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内定辞退される企業は「自己分析が足りない」「手書きで熱意を伝えろ」- 傲慢な採用側の勘違いに不満炸裂

2014-09-09 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
新卒採用について報じるメディアの決定的なバイアスは、
「広告主である企業に不都合な記事を極力載せない」である。
他方、就活生は広告主ではないので平気でバッシング報道を出す。

また、メディア人自身も企業の採用者側と同じく
特権を握っている層に特有のメンタリティを持っているので
つい若年層に説教がましい論調を選好する通弊がある。
(社会の現状に対して自分は裁く側であり責任は他の連中にあると信じている)

本当に公平な報道を行うなら、
新卒採用における企業のオポチュニズムを暴く筈であるし、
就活生に対してと同じく「自己分析しろ」「手書きででも熱意を伝えろ」
「選んで頂く立場と自覚しろ」と厳しく追及すべきであろう。
「人不足で倒産」などと劣等企業の代弁がましい言説を弄するべきではない。
(建設業の人不足に関して言えば明らかに「国土強靭化」で予算をバラまく安倍内閣の責任である)

古市憲寿氏の調査では、以下のような「不都合な事実」が判明している。

○企業の入社式の式辞はワンパターンで40年前からほぼ同じ、独創性がない
○団塊の世代も「扱いにくい」「命令された仕事しかしない」と言われていた

更に氏は、社内でしか通用しない暗黙知を基準にすれば
「新入社員が使えない」「仕事ができない」のは当然としている。
全くその通りで、その程度の常識的な思考もできない方がおかしい。

▽ こちら参照

『だから日本はズレている』(古市憲寿,新潮社)


以下の当ウェブログの指摘は、企業自身の行動によって実証されたと言えるだろう。

「「若者を見下す」輩は自己の低能さを認めたくないだけの悲しい欲望に囚われているのだ」

「採用側の企業は新卒人材の良し悪しについて無遠慮に評する癖に、
 優秀な人材を逃す自社の魅力の無さを反省することは殆どない。
 所詮は自らが批判する相手と同類である。
 経験値が上であるというだけで偉そうにしていられるに過ぎない」

「「幸福も繁栄も、他人から与えられるものではない」と
 入社式で訓示していた新日鐵が今は政府にゴネて
 「法人税下げろ、原発再稼働しろ、六重苦を何とかしろ」と叫んでいるのだから
 実に皮肉な話である。自社が実行できていないことを新入社員に要求している訳だ」

「目先のボールを追うだけの連中の滑稽さは、
 長期間じっと観察していると実によく分かる」

多くの企業人は、目先の問題ばかり必死に追いかける自分達のオポチュニズムの滑稽さや
中長期的課題の重要性など忘れかけている健忘症を自覚している筈だ。

 ↓ 参考

団塊の世代も言われた「扱いにくい、教育が悪い」- 昔から変わらない新入社員バッシングと入社式の式辞
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b239671d85ebb2f3c169c5e9d5a9b2e2

若者バッシングが減った「大人の事情」- 内定辞退続出に慌てふためく企業、採用絞り込みによる自業自得
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a98e28c2240d87e88fae719ea3b117f3

「仕事は人並み・プライベート重視」だったバブル世代、なぜか批判されない理由 - 単に数が多いから
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ef42179f46284a90293d15c98bfc65dee

▽ 企業は大量採用が必要な際には就活生に媚び、採用を絞らなければならなくなると就活生をバッシングする

『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動』(沢田健太,ソフトバンククリエイティブ)


体験インターン、「選考の一環」 大学生向け、実施企業の3割(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201409/CN2014090101002165.html
大学生に仕事を体験してもらうインターンシップを過去3年以内に実施した企業のうち、3割が「(採用に向けた)選考の一環」と位置付けていることが、1日までに人材サービス会社「アイデム」(東京)の調査で分かった。
〔中略〕
 就活の早期化防止のため、経団連は採用選考とは無関係の「社会貢献活動」とするよう企業に求めているが、要請が浸透していない実態が浮き彫りになった。
 調査は6月、企業の新卒採用担当者千人にインターネットで行った。”

