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自己利益しか関心のない、他者依存で主体性の低い層が安倍政権を支持する - 明白な亡国の兆し

2017-10-11 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
安倍政権支持率が高いのは、当然ながらドグマが強固で
イデオロギー優先の厄介な層であるが、他にも強固な支持層がある。

それは10代、20代の若年層である。世間知らずで騙されやすい
というのがまず筆頭に挙げられるだろうが、それだけではない。

彼ら彼女らはまず新卒で就職が楽かどうかで判断する。
勿論、インチキ・アベノミクスの本性などどうでも良い。
視野が狭くて思考が浅いから、安倍政権時に就職できれば安倍政権のお蔭と信じ込む。
(迷信を信じる古代人がまさにそうであったように)

これは、かつて起きた忌まわしい時期と酷似している。
救国の英雄、高橋是清が景気回復をもたらしたのを、
(高橋是清は今の愚かな日銀と違って市場で国債を売却しており、出口戦略も急いでいる)
軍部の満州侵攻による景気回復と勘違いして熱狂した1930年代の日本だ。

但し1930年代は若年層の数が極端に多く、世論がナショナリズムに狂い攻撃的だったので、
その点では現代と同一ではない。老化した現代日本にはまた他の宿痾がある。

経済政策の次元が低く、スウェーデンに成長率も生産性も惨敗しているだけでなく
日本と同じ人口減少国であるドイツにすら大敗した「劣等生」の安倍政権を支持するのは、
確実に未来に待ち受ける災厄を無視し「低成長と安定」を望む保守退嬰のためとしか考えられない。
だからこそ安倍政権のもたらした低成長で満足していられるのだ。

各調査により、現在の新卒世代が「プライベート重視」で向上心が低下しており、
主体性に乏しく他者への依存度が高いことが明らかになっている。
この視野狭窄と利己主義、意欲の低さが安倍政権の政策とぴったり合致しているのだ。

かつてマキャベリは、腐敗した組織の中では自分も腐敗しないと生き延びられないと指摘した。
必ずしも安倍政権だから視野狭窄と利己主義、低意欲が蔓延ったのではない。
社会の中で視野狭窄と利己主義、低意欲が蔓延っているから安倍政権が長期化できたのだ!

▽ 中原圭介氏が早くに見抜いた通り、失業率低下は人口減少要因に過ぎない

『中原圭介の経済はこう動く』〔2016年版〕


▽ 「このままでは遠くない将来に日銀は金融政策運営をコントロールできなくなる」と多くの者が懸念

『中央銀行は持ちこたえられるか ──忍び寄る「経済敗戦」の足音』(河村小百合,集英社)


若者の弛緩した就業意識は、今まさにバブルが膨張し崩壊寸前であることを示唆する。

「「若者を見下す」輩は自己の低能さを認めたくないだけの悲しい欲望に囚われているのだ」

「採用側の企業は新卒人材の良し悪しについて無遠慮に評する癖に、
 優秀な人材を逃す自社の魅力の無さを反省することは殆どない。
 所詮は自らが批判する相手と同類である。
 経験値が上であるというだけで偉そうにしていられるに過ぎない」

「「幸福も繁栄も、他人から与えられるものではない」と
 入社式で訓示していた新日鐵が今は政府にゴネて
 「法人税下げろ、原発再稼働しろ、六重苦を何とかしろ」と叫んでいるのだから
 実に皮肉な話である。自社が実行できていないことを新入社員に要求している訳だ」

「目先のボールを追うだけの連中の滑稽さは、
 長期間じっと観察していると実によく分かる」

「新卒採用について報じるメディアの決定的なバイアスは、
 「広告主である企業に不都合な記事を極力載せない」である。
 他方、就活生は広告主ではないので平気でバッシング報道を出す」

「また、メディア人自身も企業の採用者側と同じく
 特権を握っている層に特有のメンタリティを持っているので
 つい若年層に説教がましい論調を選好する通弊がある。
 (社会の現状に対して自分は裁く側であり責任は他の連中にあると信じている)」

「本当に公平な報道を行うなら、
 新卒採用における企業のオポチュニズムを暴く筈であるし、
 就活生に対してと同じく「自己分析しろ」「手書きででも熱意を伝えろ」
 「選んで頂く立場と自覚しろ」と厳しく追及すべきであろう。
 「人不足で倒産」などと劣等企業の代弁がましい言説を弄するべきではない。
 (建設業の人不足に関して言えば明らかに「国土強靭化」で予算をバラまく安倍内閣の責任である)」

