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天下りは税金に巣食うシロアリ、農水省OBの談合疑惑が証明している - 天下りを受け入れない企業を排除

2017-04-10 | いとすぎから見るこの社会-全般
文科省の天下りが大問題になっているが、
それ以上に問題なのは民間企業に天下って市場メカニズムを歪める他の省庁だ。
或いは民間企業を排除して公費のムダを増やす「シロアリ」省庁である。

必然的に天下りをもたらす文科省の文教政策も大きな問題だが、
他の省庁の天下りの孕む問題の方が遥かに重大である。

彼らは文科省の天下り露見とその後の大騒動を見て仰天し、
今や大慌てで隠蔽や証拠隠滅に奔走している筈である。

中でも、政策次第でたっぷり儲けることのできる業界、
建設・原子力・福祉(特に今は保育)への天下りは国民との利益相反だらけである。

事実、森友問題を「発掘」した朝日新聞は、
農水省OBのゼネコン天下りが談合を生み出したとの疑惑を報じている。

この件で当事者は無実あるいは無関係を強調しているが、とんでもない話だ。
業界に悪しき慣習があり、天下りを受け入れなければ重大な不利益がある場合、
一線を踏み越えない民間企業は殆どない。(これが資本主義の裏面である)

建設業は自民党が政権を取って公共事業を増やせば大儲け、
公共事業の非効率性が指弾され予算を減らされれば苦境と、
政策次第で儲かるかどうかがほぼ決まってしまう業界だ。
(個別では以外に差が出るが、業界全体としてはそうなる)

企業努力や経営努力がまっとうな方向へ向くよりも
自民党に献金して仕事を増やしてもらう、
天下りを受け入れ霞が関との関係を強化して仕事を守る、
といった公益性など全くない方面に向いてしまうのである。

▽ 公共事業の乗数効果が大幅に下落しているのは、議論の余地のない明白な事実

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


朝日報道が、当ウェブログの指摘の正しさを証明したと言える。

「災害対策としても、経済対策としても効果の低い公共事業はやめるべきであるが、
 「国土強靭化」と称して利害関係者と癒着している自民党は盲目同然である」

「広島の災害で保守メディアの産経も読売も「国土強靭化」を叫ばないのは、
 砂防ダムを全ての必要箇所に建設することはできず、無駄が多いと分かっているからである」

「更に言えば、311の際に事態を深刻化させた福島第一も自民党政権時に建設されたものであり、
 巨大津波に対し殆ど無力に近かった防波堤も自民党政権時に巨費を投じて作られた。
 自民党の責任の大きさを否定するのは相当な厚顔無恥と言われても仕方がない」

「数多くのインフラプロジェクトに関わった橋山禮次郎氏は
 巨大プロジェクトの失敗例としてアクアラインを挙げているが、
 これがまたリニア計画と寒気がするほど酷似しているのである」

「保守政権、口だけの民間活用、いい加減で出鱈目な需要予測。
 偶然とは言えないほど共通点がある」

「何しろ計画段階でも費用推計が恐ろしい速度で膨れ上がり、
 杜撰さと費用対効果の低さが今の段階でもすぐ分かるような幼稚な計画なのだ。
 最初は3兆円と言っていたのが、その三倍の9兆円にまで膨れ上がっている。
 だからこそドイツとアメリカがリニアはペイしないとかなり前の段階で判断したのである」

「毎日赤字を垂れ流しているアクアラインも「民間活用」であったが、
 余りにも杜撰なプロジェクトだったので会社が責任を放り投げたのである。
 (愚劣な「新しいチャレンジ」は今、国民の税金で尻拭いされている)」

「採算性が重要なのは、官でも民でも同じだ。
 巨大プロジェクトだと取り返しがつかないので尚更である」

「費用対効果を考えずに青天井で予算を投入することや、
 自民党の「国土強靭化」の発想は根本的に間違っているのである。
 ただでさえ少子高齢化が進む日本で場違いに立派な堤防と借金だけが残ってしまう。
 採算性を考慮した防災・減災計画が絶対に必要である」

