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国交省の想定は外れてばかり、「国土強靭化」は予算の無駄と実証 - 命を守るのは住民主導の対策と訓練だ

2018-07-19 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
国交省が治水計画の見直しに着手するとのことなので、
矢張り国交省も自らの見通しが役に立たず、想定が外れている事実を
認めざるを得なくなった訳である。

しかし悲しいことに「業界」との関係が余りに深過ぎる官庁だけあって、
「堤防の高さやダムのかさ上げ」等という旧態依然の対処しかない。

相変わらず、防災の実効性や費用対効果を無視して
防災事業の焼け太りのような非効率的状況を脱する見込みがない。

諸先輩方に逆らえない組織というものは、正しい方向へ舵取りすることが非常に難しい、
そうした深刻な現実をまた改めて証明してしまったと言える。

安倍自民の国土強靭化(という名前の選挙対策のバラ撒き)や省庁の防災対策の
非効率性を嘲笑うように、住民主導の防災対策と訓練で「一人の犠牲も出さなかった」
奇跡的な団地が広島にあるが、安倍も自民も霞が関の組織人間も何も学ばないのだろう。

その「奇跡の団地」の合言葉は「自分の命は自分で守る」であり、
災害においては業界バラ撒きに必死の安倍や自民など信用してはならず、
緊急時には官庁や自治体が住民を救ってくれる訳ではないと教えてくれているのだ。

それを理解できずに国土強靭化などという欺瞞的な標語を信じる地域住民は、
これまでの口だけ「復興」事業と同様に、故郷を衰退に向かわせることとなろう。

▽ 地方で重要なのは人材の「質」であり、土木建設で再生する自治体などただの一つもない

『奇跡の村 地方は「人」で再生する』(相川俊英,集英社)


悲しい話だが、当ウェブログが前々から指摘してきた通りだ。

「元々、東日本大震災の被災地は過疎に苦しんでいた地域が多く、
 多くの識者が当該地域からの人口流出が起きると予想しており
 「復興」どころか「復旧」すら困難であることは予想されていた」

「加えて原発事故による壮烈な風評被害で
 福島とその近隣の第一次産業・観光業が凄まじい打撃を受けており、
 深刻な影響は後々まで残ることになる」

「知られているように被災地支援の熱意と活動は漸減するものである。
 被災地での日常回復も個々の状況や資質によって「まだら模様」となり、
 被災による打撃が甚大であった人々、復興の動きに取り残された人々は
 経済的にも心理的にもより苦しい状況に追い詰められつつある」

「寄付金でも「買って応援」でも彼らの苦境は改善されない。
 まして、自民党が票田にカネをばら撒き、選挙に勝つための方便である
 「国土強靭化」では復興が永遠に不可能なのは明白である。
 (せいぜい彼ら利益共同体の「利権回復」でしかない)」

「陛下が震災の影響が色濃く残っている被災地の現状に心を痛め、
 深い気遣いをされているのを聞いてしみじみと心打たれた後に、
 安倍首相のいつもの空々しい言辞を聞いて猛然と怒りが込み上げてきた」

「復興が進んでいる一部の見た目の良い場所だけで物見遊山し、
 震災が「新しいステージ」に入ったなどととんでもない嘘を吐く政治家は、
 天皇陛下のお気持ちを踏みにじる叛逆者に限りなく近い」

「今、被災地は復興どころか復旧も不可能になりつつある。
 それは様々な理由に基づくものだが、最大の理由の一つは安倍政権である」

「「国土強靭化」などと愚劣なプロパガンダを展開して
 公共事業予算を全国津々浦々にバラ撒いたために
 被災地に向かう筈の資材も労働者も一気に分散し、コストも高騰した」

「自民党のお家芸である業界買収策の余波で、
 ただでさえ困難な復興が遅れに遅れ、
 自民党と癒着している建設業界が優先するのは「ハコモノ」である。
 生活再建は業界に及ぼす恩恵が少ないので後回しにされる」

「このようなことは、自民党の通弊として、
 これまでの「実績」から見て分かり切った話だった」

「権力の監視どころか「権力の犬」になっている御用メディアは恥さらしである。
 こうした被災地の実情を知っていたら、「新しいステージ」が嘘八百である位はすぐ分かる筈だ」

