出しているのであって、本来の存在を映し出しているのではない。人間の存在は多様な関係性をそれぞれが映し出す個性を持っている。その個性そのものが存在である。その存在が障害や病という形を映し出さないように、個人を責めるのではなく、関係性(自然と社会と精神の関係性)を変えることそのものが重要なのだ。
☆もしIQを取っ払ったらどうなるのか。第一段階は発達障害と心の病を連続的にとらえることができるだろう。両者を分断せずにとらえることができる。
☆そしてそもそも、障害と病という存在のあり方自体が変容するだろう。今まではIQ85以上の領域で個性が語られてきたが、それは違うということになる。IQの領域にかかわらず、すべての人間が生きる意味を表現できるようになる。
☆IQの基本表現は言語と数字だろう。しかし、表現はそんな限られたメディアだけではない。身体もそうだし、絵も、音楽も、空間も、人間関係も、省察的姿そのものも、実存的生きざまも、表現なのだ。
☆ハワード・ガードナーの「多重知能(MI)」の考え方は、IQにこだわらない学習理論である。このMIの理論は存在の学び、すべての存在の成長を促す理論だったのである。











