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2期連続マイナス成長の元凶は「日本企業」、海外M&Aだけが過去最高 - 設備投資も賃上げも後ろ向き

2015-11-24 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
基本的に、経済団体の言う「経済対策」「経済政策」は自社への利益誘導であり、
必ずしも日本経済全体の利益をもたらすものではない。
日本経済への好影響と称して儲けるためのものである。

安倍政権以来、大企業は過去最高益続出で東証は一時ITバブルを超えたが、
実体経済は当時に遠く及ばす2四半期連続でマイナス成長となる始末。
実質賃金はいまだに民主党政権時の水準にすら届いていない。

それも至極当然の話で、大企業は経営努力以外の要因で高水準の利益を得て
株価を上げるための株主還元や、より成長の見込める海外展開に注力しているのだ。
海外M&Aの資金が過去最高を記録しているのがその証左である。

つまり、日本企業は日本国民を貧しくして得たカネで
海外企業を過去最高の勢いで「爆買い」しているのだ。
2015年だけで総額10兆円を超えるとの観測もあり、
円安による燃料費増加よりも遥かに巨額の富が海外に流出しているのである。
株主しか儲からず、日本国民が相対的に貧しくなるのは当たり前であろう。

これでまたアベノミクスの「次元の低さ」が立証されたと言える。
日本経済新聞調査によれば景気が改善すると考えているのはたった25%で
2期連続マイナス成長は世論も「織り込み済み」だったのである。

また、アメリカ経済回復という恩恵を受けてもこの惨状なのだから、
アベノミクスはマイナス成長ですら「上げ底」だと言えよう。
米経済がリセッションに陥っていれば、大幅なマイナス成長になっていた筈だ。

国内経済を伸ばす能力が完全に欠如している安倍政権は、
日本国民を豊かにすることなど永遠にできない。
それは能力の問題であるし、リテラシーの欠如でもある。

同時に、狡賢い富裕層の見え透いたプロパガンダに騙され、
愚かな政権に分不相応な票を与えてしまった国民の愚かな行動が、
日本経済を貧しくした元凶であるとも言えよう。

▽ 「失われた20年」でも日本の富裕層は政策を利用して金融資産を増やしていた

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


▽ 「レントシーカー」は企業献金で政策を操り、自らに利益誘導を行う

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


程度の低いアベノミクスが始まった当初から、
当ウェブログは警告してきた。完全に予想通りの惨状である。

「日本社会の醜悪な歪みは、ここ20年で最大の域にまで達したと言える。
 東証一部上場企業の利益はリーマンショックの年を上回り、
 上場企業の株主還元が13兆円と過去最高を記録したと報道されている」

「実質賃金はリーマンショックの年を更に下回る急落で、
 国民が刻々と貧しくなっていく一方で企業と株主だけが儲かっている構図である」

「企業収益と株主還元だけは「バブル」になっている。
 勤勉とイノベーションを生む苦闘によって儲かったのであれば良かろう。
 だが、この収益や株主還元は殆どが円安効果と市場操作によるものであり、
 日本企業の経営革新や体質強化によるものではない。
 (中小企業の収益と比較すれば明らかである)」

「前々から当ウェブログがはっきり書いているように、
 我が国では企業収益と国民所得はディカップリングしている。
 そしてその経済劣化を、自民党政権の次元の低さが更に深刻化させている」

「おまけに、株主還元の急増にはGPIFの日本株買い(=国民のカネで株主利益を増やす)と
 企業の自社株買い(=賃金を上げるのではなく株主を潤す)が大きく寄与している」
 
「異次元緩和に端を発する円安によって一般国民の賃金を切り下げて株価が上昇し
 大企業の収益が大幅改善した訳だから、株主は国民の富を盗んだのである」

「利益誘導が増える腐敗した経済では、格差が急速に拡大し
 OECDが言うように成長が阻害されるのである」

「当ウェブログが予言したように、2015年も日本の成長率の下方修正は確定したと言えよう」

「御用メディアは不都合な事実を誤摩化し、
 2014年がGDPマイナス1%もの経済縮小に陥ったばかりか、
 急速な円安でドル建てでの日本のGDPの収縮が止まらない現状が見えていない」

「日経平均が2000年のITバブルを超えたと報じられても
 日本社会においては全く高揚感がない。国民が豊かになっていないばかりか
 国民を貧しくして一部の者が儲かっているのだから当然である」

「日経新聞の調査では景気回復を実感している層はたった18%で、
 アベノミクス「自滅策」の次元の低さは明白である」

「リフレ派や財界の太鼓持ちどもは「あと数年待てば」などと大嘘をつくが、
 絶対に信用してはならない。我が国の成長率低迷が
 安倍政権になっても全く改善していないのは歴然たる事実である」