「口ではいいことを言うが、相変わらず中身が伴っていない安倍首相。
 状況がかなり良い場所ばかり視察し、子供と一緒に写真に収まって
 自分のイメージだけ良くしようとする魂胆が見え見えである」

「あのバラ撒き民主党よりも自民党は6兆円の予算を上積みしていた。
 この巨額予算が、人口流出した被災地の巨大な建造物に化けたのである」

「震災復興がうまくいかなかったことは、この速報を見れば明白である。
 安倍政権による「被害」はこれにとどまらない。
 建設業ばかりに労働者が集中した被災地は、二度と立ち直れなくなる。
 自前の産業を失い、産業が空洞化する。政治家に予算を求めて生きるしかなくなる」

「被災地には穏和な人が多く、支援を受けて感謝している。
 だからはっきりと言わないのだが、本音は以下の通りだ。
 「安倍首相は大嘘つきで、「新しいステージ」になど入っていない」
 「安倍政権や自民党は、被災地よりも建設業界のために行動している」
 「震災復興は失敗しており、復旧すら不可能になった」」

「口だけ安倍政権が、経済ばかりか震災復興でも成果に乏しく、
 寧ろ復興を妨害している様相が明らかになってきた」

「「被災地の復興に向けた取り組みを加速する」などとまた空々しい美辞麗句を語るが
 映りの良い子供と一緒に御用メディアのテレビに映ってばかりで、
 震災復興が思うように進んでいない苦い現実を誤摩化そうとしている」

「その見え透いた小細工も道理であり、人の少ない場所に巨大な土木工事ばかり進み、
 自民党の票田である建設業界ばかりが儲かっているのが現実だからだ。
 自民党の国土強靭化こそが震災復興を妨げる根源なのだから、誤摩化すしかない」

「国勢調査によれば、被災地の人口流出は加速している。
 確かにインフラが失われてしまえば生活が困難になるから仕方のない面もあるが、
 福島の深刻な人口減少をみれば、「復興に向けた取り組みを加速」などと大嘘をつくのは
 とんでもない話であるばかりか、政権の重大な責任を認識すらしていない事実を示すものだ」

「また、岩手・宮城の人口減少トレンドは全く変わっていない。
 「取り組みを加速」したつもりだけで、成果は乏しい低能の証拠であるのは明白だ」

「「復興を加速」と称した安倍首相の発言は嘘で、
 投入した兆円規模の予算にもかかわらず
 東日本大震災の被災地復興ははかばかしくない」

「矢張り「復興格差」が進んでおり、特に福島原発事故の悪影響が甚大である。
 2020年に日本国民が東京五輪に束の間の熱狂を見せる時にも、
 多くの被災地自治体は今と左程変わらない現実を痛感せざるを得なくなる」

「これも大方の予想通りであろう、
 カネをいくら投入して公共事業を行っても、かつての生活が戻ってくる筈がないし
 被災地には元々人口流出・減少が続いていた地域が多いこと、
 そして福島原発事故は不可逆的かつ長年に及ぶ悪影響を与えていることから、
 復興が容易でないことは初めから分かっていたことなのだが」

「軽々しく大言壮語した安倍首相と、
 社員に対して「高く評価されている」と豪語する東電社長の言葉が、
 かつての暮らしを取り戻せない被災地の現状の前で
 白々しく響くだけなのは至極当然のことと言える」

「このままだと、建設業への降って湧いた特需と
 仙台など一部の震災バブルに終わってしまいかねない。
 多くの人々の命が失われ、コミュニティと生活が破壊された末に
 そうした結果しか残らないのなら、「復興」という言葉に対する深い不信ばかりが残る」

現状は「人口流出が進む被災地の現状は明白な復興の「失敗」を示している」と当ウェブログが指摘した通りだ。

▽ 巨額の公共事業による復興は確実に失敗する、安倍自民は過去の教訓から学ぶ能力ゼロ

『震災復興 欺瞞の構図』(原田泰)