「今、企業は必死に優秀な人材を青田買いしようとしている。
 売り手市場になって競争が激化しているからである」

「数年前とは真逆で、企業の採用行動が新卒の質とは関係なく、
 経済状況と採用時の環境によって左右されているのは明白である」

「多くの企業人は、目先の問題ばかり必死に追いかける自分達のオポチュニズムの滑稽さや
 中長期的課題の重要性など忘れかけている健忘症を自覚している筈だ」

「通常、経済がバブルかどうかはその渦中にあっては分からないもので、
 バブルが崩壊して初めて「バブルだった」と判明するものである」

「だから、衆愚的な評論家が「中国はバブルだが、日本はバブルではない」と放言するのは
 何の不思議もない。ただ単に、自らの先見性のなさを自ら証明しているに過ぎないからだ」

「安倍政権が成立した当初は「日本経済は3年で復活」などという頓珍漢な
 権力に媚び諂う馬鹿らしい言説すら出ていたが、現時点でその嘘は完全に証明されている。
 成長率が低迷して株価だけ大幅に上昇しているのは、明白なバブルの証拠である。
 経済成長率の推移は、アベノミクスが日本経済の低迷に対し何ら効果を発揮しなかったことを立証している」

「消費税引き上げに責任転嫁するリフレ派に至っては、
 我が国よりも間接税負担の重いドイツやスウェーデンより
 日本経済のパフォーマンスが明らかに劣っていて成長率でも生産性でも負けている事実すら理解していない」

「そして、雇用面においても明白なバブル崩壊の前兆が示されている。
 米経済が2012年から明らかに緩やかな基調にあった上に、
 円の切り下げによって労働コストをカットしたための失業率低下に過ぎないのだから、
 目先しか見ていない人々が勘違いするのも道理である」

「円安という上げ底によって誤摩化されているため、
 日本企業の競争力は全く向上していない。
 その証拠にIMD競争力ランキングで日本は順位を下げている」

「見せかけの「上げ底活況」に幻惑されて、
 少なからぬ若年労働者が勘違いし始めている」

「電通総研の調査は時系列で比較していないのが欠点だが、
 「できれば働きたくない」「仕事はお金のためと割り切りたい」という弛緩した意識が
 かなりの割合を占めていることが確認できる」

「労働者は市場や職場で常に試されているため、
 少なくとも意識の上では「人並み以上でないと不利になる」と意識している筈なのだ。
 つまり、「人並み程度の働きでも問題ない」と油断している労働者が増えている訳である。
 そしてその「油断度」は、不吉にもあのバブル崩壊の時期に酷似している」

「若年労働者を対象とする二つの意識調査を見て、思わずぞっとした。
 経験が浅いから無理もないが、今の新卒市場がバブルなのを理解せず、
 企業から最大限の利益を得ようとする意識が極限まで高まっている」

「今、日本企業の中では所謂「ゆとりモンスター」のような連中が跋扈し、
 各職場や管理職の間で大問題になりつつある筈である」

「日本企業が新卒一括採用のために、新卒労働市場は常にオーバーシュートし易い。
 大量採用が続いたために、本来なら入社できないレベルの者でも採用され、
 それが自分の実力と勘違いしている者が大勢いるのだ」

「これは我が国が「失われた20年」に突入する直前に起きたことと酷似している。
 日本企業の中でだぶついているバブル世代同様の状況が、再来しつつあるのだ。
 若年労働層の中でプライベート重視の傾向が強まっているのがその証拠だ」

「しかも今回は、失業率低下と新卒労働市場の活況が「見せかけの偽り」であるため、
 すぐ近くまで忍び足で接近してくる経済危機はより深刻なものとなるだろう」

「見せかけの好況に幻惑されて大量採用した企業は、
 好況の幻が消滅するとパニックに陥り、
 採用抑制や陰湿なリストラに奔走するようになる」

「前回のバブル期の後には、企業の不祥事が次々と発覚した。
 今回も歴史は繰り返すであろう」

「頭脳が固化しかかっている中年や老人は若者を非難したり罵倒したりするが、
 実際にはスタンダールが語ったように若者は「社会の鏡」である。
 我々の社会が歪んだり濁っていたりする時、真っ先に若者にその影響が現れる」