「学習能力がない癒着政党に投票すると、間違いなく
 老人大国にコンクリートばかり残って過疎がひどくなる惨状に陥る」

「自民党は矢張り骨の髄から「バラ撒き政党」であり、
 我が国の経済を再生させる能力に欠けることが実証された」

「参院選が近付き、権力の亡者である安倍政権はおのれの経済失政を誤摩化そうと
 公共事業を増額し、高齢層へのバラ撒きを強化している」

「大企業には政治献金と引き換えに政策による利益供与を行っているから、
 あらゆる利権層にカネを配って権力の座にしがみつこうという算段である」

「大言壮語してアベノミクスと称するインチキ政策を始め、
 大企業と株主と外国人だけを大いに儲けさせて
 国民の実質所得を低迷させた上に低成長に終わった「戦犯」なのだから
 国民に謝罪して辞任するのが理の当然であろう」

「唯一の失業率低下も労働者の賃金を切り下げたためでしかなく、
 真に「デフレ脱却」しなければならないのは政治家の知的能力である。
 知的に衰退状況にあるからこそ我が国の実態を理解できず、
 かつての「大本営発表」と同様に僅かな戦果を針小棒大に宣伝するのである」

「安倍政権は偽りの活況を装って日本経済に打撃を与えるだけでなく、
 リニアを初めとする巨大な「負の遺産」をも残すであろう」

「朝日新聞の記事のグラフを見ても分かるように、
 公共事業費が国民所得とも経済成長率とも乖離しているのは明白だ」

「日本人は真面目な国民なので東京五輪のためにあらゆる資源を使い尽くし、
 オリンピック自体は華々しく成功裏に終わるであろうが、
 後には債務の山と高齢化した国だけが残るであろう」

「日銀は東京五輪にはGDPを1%押し上げる効果があると吹聴しているが、
 絶対に騙されてはならない。反動で1%はマイナスの効果を及ぼすであろう。
 日銀には、消費税増税の際に能天気な試算を出して悪影響を否定したお粗末な「実績」がある」

「ギリシャもブラジルも、経済危機に直面した。中国は北京五輪後に成長率が落ちた。
 先進国として最も日本に近いイギリスは、ロンドン五輪の前後ではゼロ成長でしかなかった。
 オリンピックの経済効果が愕然とするほど低いのは事実に照らして明白である。
 日銀はどうしてこのように非現実的な試算しかできないのだろうか」

「シロアリどものせいで東京五輪に必要な公費は当初の6倍、
 1兆8千億円にものぼるとの報道が出ている」

「新国立競技場と同様、バカ高い値を吹っかけて国民を脅し、
 少々割引して目先しか見えない人々を騙し、がっぽり稼ぐ算段である」

「ブルームバーグによれば、夏季五輪の予算超過は平均250%に達すると言う。
 シロアリ連中は火事場の荒稼ぎで1兆円は国民からふんだくるつもりであろう。
 こうした輩を放置することこそ亡国への道である」

「五輪は利権の山であり、自民党は骨の髄から利権癒着政党である。
 予算超過が相当な額にのぼり、利権勢力がうまい汁を吸って国民負担を増やすのは確実だ。
 東京五輪の後にそうした魑魅魍魎どもが次々と槍玉にあげられることになろう」

「五輪は貪欲な国家のシロアリにとって「荒稼ぎの好機」である。
 北京五輪の後で中国経済は成長率を高めたか? ロンドン五輪でイギリス経済は一気に回復したか?
 アテネ五輪でギリシャ経済はどうなった? そして何より、長野五輪の開催で地域経済は復活したか?
 これら全ての結果が、2020年へ向けての警戒心を高めざるを得ないのである」

「相当厳しくコストコントロールに気を遣い、シロアリどもを殲滅しないと
 五輪の宴の後に「財政の焼け野原」が残ることになりかねない」

「今回の熊本震災でもはっきり証明されたのは、
 安倍政権が数年前に掲げた「国土強靭化」が嘘八百だったということだ。
 未知の断層が動いたり想定外の震災が起きた場合に、国土強靭化など全く役に立たない。
 人間の予想や想定など簡単に打ち砕かれてしまうからだ」