「金融市場も上海と同様のバブルに過ぎないから、
 安倍政権は体質のよく似た中共と仲良く没落するしか道はない」

「GPIFが株をいくら買っても消費が増える理由にはならない。
 投資家は消費性向が著しく低い上に数が少ないので、成長率を改善する力などない」

「成長率の低迷はそうした意味で完璧に予想通りである。
 実体経済と株式市場の乖離幅の異常な拡大は、
 あと数年で崩壊が起きることを示唆している」

「円安で水膨れした企業収益も操作された株価も「実力」などではない。
 追い風を「実力」と勘違いしていた2006年の再来でしかないのだ」

「役員報酬を増やしているのが円安恩恵の大きい電機や自動車であることから、
 彼らの報酬増が、実力よりも政策誘導(円安)によるものであることは明白だ。
 日本の経済成長率や国民所得の伸びとは、完全にディカップリングしている」

「家計金融資産を見ても、法人金融資産を見ても、
 カネを持っている個人や法人を政策で儲けさせることが
 日本経済全体に恩恵が及ばない愚策であるのは明白である」

いまだに目が覚めない浅慮なアベノミクス支持派と
消費税に責任転嫁するリフレ派が招いた必然の結果である。

▽ 日本企業は好況になると資金を貯め込み、労働分配率を低下させる

『日本資本主義の正体』(中野雅至,幻冬舎)


悲しい話だが、2期連続マイナス成長は当ウェブログとしては想定内だ。

「報道によれば日本企業の申告所得額は58兆円を超え、
 「記録のある1967年度以降で最高となった」と言う。
 しかし経済成長率は当時の数字に遠く及ばず、
 厚生労働省の調査では「生活が苦しい」は六割を超え過去最高となっている」

「アベノミクスは「国民から企業や投資家への所得移転」だと
 当ウェブログは前々から警告してきたが、予想通りの展開と言えよう」

「アベノミクスは、散々儲けた企業からも既に見放されつつあるが、
 国民も流石に安倍政権の閣僚の「経済第一」詐欺、「好循環」詐欺に騙されなくなってきている。
 (安倍政権になってから平均成長率も実質賃金も民主党政権より下回りそうな惨状だから、当然である)」

「真に経済を成長させるためには、財界バラ撒きのアベノミクスではなく、
 給付付き税額控除と現役世代への現物給付で労働投入を増やすこと、
 企業にエネルギー効率を引き上げる投資を強要すること、
 投資庁を設立して対内投資を促進し、保守退嬰の劣等経営層を市場から淘汰することが重要である」

「しかし安倍政権はこうした確実に効果の出る方法を選ばず、
 予算バラ撒きによる官僚への懐柔策(=公的部門の非効率に直結)や
 法人減税やTPP、企業サイドが儲かる規制緩和でまた財界バラ撒きを図っている。
 財界の政治献金にたかるシロアリ政党の本性は、不治の病と見える」

「有権者がもっと早く、アベノミクスの腐った本性を見抜いていれば、
 日本経済もこれほど歪んだ状況に陥らなかったのだが」

「最も愚かで、最も鈍い者が事態の急速な悪化を認めた時、
 日本経済は既に「手遅れ」の状態となるであろう」

ジム・ロジャーズ氏が予言したように、
「三本の矢」が安倍首相の背中に命中するのは避けられない。
あとは日本経済に及ぶ甚大な被害をどれだけ軽減できるか、である。

 ↓ 参考

「景気よくなると思う」がたった25%、日本国民もアベノミクスに死刑宣告 -「生活が苦しい」は過去最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/30a941ef4c04bab879a27adbf39dc69e‎

東証ITバブル越えでも「景気回復を実感していない」75%、実質賃金も24ヵ月下落-株価操作に未来なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0c8509e8a335d82986df4fd21c416b4a

2015年も実質賃金の下落は確定、70%以上の企業が増税分を補えず - 企業収益は配当とM&A原資に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2dab93e457c6119343648b9cfe58f55f‎

▽ アベノミクスと円安が現役世代の貧困率を着実に悪化させている

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


企業の設備投資不振、資金は海外へ 研究開発も拡充(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF21H03_T21C15A1NN1000/
企業の設備投資が振るわない。直近は4~6月期、7~9月期とも前期比年率で5%前後減り、実質国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナスに陥る要因となった。空前の利益を上げる企業がなぜ動かないのか。背景を探ると、海外展開や研究開発にお金を回したい経営者の心理や、技術革新を受けた投資の変質など多くの要因が浮かび上がる。企業の内部留保の活用策を議論する26日の官民対話でも、これらの論点がテーマになりそ…〔以下略〕”