「東日本大震災での「復興」の失敗は、西日本の豪雨災害でも繰り返されることとなろう」
とした当ウェブログの不吉な予言が的中しないことを祈っているが。。

「今回の西日本の豪雨災害により、改めて確認できたことがある。
 日本は「民度一流、議員三流以下」の国である」

「名もなき一般国民が、自前でボートを出して被災者を助けて廻ったり、
 自らも被災しているにも関わらず真っ先に炊き出しを始めたり、
 今回もまた諸外国が讃歎を惜しまない驚くべき事例が複数ある」

「しかし、この前例のない豪雨災害において一般国民の示した「民度の高さ」と、
 与党議員の示した自己中や「程度の低さ」が真に驚嘆すべきコントラストだ」

「「赤坂自民亭」炎上の件も醜悪だが、それは実は本質ではない。
 腐敗した自民党議員が大勢の犠牲者や被災者を「利用」して
 「国土強靭化」と称した業界バラ撒きの謀略を巡らせているのが最悪なのだ」

「死者を利用して予算を出させ、自分の票に繋げるという
 人間として最低最悪の行動と言っても過言ではない。
 (勿論、議員としても最低最悪であるのは言う迄もない)
 こうした「反社」議員の歳費を大幅カットして復興予算に投入すべきであろう」

「腐敗したこの連中の「業界バラ撒き」が地方自治体を衰退させ、
 地方からの人口流出と高齢化を加速させてきたのである」

「論より証拠、東日本大震災でも今回の豪雨災害でも、
 安倍の口だけ「国土強靭化」は殆ど効果を発揮せず、
 防災・減災に役立った予算の方が遥かに少ない位である。
 政策リテラシーが果てしなく低い安倍が何もしていないのは想定内だが、
 自民党議員も国交省も防災の費用対効果や検証を碌に行っていない」

「腐敗している上に大勢の国民を無視し、
 自分の選挙と票田への利益誘導しか考えていない
 自民党議員はまさに「国賊」と言うべきなのだが、
 こうした「国賊」を議員として選んだのが「民度」の高い国民なのだから不思議だ」

「考えられる結論はただ一つ、「日本国民の最悪の資質を反映したのが自民党議員」で、
 日本国民の自己中心的で利益誘導ばかり求める体質が国会議員に集中的に体現されているのだ。
 (実績や日頃の行動から見てそれ以外の結論は出ない)」

残念ながら「戦略上の大失敗を、戦術の巧妙さで取り返すことはできない」のである。

 ↓ 参考

なぜ、民度の高い国民が程度の低い議員をクビにしないのか - 自民党内で被災口実の予算分捕り謀議始まる
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/fc58fc656ca3ad3e4968ebcb4cff9d79

復興予算6兆円増額して人口減少が止まらず、安倍政権はもはや害悪 -「復興進んでいない」が住民の54%
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d54f95e8d21729902e8ae49c5c25d54a

「震災で亡くなった人より震災後に移転した人が多い」- 安倍首相の言う「新しいステージ」は単なる妄想
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3c13a5dbae5c3f0ac480048d45ffedf1

被災地の女性の貧困が深刻化、自営業者・パートの約7割が失業中 -「国土強靭化」で復興できる筈がない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/af4ca12c6b88a24beb5dfa856ad6ee5f

▽ 高齢化と人口減少で苦しんでいる自治体は、被災により二重三重の打撃を受ける(東日本大震災の二の舞)

『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減』(増田寛也,中央公論新社)


