というのがこのブログのテーマですが、先日テレビをぼーっと眺めていたら深刻な話をしていることに途中からきづきました。見ていたのはミライダネという番組
http://www.tv-tokyo.co.jp/miraidane/backnumber/back.html?trgt=b_20170715
で、そのときはレジの待ち行列をどうにかして短くできないかと悩んでいた千葉のスーパーが IT技術を使うことで見事に目的を達成した、というハナシでした。
ぼーっと眺めていたのは、内容がある程度予想できたから。要するに過去何年かの客の出入りのデータと、現在店の入り口とレジの出口に設置してあるセンサーから得られるデータを用いて5分、10分、15分後に必要となるレジの台数(このときの拘束条件はレジ待ちの人数を3人以下とすること)を予測するということ。短時間の予測なのでなんとなく線形回帰を使ってできそうだなー、ちょっとくらいはどんな理屈を使ったかの説明くらいはあるかなー、みたいな感じで見ていました。
見終わった後、ふと気づいたことはどんな理屈を使ったのかという話はなかったこと、特に「待ち行列理論を使って」というコメントは一言もなかったということ。
待ち行列理論はスーパーのレジを何台配置するかに格好のものですが、理論なので前提条件があります。たとえばレジに入ってくる客は互いに独立にポアソン分布に従う、とかレジの処理時間もこれこれの分布に従う、とかいうもの。まあ、分布を決定しないとその先の具体的な計算に繋がらないのでしょうがないですよね。ところが千葉のスーパーのシステムに待ち行列理論を使っているような形跡が場面からは見えませんでした。せいぜい手持ちのデータを回帰分析したものをレジを監視している店員に送信しているだけのような感じ。(ここら辺は直接システムを作った人に聞いて見たいところです。)
あまりデータが使えないという環境では、理論を頼るしかないので理論の前提条件には目をつむってシステムを構築していたかもしれませんが、使えるデータがふんだんにある状況では、既存の理論に頼らなくても要件を満足するシステムの構築が可能となってきているという気がしました。この状況がもう少し進むと入店した客の一人一人にパラメータを貼り付けてシミュレーションを行いながらレジにくる客数を予測することになるでしょうし、そうなれば待ち行列理論はますます使われなくなるのでは、と考えた次第。
で、以上の話はレジの台数と待ち行列理論に限ったものではないと思います。全ての理論には前提条件があります。その前提条件があるから理論を深めることができたし(限られた環境の下では)実際にも有効に応用されてきました。しかし、エージェントに適当なパラメータを貼り付けてあとはシミュレーションした結果をサンプリングすることで必要な予測ができてしまえば(限られた前提条件の下でしか使えない)理論は現実での応用においてはむしろ不要となってくるのではないでしょうか。
気楽に見ていたテレビ番組が(理論家にとっては)深刻なミライダネになったというハナシ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/miraidane/backnumber/back.html?trgt=b_20170715
で、そのときはレジの待ち行列をどうにかして短くできないかと悩んでいた千葉のスーパーが IT技術を使うことで見事に目的を達成した、というハナシでした。
ぼーっと眺めていたのは、内容がある程度予想できたから。要するに過去何年かの客の出入りのデータと、現在店の入り口とレジの出口に設置してあるセンサーから得られるデータを用いて5分、10分、15分後に必要となるレジの台数(このときの拘束条件はレジ待ちの人数を3人以下とすること)を予測するということ。短時間の予測なのでなんとなく線形回帰を使ってできそうだなー、ちょっとくらいはどんな理屈を使ったかの説明くらいはあるかなー、みたいな感じで見ていました。
見終わった後、ふと気づいたことはどんな理屈を使ったのかという話はなかったこと、特に「待ち行列理論を使って」というコメントは一言もなかったということ。
待ち行列理論はスーパーのレジを何台配置するかに格好のものですが、理論なので前提条件があります。たとえばレジに入ってくる客は互いに独立にポアソン分布に従う、とかレジの処理時間もこれこれの分布に従う、とかいうもの。まあ、分布を決定しないとその先の具体的な計算に繋がらないのでしょうがないですよね。ところが千葉のスーパーのシステムに待ち行列理論を使っているような形跡が場面からは見えませんでした。せいぜい手持ちのデータを回帰分析したものをレジを監視している店員に送信しているだけのような感じ。(ここら辺は直接システムを作った人に聞いて見たいところです。)
あまりデータが使えないという環境では、理論を頼るしかないので理論の前提条件には目をつむってシステムを構築していたかもしれませんが、使えるデータがふんだんにある状況では、既存の理論に頼らなくても要件を満足するシステムの構築が可能となってきているという気がしました。この状況がもう少し進むと入店した客の一人一人にパラメータを貼り付けてシミュレーションを行いながらレジにくる客数を予測することになるでしょうし、そうなれば待ち行列理論はますます使われなくなるのでは、と考えた次第。
で、以上の話はレジの台数と待ち行列理論に限ったものではないと思います。全ての理論には前提条件があります。その前提条件があるから理論を深めることができたし(限られた環境の下では)実際にも有効に応用されてきました。しかし、エージェントに適当なパラメータを貼り付けてあとはシミュレーションした結果をサンプリングすることで必要な予測ができてしまえば(限られた前提条件の下でしか使えない)理論は現実での応用においてはむしろ不要となってくるのではないでしょうか。
気楽に見ていたテレビ番組が(理論家にとっては)深刻なミライダネになったというハナシ。
理学系の学問は「人間による」理解を目指すものである一方、工学系の学問はどうやったら最適解を実現できるか、というものが多いので「どうやったら」の部分を機械学習をイメージしたものになっていく気がします。