今、企業は必死に優秀な人材を青田買いしようとしている。
売り手市場になって競争が激化しているからである。

数年前とは真逆で、企業の採用行動が新卒の質とは関係なく、
経済状況と採用時の環境によって左右されているのは明白である。


内定辞退を「学生のせい」にする企業 ネットは「自己分析が足りない」と冷ややか(キャリコネ)
http://careerconnection.jp/biz/economics/content_1841.html
”「学生の内定辞退 どう防ぐかを考える」という記事が8月27日、NHKのNEWS WEBに掲載された。人材紹介会社が主催する内定辞退防止セミナーに、銀行や警備会社など約50社が参加。講師を務める人事コンサルタントが、「今の学生は『かまってほしい』と思う世代で、会社からの連絡がないと不安になり、別の会社に興味を持ってしまう」などとアドバイスしたという。しかしネットでは「そんなわけあるか」「まるで分かってない。自己分析が足りない」などと冷ややかな声があがっている。

■辞退の理由は「御社より優れた企業から内定をもらったから」
 記事では、セミナーに参加した保険会社の採用担当者が「現在、内定を出した3分の2の学生が辞退し困っています」と明かしており、かなり深刻な状況を抱える企業もあるようだ。
 しかし、この様子がNHKで放送されて記事がネットに公開されると、はてなブックマークで炎上。特に人事コンサルの「かまってほしい世代」発言に批判が集まった。
 「内定辞退される理由が"今の学生は『かまってほしい』と思う世代"だからだと思ってることに失笑した。御社よりあらゆる面で優れた企業から内定を頂いたからですよ?現実見ようぜ」
「社風、福利厚生、賃金とか当たり前のこと考えた結果、受かった中で一番いいとこ行くに決まってる」
 セミナー講師は「面接で評価した点を学生に話すなど、相手に会社にとって必要な人材だと伝えることが大切だ」と述べたというが、基本的な労働条件が低いままでは小手先の対策と言われても仕方がないし、内定を辞退した学生を責められない。
 「内定がもらえないのは自己分析が足りないからだ」と就活中にさんざん責められてきた学生からすると、いまこそ採用担当者が自己分析するときだ、と言いたいようだ。
 「2秒くらい考えればわかります。就活生に求めてきたように、自己診断して相応の人材とのマッチングを狙うのが最適解です」
 「買い手市場」にあぐらをかき、自社に分不相応な優秀な学生だけを選り好みしていれば、内定辞退で人が足りなくなるのも当たり前、ということだろう。

■人が集まらない中小企業は「卒業後の春採用」にすれば?
 会社に熱意を伝えるために履歴書や職務経歴書を手書きにすべき、とアドバイスする就活コンサルタントもいる中で、「会社案内を手書きにして熱意を伝えればいい」と言い放つ人も。雇っていただくという姿勢が大事、と言われて就活生だけが負担を担う現状に不満を抱く人は少なくないだろう。
 また、内定辞退が多いのは、就活のしくみ上「仕方ない」という指摘も数多くある。
〔中略〕
 就職情報サイトを使った今の就活スタイルは、100社以上エントリーする学生も珍しくなく、内定が複数出た場合は当然辞退する会社が生じる。
 この構造を作っているのは、企業から求人広告を集めて利益を上げている人材会社であり、就活生を煽って大量エントリーさせる一方で、内定辞退に困る企業をフォローしている人材会社は「マッチポンプ」と揶揄する声もある。

「新卒を内定で採るのやめて、春以降に即採用にしたほうがいいのかも」と、労働条件の低い中小企業の採用時期を変更するアイデアも。大手と同じタイミングで内定を出しても、中小企業は辞退されやすいなら、卒業後に「あぶれた既卒無職」や「氷河期世代」を採用すれば問題は解決する、という意見も複数あった。”

掌を返すように年度によって態度を変える企業のご都合主義に、
振り回される学生側は怨念がたまっている。

自分達が「採用してやる側」と信じて疑わない大人達の醜い特権意識は、
ここまで厳しく言われても歪んだままでなかなか治らないのである。
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