治水計画:国交省が見直し着手 記録的豪雨の急増に対処(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20180712/k00/00e/040/271000c.html
”国土交通省は、地球温暖化による豪雨の増加などを想定した治水計画の見直しを始めた。
〔中略〕
 国交省河川計画課の担当者は「気候変動の予測には幅があり想定は難しいが、西日本を襲った記録的な豪雨が将来頻発することを前提に見直しを進めたい」と話す。
 国内では近年、豪雨で想定を超える浸水被害が多発。過去30年で1時間の雨量が50ミリを超える雨の発生回数が約1.4倍になるなど、短時間で大雨となる回数が増加した。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、温暖化によりこうした極端な降水がより強く、より頻繁になる可能性が高いと指摘する。
 一方、国や都道府県が管理する河川の治水計画は、過去のデータに基づく降雨を前提とし、気候変動に伴う将来の降雨量の増加は考慮していなかった。
 このため国交省が専門家による検討会を設置し、今世紀末までに気温が約4度上昇した場合を想定し試算したところ、現状の治水計画では1級河川で洪水が発生する確率が約4倍となった
 8月にもまとめる検討会の中間報告書には、河川の治水計画を見直す場合に将来の豪雨の増加分を見込み、堤防の高さやダムのかさ上げなどをするよう盛り込む。河川の最大流量や浸水想定区域も再検討するよう求める。国交省は中間報告書を今後、全国の河川整備計画に反映する方針だ。【斎藤有香】”

そろそろ国交省は非合理的な防災計画を諦めるべきで、
防災工事の費用に見合わない地域からの住民の移動を促進しなければならない。
その方がコストにも見合うし、住民の命を守れるからだ。
以下の報道を見ても分かるように、国交省主導の防災が主役となる時代は終わりつつある。


土石流でもけが人ゼロの団地 結実した訓練と担当者制度(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL7K44TZL7KPTIL00H.html
”西日本を襲った豪雨が引き起こした土石流は、各地の山あいの集落になだれ込んだ。広島県東広島市黒瀬町の洋国(ようこく)団地では、一戸建て49戸のうち約10戸が大破し、ほかの約10戸にも土砂が流れ込んだ。しかし、犠牲者やけが人はゼロ。「日頃の自主防災活動が実を結んだ」と感じる住民もいる。
 6日朝、洋国団地は激しい雨音に包まれていた。
 「空襲みたいな雨の音じゃ」。団地に暮らす女性(90)は昔を思い出し、怖くなった。女性も夫(83)も足が不自由だ。土砂降りの雨の中、自分たちだけで避難するのは難しい。
 戸建てが並ぶ洋国団地では、災害時に自力で避難するのが難しい住民について避難を助ける「担当者」をあらかじめ決めていた。
〔中略〕
 団地を土石流が襲ったのはその翌朝だ。7日午前5時半ごろ、川の上流から地鳴りとともに土砂と濁流が団地に押し寄せた。
 森山博樹さん(56)の自宅1階は直径数メートルの岩や土砂でえぐられ、泥に覆われた。増田直美さん(42)の自宅前には濁流とともに乗用車7台が流れ着いた。
 このとき、団地の住民約95人のうち、足の不自由な高齢者ら約3分の1はすでに避難を終えていた。自宅に残っていた森山さんや増田さんも2階に逃げた。この団地では、死者もけが人も1人も出なかった。
 市のハザードマップによると、洋国団地は全域が「土石流被害想定箇所」とされている。団地では3年前から年2回、土砂災害を想定した避難訓練を続けてきた。毎回、住民の約4分の1が参加し、近くの老人集会所に実際に避難した。

 団地の自治会に訓練を提案したのは大野さんだ。2011年の東日本大震災をきっかけに、「災害はどこでも起こりうる。何かがあってからでは遅い」と考えた。市の担当者を呼んで防災講座を開いた。団地の家に危険が迫ったとき、少しでも遠くに逃げられるように、空き地の草を刈り、土地をならし、手作りの避難道をこしらえた。ハザードマップを常に持ち歩く。
 民生委員の経験もあり、歩くのが難しい高齢者や障害のある住民が団地にいることも把握していた。避難を助ける「担当者制度」を考案し、民生委員ら5人を「担当者」に決めた。実際に介助ベルトを使って背負って運ぶ訓練もした。

 大野さんとともに防災活動に取り組む山本俊徳(としのり)さん(71)は、自治会の掃除などで顔を合わせる住民たちに、「自分の命は自分で守る。何かあったら早(はよ)う逃げんさいよ」と繰り返し訴えてきた。
 家々を襲った被害の大きさと、それでも守られた住民たちの命。
 「英会話と同じで、繰り返していたらいつか覚えてくれると信じていた。今回は偶然も大きいと思いますが、死者ゼロは奇跡です」と山本さんは言う。(半田尚子)

