数学は使えるか

主に理工学書の書評,数学の応用を目指してトライしたことなど.

インタープリタ

2017-06-28 12:24:31 | ニュース
AIによって仕事を奪われる職種についての話はよく聞くのですが,新たに出てくる職種についてはあまり聞こえてこない気がします.
将棋の藤井四段の活躍を見ながらふと思ったのですが,インタープリタという職種が今後必要になるのでは.
インタープリタといえば翻訳者ですが,何の翻訳かというとAIの入出力の関係について,ということになります.
将棋ソフトではポナンザが有名ですが,先日TVで開発者の方のインタビューが流れていました.開発者自身もアマ高段者で相当将棋が強いのですが,インタビューによればもはやポナンザがある局面においてなぜどういった根拠で特定の指し手を選ぶのかは理解できないということでした.
今後,様々な業種でAIの導入が進むと思われますが(というか進んできているところですが,)AIの出力を見て誰もどういった根拠でなされたかということが理解できなければ無批判にAIを受け入れることは抵抗があるのではないでしょうか.
まあ,実際殆どの場面で人間よりも正しい判断を下していれば,AIの結果を受け入れる側の人間も無批判に受け入れるということに慣れてくる気もしますが.
ところが,AIの政治利用になったら話が違うと思います.
AIのアルゴリズムが政治的に歪められていないとは限らないからです.
インタープリタは,クラスタリングや連関規則など統計的な技法を駆使して,AIによる高次元の関数出力を人間に理解しやすい(複数の)低次元の出力に変換してそれぞれの出力間の関係に因果的な解釈を加えるものといえます.インタープリタの解釈が加えられることによって大多数の人にとってAIの出力結果が因果関係をもって理解可能となります.政治にAIを使う際も,どのような見通しのもとでこのようなAI出力を採用するのかがわかります.
政治は一つの例ですが,あらゆる場面におけるAIの活用にとってAIの出力を理解できることは,AIのより進んだ活用にもつながってくると考えます.
話を将棋の藤井四段にもどしますと,藤井四段は将棋の才能もさることながら,インタープリタとしてもすぐれているのでしょう.将棋ソフトを使って将棋の勉強をしているようですが,ソフトと対戦を繰り返すうちに将棋ソフトの思考ルーチンが(100%とは言えないまでも)相当理解できてきているのではないのかと思います.旧世代(=将棋ソフトのインタープリタの訓練をしていない)に現れた新世代といえる藤井四段の実績はタイミングも考えれば空前絶後だと思いますが,今後同様な才能に恵まれた多くの人が出てくることも予想されます.将棋という限られた社会においても大きな世代間の隔たりが出てくるのが見えてきています.
社会は,AIの活用をより進めていくためにもインタープリタの育成を考えなければならないでしょう.
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