「バラ撒きでも何でも行って目の前の選挙に勝つころしか考えていない安倍政権は、
 不況に備えて強化すべきだったセーフティネットを放置したままでいる。
 このツケは労働者に回され、安倍政権の失政のせいで塗炭の苦しみを受けるだろう」

この若年層の意識の歪みは、現代日本の歪みを反映しているから問題は深刻である。

▽ 企業は大量採用が必要な際には新卒に媚び、不況になると「使えない」「物足りない」と掌を返す

『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動』(沢田健太,ソフトバンククリエイティブ)


当ウェブログは、現在の新卒労働市場に前々から警告を発してきた。
企業のオポチュニズムを批判する時期は終わり、若年層が問題を生み出す時期に入ったと言える。

「世代間ギャップはいつの世にもあるもので、
 今の団塊の世代も上の世代から教育が悪いだの扱い難いだの言われていたし、
 バブル世代には日本人の資質として挙げられる勤勉さは乏しかった」

「過去の記録を調べるとそうした不都合な事実が発覚する訳で、
 リーマンショック後に日本企業が「若者は使えない説」を
 メディアを通して撒き散らした悪質さは益々はっきりしてきた。
 (当時、そうした「若者ヘイト」の片棒を担いだ連中は謝罪すべきである)」

「企業は単に、目の前の状況に振り回されているだけなのである。
 定見などなく、「働きやすさ」は単なる客寄せチラシの文句に等しい」

「今、若者バッシングが目立たないのは企業が人手不足で困っているからであり、
 失業率が跳ね上がってリストラする必要性に迫られたら
 またメディアを使って「若者使えない」説を垂れ流すに違いない」

「さて、現代の若者を取り巻く状況を見ると、若者は矢張り良くも悪くも純粋で、
 日本社会の変化からいち早く影響を受けていることが分かる」

「企業は人手確保に奔走して平然と紳士協定を破り、
 本音を隠して「働きやすさ」を必至でアピールしている。
 (言う迄もなく、社内では「困った人材」が急増している筈だ)」

「だから企業の態度から影響を受ける若者が自己中心的になって
 「職があるのは当たり前、会社から最大限の利得を得たい」と考えるのは当然である」

「また、最近の高齢層は団塊の世代を中心に
 「シニアと呼ばれたくない」という意識が急速に強まっており、
 事実を無視して自己を甘く評価したがっていることが分かる。
 (しかも、自己の受け取る社会保障給付は当然視しているのであろう)」

「だから若者が自己客観化を回避して高い自己評価を求め、
 恩恵は当然視するとしても何ら不思議ではない。
 何故なら上の世代がそうしているからである」

今、売り手市場でのうのうと過ごしている者が、日本企業や社会のお荷物になるであろう。

 ↓ 参考

「働きやすさ」を必死にアピールして媚び諂う企業 - 若者の変容は上の世代に原因、自己中心的で功利主義
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0aab14599aa13354f0b1b1abf4df574f

仕事はカネと見栄で選び、残業を嫌がってプライベート重視 - 若者の意識はバブル崩壊を予告している
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0d7f47b9a0c4305bf0377621ec7b8a17

内定辞退される企業は「自己分析が足りない」「手書きで熱意を伝えろ」- 傲慢な採用側の勘違いに不満炸裂
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1bdafdf7f5dd4bc34d72a9c31d7cfb7a

団塊の世代も言われた「扱いにくい、教育が悪い」- 昔から変わらない新入社員バッシングと入社式の式辞
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b239671d85ebb2f3c169c5e9d5a9b2e2

「仕事は人並み・プライベート重視」だったバブル世代、なぜか批判されない理由 - 単に数が多いから
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ef42179f46284a90293d15c98bfc65dee

▽ このような弛緩し切った宣言が堂々と世に出るのは、社会的危機の明白な予兆である

『はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言』(栗原康,タバブックス)