国内市場が伸びていないのだから、
日本企業が国内に積極投資する筈がない。
大企業を儲けさせても日本経済が低迷するのは当たり前である。


景気回復シナリオ誤算 7~9月GDP、2期連続マイナス(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS16H1H_W5A111C1EAF000/
”内閣府が16日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)は2期連続マイナス成長となり、日本経済の足踏みが長引いていることを示した。けん引役と期待された設備投資が計画倒れに終わり、個人消費や輸出の回復は力強さを欠いた。10~12月以降は緩やかな回復に向かうとの見方もあるが、景気の先行きには懸念材料が目立つ。
 政府も民間エコノミストも4~6月期の落ち込みは一時的で、7~9月期はプラス成長に戻り、景気は緩やかに回復するとみていた。シナリオが狂ったのは中国やアジア経済の減速の度合いが想像以上で、企業が設備投資を先送りする動きが広がったことが大きい。
 日銀の9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2015年度の大企業・全産業の設備投資計画は14年度比10.9%増と、6月調査(9.3%増)から上方修正された。企業収益は過去最高水準にあり、設備投資計画は依然強気だ。しかしGDPの設備投資は4~6月期の前期比1.2%減に続き7~9月期も1.3%減と2期連続のマイナスとなった。
 GDPの6割を占める個人消費は前期比0.5%増と、食料品などの値上げが相次いだ4~6月期(0.6%減)からの戻りは弱かった。GDPの実質雇用者報酬は前年同期比1.6%増と伸びているが、パートの増加が全体の報酬を押し上げている面がある。賃上げやボーナス増の広がりは乏しく、1人あたりの実質賃金は7~9月期で前年同期比0.3%増にとどまっている。
 品目別でみても夏の猛暑効果や9月の大型連休で増えた消費が多い。円安の進行や天候不順で食料品の価格上昇が止まらず、家計には節約志向が広がった。
〔中略〕
 輸出から輸入を差し引いた外需は0.1%増となった。原油安などの影響で輸入の伸びが小さかったことが下支えしており、輸出の回復ペースは鈍い。輸出の数量を示す指数は米国、欧州、中国、アジアともに前期から落ち込んでおり、基調は強くない。
 今回のGDPがマイナスになった要因として、民間在庫が0.5%押し下げたことが大きい。在庫調整が進むと、GDP上はマイナス方向に働く。内閣府は在庫を除けば前期比年率1.4%増となり、0.8%減という数字ほど実態は悪くないと分析している。
 内閣府は景気は緩やかな回復に向かい、個人消費が持ち直し、設備投資が増加するとみている。ただ、海外経済の下振れリスクやパリの同時テロの余波など不透明感は残っている。”

日経新聞は海外経済減速のためとしているが、そうではない。
愚かな安倍政権が国内市場を成長させる政策を全く行っておらず、
実質賃金を切り下げて国民を貧しくしたからこうなるのである。

スウェーデンのように女性就業率を高め、
育児支援と雇用政策に税収を投入するとともに
省エネや対内投資を促進しないから低成長に陥るのだ。


海外M&A、過去最高=9カ月で9兆円超―15年(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151002-00000137-jij-bus_all
2015年1~9月期に日本企業が行った海外企業に対する合併・買収(M&A)金額が前年同期比94.4%増の9兆268億円となったことが2日、 M&A助言会社レコフ(東京)の調べで分かった。保険会社の大型買収が相次いだことなどで、これまでの年間過去最高だった06年の8兆6089億円を既に突破。レコフは「15年は10兆円を超える可能性もある」とみている。”

このように、海外M&Aだけが過去最高である。
低成長から抜け出せない日本経済と正反対であり、
これこそ安倍政権の次元の低い政策の必然の帰結なのだ。


夏のボーナス、前年比2.8%減 非正社員の増加受け(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASHC67JXWHC6ULFA03W.html
”今夏のボーナスの1人あたり平均額は、前年より2.8%少ない35万6791円で、2年ぶりに減った。非正社員の割合は2014年に初めて4割に達しており、厚生労働省は減少の理由を「ボーナスの支給水準が低かったり支給されなかったりするパートや嘱託など、非正社員の割合が高まった」と説明している。
 厚労省が9日発表した。減少幅は、リーマン・ショック翌年の09年(9.8%減)以来の大きさとなる。従業員数が多い産業ごとにみると、卸売業・小売業が6.5%減の29万6120円、医療・福祉が4.7%減の25万7278円、製造業が3.3%減の49万4777円で、いずれも落ち込んだ。従業員5人以上のおよそ3万3千事業所を対象に調べた。
 一方、従業員500人以上の上場企業140社への経団連の調査では、妥結額が前年より2.81%増えていた。
〔中略〕
 この日は9月の毎月勤労統計調査(速報)も発表になった。物価による影響を差し引いた賃金の変化をみる実質賃金指数は、前年9月に比べて0.5%増えた。7月に2年3カ月ぶりでプラスに転じてから、3カ月連続で増加した。(北川慧一)”

この通り、国内経済に依存している中小企業は賃金を抑制している。
アベノミクスの愚劣な異次元緩和で、輸入コストが上昇して経営を圧迫しているのだ。
だからこそ実質賃金の回復ペースも明らかに鈍い。
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