「だからこそ安倍政権自身も「国土強靭化」の「こ」の字も言わなくなったのである。
 自党が平然と嘘をついてきたことなど知らん顔で、防災や復興を掲げて
 また支持層に公費をバラ撒く算段であるのは間違いない」

「熊本では震災が起きてから新しい活断層が発見されたため、
 改めて「中央構造線」や活断層に焦点が当たっている」

「大阪や首都圏にも大きな活断層があることが知られており、
 同規模の震災があれば被害は今回の比ではない」

「今回の震災で大きな被害は生じた原因の一つは、こうした未知の活断層である。
 「堆積物がたまった地層」というのは大阪平野でも濃尾平野でも関東平野でも同じだ。
 人口密集地でも未知の活断層が隠れている可能性が高い」

「「復旧」は得意でも「復興」に失敗してきたのがこれまでの歴史である。
 東日本大震災でも、人口流出によって甚大な打撃を受けた自治体が多い。
 過去の復興の失敗に学び、愚かな公共事業依存に陥ってはならない。
 (事実、三陸沿岸の多くの自治体ではそうなりつつある)」

「正しい震災対策は、公共事業の濫発ではない。
 コスト対効果を厳しく考慮して減災や減震に注力すること、
 深刻な震災が起きても被害を低減できる機動的な対処ができる体制を築くこと、
 (今回の震災でも証明されたように)復興の主役となる若年層人口を維持することである」

「政策リテラシーが果てしなく低い首相の「三本の矢」は完全に失敗した。
 先進国の中でも最低水準のゼロ成長に陥りながら、
 それでもなお権力の座にしがみつくのは醜悪そのものだ」

「最近は事態が更に「喜劇化」しており、
 これだけ円安の恩恵を受けながら売上高を伸ばせない財界も、
 全く学習能力のない財政出動派も同じように「財政出動」の大合唱だ」

「国土強靭化が大失敗して建設コスト高騰と低成長を招き、
 被災地の復興をも妨害したにも関わらず、
 財政出動派は相変わらず亡国の踊りを踊っているようだ」

「我が国の成長率は、財政出動の増加に殆ど反応していないのだが、
 相変わらず「護送船団方式」の経済団体は劣等経営者を庇ってバラ撒きを求めている。
 財政出動派は国土強靭化の大失敗にも反省のカケラすらなく
 公共事業をバラ撒けば経済回復するとカルト宗教に近い教義を妄信する始末」

「財政出動で日本経済が復活するものなら、
 小渕内閣でとっくに日本は回復軌道に乗ったであろう。
 現実にすら学ぶ能力がなければもはや不治の病と言うべきであろう」

「あさはかなB層でもない限り、普通は健全な良識が働く筈なのだが、
 もしそうでなければ、日本経済は恒常的なマイナス成長に陥ることになる」

「利権団体の献金と引き換えに公共事業バラ撒きを続ける
 癒着政党がこの日本にのさばっている限り、
 日本経済が本格回復することはあり得ない」

「保守政権伝統の「大プロジェクト・ポピュリズム」が始まった。
 またしても巨額の借金と数々の不祥事を残して「轟沈」するであろう。
 これまでの「実績」から見て、それ以外にあり得ない」

「レインボーブリッジでも嘘八百の試算数字が並べたてられて有権者が騙された。
 もしリニアを薄汚い政治的思惑で推進すれば、確実に
 レインボーブリッジ以上の巨額赤字を垂れ流すことになる」

「1997年以降の日本の経済政策を見れば、
 そして公共事業費と日本の成長率の推移を比較すれば、
 公共事業依存が経済成長の敵であることは明白である」

「藤井聡氏が「15~20兆円の補正」を首相に提言したらしいが、
 もしそれを真に受けてカネを官庁と土建にバラ撒いたら
 近い将来の日本の経済危機は決定的となろう」