衆院選:若者層は保守的? 内閣・自民支持多く…世論調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20171009/k00/00m/040/079000c.html
”衆院選公示を10日に控え、国政選挙では、昨年夏の参院選から選挙権を得た、18歳以上の10代の若者が今回初めて衆院選に臨む。総務省によると、前回参院選で10代は40歳前後の世代と同程度の46.78%が投票し、投票意欲は決して低くはない。各党とも新たな票田として注目しているが、各種の統計や専門家の分析によると、10代から30代までの比較的若い世代で政治意識が保守化していると言われる。全国各地の10代有権者10人にその背景を聞いてみた。【大隈慎吾、水戸健一、野原寛史】
 毎日新聞が9月に2度実施した全国電話世論調査(9月2、3日と同26、27日)によると、全体として20代以下(10代を含む)と30代は、40代以上の高齢層に比べて内閣支持率も自民党支持率も高い傾向を示した
 最初の調査では20代以下の内閣支持率5割弱に対し、70歳以上や40代は4割台、他の世代は3割台どまりで、20代以下の高さが際立った。2度目の調査でも20代以下と30代は4割台で、40代以上は3割台にとどまった。
 年代別の自民党支持率も、最初の調査は20代以下が4割弱と最も高く、30〜60代の2割台と好対照。
〔中略〕
 こうした傾向について、10代有権者の多くは「何も知らないままなら、有名な候補に」などと政治的な知識不足を背景にあげた。福岡市の男子大学生(19)は「知らないし、わからないと現状維持で問題ないと考えるからではないか」と話す。
 「関心のない人がとりあえず名前を知っているから入れている」「自分の主張がないから、支持者の多い方に流される」などと同世代に厳しい指摘もあるが、「民主党政権はマニフェストも達成できず、インターネットの発達で失敗も隠せない」「安倍(晋三)首相はリオ五輪閉会式のスーパーマリオの演出など見せ方もうまい」といった声も聞かれた。
 世代間の違いを指摘する声も出た。北海道の男子大学生(19)は「自分たちは子供のころから雇用難。安倍政権で景気や雇用が改善し、わざわざ交代させる必要もないと考えているのでは」と話す。
 大阪市の予備校生(18)は「私の祖父母は野党側の考えに近いが、若い世代は安保闘争のような大きな政治運動の経験がない。野党の政策はどこか理想主義的で、現実的な対応をしてくれそうな自民がよく見える」と解説した。
 有権者の政治意識や投票行動を研究する松本正生・埼玉大社会調査研究センター長によると、他の各種世論調査でも10代を含む若い世代で内閣や自民党の支持率が高い傾向にあり、男性が女性よりも高いという。松本さんは「安倍首相のきっぱりとした物言いや態度に若者が好感を抱き、ある程度の固定ファンがいるのではないか。大企業や正社員を中心とする雇用の売り手市場や株高の現状が続いてほしいという願望が、若い世代で強いのだろう」と話す。”

最近、注目されているのがこの若年層の安倍支持の高さである。
勿論、若くて未熟なので見え見えの出任せに騙される世間知らずのせいでもあろう。
今の失業率低下が、実質賃金切り下げ+生産年齢人口減少+世界経済成長であり
安倍政権の手柄などではないという事実が理解できないリテラシーの低さもあろう。

しかし、この現象の根本にはより深刻な問題が隠れている。
山口二郎教授は「生活保守主義」と名付けたが、
自分の生活さえ良ければあとはどうでもいいとする無関心、
変化を嫌い安定を望む保守退嬰である
(決して保守主義ではない)。