■自主的に立ち上げた「災害対策本部」
 土石流が団地に押し寄せた7日、住民は「洋国団地災害対策本部」を自主的に立ち上げた。以降、団地に住む現役の海上自衛官、川野憲一さん(48)が会議の議事録を作り続けている。1995年の阪神大震災など被災地に派遣された経験から「正確な情報を記録することが大事」と考えている。
〔中略〕
 その日の出来事とともに会議の参加者や議論の経過を記し、課題を整理する。
 「住人での復旧作業は危険がともない、二次被害が生起する恐れがある。専門家による現場検証後の委任作業に任せる」
 「今、目の前で起きていることの検証がいつか必要になる。詳細な記録は後世への教訓にもなる」と川野さんは言う。(半田尚子)”

国土強靭化よりもハザードマップ、それに加えて住民の意識と行動だ。
災害の危険性の高い地域ではそれしかない。
また、国交省は自らの見通しが外れている事実を直視し、
機動的に社会インフラの復旧を行える仕組みを整えるべきであろう。


北海道南西沖地震25年:最大の被災地 奥尻島で追悼行事(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20180713/k00/00m/040/151000c.html
”230人が犠牲になった1993年の北海道南西沖地震から25年がたった12日、最大の被災地・奥尻島(北海道奥尻町)で追悼行事があった。
 島では沿岸全域を襲った津波などにより198人が死亡・行方不明になった。
 107人が犠牲になった青苗地区の海岸では、遺族らが灯籠(とうろう)を流し、犠牲者の冥福を祈った。
〔中略〕
 地震は93年7月12日午後10時17分ごろ発生。マグニチュード(M)7.8で奥尻島は震度6だったと推定され、最大で30メートルを超す津波が押し寄せた。【山下智恵】
◇奥尻島、島民の高齢化、防災対策手探り
 198人が犠牲となった奥尻島では防潮堤や避難路の整備が進んだ。しかし、急速な高齢化に加え、より大規模な津波襲来も想定される中で、島民の命をいかに守るかが課題となっている。
 「揺れが収まって外に出たら、目の前の海を屋根が流れ、人がしがみついて助けを呼んでいた」。島南部の青苗地区には地震の約3分後に津波が押し寄せた。自営業、木元智幸さん(64)は高台に逃げたが、大規模火災も発生してこの地区で107人が犠牲になった。島西部にいた木元さんの両親も津波で亡くなった。
 復興事業で全長14キロ、最大高11メートルの防潮堤が築かれ、港の漁師がすぐ高い場所に逃げられるような人工地盤や避難路も整備された。「島内のどこからでも5分で高台に行ける」ように町は整えられた。
 その島に高齢化の波が押し寄せている。青苗地区の住民は4割が65歳以上。高台への避難路は急傾斜で、2年前まで区長を務めた木元さんは「一人では逃げられない人が多い。手助けができる人も限られる」と指摘する。道が2017年に発表した新たな津波浸水図も、町にとって衝撃だった。最大級の津波が発生すると最短1分で到達し、島内25の避難所のうち15カ所が浸水すると想定する。

 海沿いのわずかな平地と険しい斜面上の高台という厳しい地形の中で、新たな避難所の確保は難しい。今月上旬には雨で土砂崩れが発生し、島西部の神威脇地区が一時孤立した。土砂災害対応のハザードマップ作製の必要にも迫られるが、小さな町では人手も予算も追いつかない。町総務課防災係は「ハード面の整備は難しく、避難意識の徹底や声の掛け合いなどに期待している」と説明する。
 木元さんは「災害は『来ない』と思っていたら、それ以上のものが来たという繰り返し。避難路を想定しておくなど、今できることを確実にやっていくしかない」と唇をかみしめた。【山下智恵】”

自民党や政府の「復興」事業など信じてはならない。
これまでの被災地での「復興」の実態が明々白々に証明している。
奥尻島は地理的条件において著しく不利という点はあるものの、
東日本大震災の被災地でもそっくりの状況になっているのが何ともやりきれない。
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