「売り手市場が続いてほしい」:20代が希望の党より自民党を支持する理由(BUSINESS INSIDER JAPAN)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171011-00010002-binsider-bus_all
”強引な国会運営に批判はありつつも、若年層で安倍政権への批判は多数にはなっていない。
 民進党が事実上解党し、小池百合子代表が率いる希望の党が過半数獲得を目指すなど、自民党の大幅議席減の可能性も出てきたが、若者の自民党支持は高止まりしている。
 読売新聞社が衆院解散直後の9月28日夕から29日にかけて行った緊急全国世論調査では、衆院比例選での投票先は、50代で自民党と希望の党が各25%で並ぶ中、18~29歳では自民党が5割強、希望の党は1割と大差がついている(全体では自民党が34%、希望が19%)。
 毎日新聞の世論調査でも若者の安倍政権への支持は高い。9月26、27日に行われた全国電話世論調査では、20代以下(18~29歳)と30代の安倍内閣支持率4割台に対し、40代以上は3割台にとどまる。
 また、共同通信社の第2回衆院選トレンド調査(9月30日、10月1日実施)で、安倍首相と希望の党の小池代表とどちらが首相にふさわしいか聞いたところ、安倍首相を選んだのは30代以下の若年層が57.4 %と最も高く、高齢層(60代以上)の39.8%より20ポイント近くも高い結果となった(全体では45.9%が安倍首相、33%が小池代表)。
〔中略〕
 実際に若者の声を聞くと、まず聞こえてくるのは経済政策への評価だ。
 都内の私立大2年の男子学生(21)はこう語る。
「自分と高校も大学も同じ2歳上の兄がいい会社に就職できているし、サークルの先輩も就活に成功している人が多い。アベノミクス以降、株高、企業の業績向上、ベースアップが実現している。このまま今の売り手市場が続いてほしい」
 地元の広島県では、叔父が人材派遣会社を経営しているが、安倍政権になって以降、会社の調子がいいとよく聞く。近所の自動車部品工場でもトラックの行き来が明らかに増えている。
「民主党政権時代は大変だったと聞いています」
 地方の国立大3年の女子大生(21)も、今回自民党に投票するという。「政権交代以降、売り手市場になっていて、先輩たちの就活も安定している。失敗している人はあまり聞いたことがない」と語るなど、アベノミクスへの評価は高い。
 実際、9月29日に発表された平成29年版厚生労働省「労働経済の分析」によると、全ての年代で失業率は低下傾向にあるが、中でも15~24歳の若年層の失業率は第2次安倍政権誕生以降、大きく低下している。
 要因としては企業が人手不足から採用活動を活発化していることが大きいが、学生からすると「アベノミクスの恩恵」と映るのだろう。
 特に、学生に大きな影響を与える内定率はかつてないほどに改善している。
 大学等卒業予定者の就職内定率は2011年3月卒の91.0%を底として、2012年以降改善を続けており、2017年3月卒の就職内定率は前年同期比0.3ポイント上昇して97.6%と1997年の調査開始以降で最高の水準となっている。同様に、2013年以降平均給与は上昇を続け、初任給も上昇している。安倍政権を変えたい、という願望には結びつかないのだろう。
〔中略〕
民主党政権の強い負のイメージ
 一方で、今の20代にとって政権交代の負のイメージは強い。
 前出の女子学生は1996年生まれ。「中学生という社会に関心を持ち始めた頃にちょうど民主党への政権交代がおき、何か変わると期待したけど、途中で人が抜けたりグダグダになったイメージが強い」と話す。
 同じく前出の男子学生も1996年生まれ。「民主党政権時代は他国に足元を見られて竹島や尖閣諸島に上陸されたり、対応が弱々しかった。安倍首相は周辺国からの挑発にも毅然と対応していて頼もしく感じる」と外交面での違いについて語る。

 新しい動きである希望の党については、「確かに新党だけど、民進党の議員も多くて、あまり信用できない」。
 若い世代には盤石な支持を誇る安倍政権だが、一党多弱による強硬な国会運営などで、森友・加計問題の報道がピークになった7月には10代・20代の内閣支持率が半減するなど、支持離れも素早い。
 しかし、それを差し引いても政権交代には期待できないという声は多いのだ。
 首都圏在住の地方公務員の男性(28)は、自民党を支持する理由として、「突然の事態にも安定して対応できそうな点」を挙げる。今後北朝鮮の有事が懸念される中、民主党政権時代の東日本大震災対応、安全保障への取り組み、国会審議などを見て、今の野党には任せられないという。

小池都政への低い評価
 一方、圧倒的な支持を集め、都知事に就任、民進党の大半を事実上吸収した小池代表が率いる希望の党への期待も弱い。
「確かに、都知事選では圧倒的な支持を受けていたが、それを盾に都政を混乱させたようにしか見えない。特に豊洲市場への移転問題では、豊洲が“市場として”安全なのかよりも、『安心できない』というイメージを優先させ、混乱が生じ、多くの関係者に迷惑がかかるだけでなく、環状2号線の工事が遅れるなどの経済的損失まで招いた。事実判断に基づく冷静な都政ではなく、印象による思い付きの都政が横行しているようで評価はできない」(都内私立大4年生男子)。
 2016年の都知事選では改革を期待して小池都知事に投票し、国政では日本維新の会を支持している理系の大学院生(24)はこう語る。
「希望の党と日本維新の会が掲げている政策は似ているが、実行力が違う。小池都知事は築地問題や東京五輪でちゃぶ台返しを繰り返し、情報公開も甘い。都知事選で掲げた公約がほとんど実現できていないのに、希望の党の公約が実現できるとは思えない。都政で成果を出さないと信用できない」
 また、希望の党は一部の民進党議員を「排除」したが、自分をリベラルだと主張する大学生(23)は自民党支持の理由をこう語る。
自民党は保守もリベラルもいるから議論が盛んだし、多様な考えを許容しているように見える。LGBT議連会長の馳浩衆議院議員など、リベラル政策を推進している人も一定数いる。多様な考えを持つ議員が互いに議論できる文化があった方が長期的には安定すると思う。立憲民主党の考えも反対ではないけど、政権を取れる見込みがないし、それなら自民党内にリベラルな議員が増えた方がいい」
 都内の大学に通う男子学生(22)も、やはり民主党政権時代の二の舞はご免だという。
「民主党政権は『政権交代』というプロセスだけを掲げ、『どういった政治を行うのか』がないまま瓦解した。希望の党も『しがらみ政治の打破』を掲げるが、『どういった政治を行うのか』が見えず、手段が目的化してしまっている。これでは、民主党の二の舞になりかねず、政権選択の候補として希望の党を取り扱うことはできない」
 要は変革による「不安定さ」を何よりも恐れているのだ。


自民党と維新が「リベラル」
 国家を運営する上で安定性はもちろん重要だ。
 一般的には「保守」だと表現される自民党だが、若者世代からは違った形に見えている。
 読売新聞社と早稲田大学現代政治経済研究所が2017年7~8月に共同で行った調査結果によると、40代以下は自民党と日本維新の会を「リベラル」な政党だと捉えており、共産党や公明党を「保守的」な政党だと捉えている。対して、50代以上は、従来のように、自民党や日本維新の会を「保守」と捉え、共産党を「リベラル」だと捉えるなど、大きな「断層」が生じている。

〔中略〕
 一方、安倍政権に十分満足している若者も多くはない。支持のほとんどが消極的支持であり、対抗馬がないことを嘆く
「本当は若者や弱者を重視したリベラルな政党に投票したい。けれど日本の野党は現実的な対案を示さず、無意味な揚げ足取りも多い。二大政党制ができるべきだと思うけど、現状では自民党内で“政権交代“した方が日本にとってはいい」(27歳男性会社員)
 情報源が多様化し、実績も容易に数値化されるようになった現代を生きる若者は、思想的に政党を支持してきた高齢世代に比べ、より現実的に「国民の生活を向上させ、守ってくれる」というイメージを大切にしている。
 それを批判するのはたやすいが、「上の世代は一度政権交代して失敗したら戻せばいいと言うけど、私たち20代前半にとってはその数年が大きい」(21歳女子学生)の言葉は重い。 (文・室橋祐貴)”

このように、愚かな若年層は実質賃金切り下げと人口老化による失業率低下を
安倍政権のお蔭であるかのように考えて喜んでいる。
雨乞いの儀式で雨が降ったから大喜びする古代人と全く同じである。
今、目先しか見えない安倍政権がいかにリスクの高い政策を行い、
経済成長どころかバラ撒きと低成長をもたらす存在であるかも理解できない。

かつて満州事変を支持したのがこうした視野の狭い大衆だった。
今のあさはかな愚行が、近い将来の大災厄として戻ってきた際に、
「騙された」「安倍が悪い」と袋叩きにするであろう。自らの不明を棚に上げて。

悲しいことにバラ撒きとリベラルの違いも分かっていないだけでなく、
安倍政権の外交・安全保障政策がお粗末で寧ろ有害であることを
理解できない軍事リテラシーの低さも1930年代の大衆と同じなのである。
これで日本が危機に陥らない訳がない。


「給料より休日」初めて上回る 新入社員意識調査 私生活重視の「自分ファースト」(産経新聞)
https://www.sankeibiz.jp/econome/news/170509/ecd1705091429003-n1.htm
会社に望むのは給料が増えることより、休日が増えること-。今年度の新入社員が「働き方」を重視する傾向にあることが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが9日、公表した意識調査で明らかになった。「給料」を「休日」が逆転したのは平成16年度の調査開始以来初めてで、同社は「会社に尽くすのではなく私生活を重視する『自分ファースト』のライフスタイルだ」と分析している。
 調査は同社が実施する新入社員セミナーの参加者を対象に、3月下旬~4月上旬に約1300人から回答を得た。
 新入社員が会社に望むことは「人間関係が良い」が最多で、次いで「自分の能力の発揮、向上ができる」。ただ、能力の発揮や向上を望む新入社員の割合は減少傾向で、今年度は初めて6割を下回った。その一方で「残業がない、休日が増える」ことや「私生活に干渉されない」ことを望む割合は増加傾向だった。〔以下略〕”

安倍政権支持の多い層の実態はこうだ。
自己中心的で成長を望まない層の安倍政権支持率が高いということは、極めて不吉だ。
安倍政権の政策が利己主義と怠惰を蔓延させているという事実が示唆されるからである。


学生の受け身傾向強まる? 学習方法は「教員が指導・支援するほうがよい」との回答が増加(careerconnection)
https://news.careerconnection.jp/?p=39372
”ベネッセ教育総合研究所は8月8日、大学生の学習・生活実態調査の結果を発表した。同調査は2008年以来4年ごとに実施されており、今回が3回目となる。対象は全国の大学1年生~4年生合計4948人で、2016年11月から12月にかけて、インターネット上で実施した。
「楽に単位を取れる授業がいい」過去最高の61.4%
 授業スタイルを聞く質問では、近年注目されているアクティブ・ラーニング型の授業を受ける機会が増加しているようだ。「グループワークなどの共同作業をする授業」がよくあったと答えた学生は、8年前より20ポイント近く増加して71.4%に上った。
〔中略〕
 「異なる意見や立場に配慮する」(67.4%)、「自分の意見を言う」(58.9%)が共に最高値を記録したことから、今の学生は、集団の中で意見をスムーズに主張する訓練を積んでいると分かる。
 ただ、全体的な傾向としては主体性の低下がみられる。大学・学部を選ぶ際、「興味のある学問分野がある」という理由で選んだのは54.5%と、これまでで最も低かった。「大学での学習の方法は、大学の授業で指導をうけるのがよい」という回答も11.4ポイント増えて50.7%、「大学生活については、大学の教員が指導・支援するほうがよい」は22.9ポイント増えて38.2%と、どれも過去8年で最も高くなっている
 自分で工夫するより誰かに指導してほしい、という受け身の姿勢が強くなっているようだ。
 こうした主体性の低さも影響しているのか、大学に対する総合的な満足度は51.1%と過去最低で、「期待通りの学生生活を送っている」人も48.1%と、調査開始以後初めて半数を下回った。
■2人に1人は「友達と話が合わないと不安」、困ったときは「保護者が助けてくれる」
 授業を選ぶ際には、「あまり興味がなくても、単位を楽にとれる授業がよい」と考える人が多く、8年前より12.5ポイント増加して61.4%だった。これは「単位を取るのが難しくても、自分の興味のある授業が良い」の38.6%を大幅に上回っている。
 調査ではこの理由を明らかにしていないが、「学生生活でアルバイトに力を入れた」と回答した人の増加幅が6.7ポイントと他項目より大きい点に注目すると、アルバイトの時間確保と単位取得を両立させるため、負荷の小さい授業を選択する傾向が強まったのではないかとも推測できる。
〔中略〕
 友達や保護者との関係も変化している。「一人で行動しても気にならない」と答えた学生の数は8年前と変わらず80%前後だったが、「友達と話が合わないと不安」と答えた人は56.9%と、42%から14ポイント増加していた。
 困ったことが起きたときの対処方法も、「保護者が助けてくれる」(57.8%)が「自分で解決する」(42.2%)を上回り、初めて半数を越えた。意思決定においても、自分で決めるより「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」と答える割合が年々増加している。学生の受け身・他力傾向が強まっているようだ。

こちらも同じである。安倍政権のバラ撒き政策はこうした主体性の欠如を生み、
他者への依存を強め、「楽な道」を求める悪しき性質を助長するものだと判断できる。
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