「かつて日本海軍が莫大な額を費やして戦艦大和を建造した時とよく似ている。
 結局、最新技術の粋を集めた戦艦大和は46センチ砲の威力を発揮できずに沈没。
 「世界の三バカ」とまで言われた」

「さて現代、過去の歴史に学ぶ能力がない安倍政権は
 同じような「戦艦大和」の愚行を繰り返そうとしている」

「技術は適切なコスト管理と現実に証明された有用性があってこそ意味がある。
 リニア新幹線の大阪延伸は、技術的には余りに高コストでリスクが大きく、
 そして何よりも有用性が著しく低いため現代の「戦艦大和」となるであろう」
 つまり膨大な国費を蕩尽して殆ど活躍できない、ということだ」

「新幹線ですら整備されたことで人口流出に拍車がかかり、寧ろ地盤沈下が進んだ地域は多い。
 (その典型例が、増田寛也元知事による工場誘致と土建依存で寧ろ地域衰退を招いた岩手である)
 ましてリニアは確実に東京集中を促進することになる。
 更に、地下深くでの事故発生により「宝の持ち腐れ」になる危険性もかなりある」

「根本的には、現在の急速に高齢化・生産年齢人口減少が進む日本では、
 公共事業は経済を成長させないどころかマイナス成長の危険性を高める問題がある」

「元々自民党にはバラ撒き政策はあるが成長政策などない。
 奇跡的な高度成長は、急激な人口増加と勤勉な労働者によって達成されたものであり、
 自民党政権はただそれに乗っかって自分の手柄のように吹聴しているだけだ」

「小渕内閣での経験からすら学ばない連中は、
 太平洋戦争の前のような「粉飾」を行おうとしている」

「試算で10倍も差が出るのは、「数字を作った」からである。
 今はまさに「昭和16年の夏」であり、日本経済が決定的な暗転を迎える前夜だ。
 安倍政権には東條内閣の「三奸四愚」のような輩も揃っており、全てが不吉に一致している」

いま問題化している農水省の天下りなど、序章に過ぎない。
国土強靭化+リニア+オリンピック利権という「バラ撒き三兄弟」が日本社会を蝕もうとしているのだから。

▽ 公共事業による土建バラ撒きの経済効果は低く、文化財修復の経済効果に大きく劣る

『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(東洋経済新報社)


あの民主党政権と成長率で大差ない、程度の低い安倍政権は、
業界からカネを貰って日本の非効率性を極大化しているのだ。

「フィッチ・レーティングのソブリン担当者が、アベノミクスの失敗を宣告した。
 日本の公共事業の乗数効果は認められず、財政悪化が進むという指摘である」

「今、日米欧の金融当局が必死に金融緩和を行なっても経済回復は緩慢であり、
 一部では財政出動を叫ぶ愚か者も出没するようになってきた」

「日本では既に小渕政権で財政出動は失敗し、愚かな安倍政権が土建バラ撒きを繰り返して
 恥の上塗りをしている状況なので、貴重な日本の経験に学ぶ者が誰もいないのだ」

「安倍政権が国土強靭化とオリンピックという二つの利権を業界に与えたために、
 とんでもない非効率が日本社会を蝕んでいることが漸く報じられるようになった」

「豊洲市場の施設建設は落札率99%以上という談合に限りなく近い状況、
 オリンピック関連施設建設でもとんでもない費用膨張が問題になっている」

「利権癒着政党が権力の亡者となり、業界にバラ撒いて献金をせしめているからこそ、
 こうした醜態を見せるのである。問題の元凶は間違いなく安倍政権だ」

「愚かで騙されやすい日本国民のB層が偽りの失業率低下に幻惑され、
 労働者の賃金切り下げと生産年齢人口減という真因に気付かない限り、
 成長率低下と経済の非効率膨張の悪しき流れは止まらないのである」

当ウェブログが警告する。
安倍政権を一刻も早く放逐しなければ、深刻な経済危機が日本を直撃するであろう。

 ↓ 参考

「日本では乗数効果はなく、財政大幅拡張でも債務が膨らんだだけ」- フィッチが宣告、安倍政権は末期症状
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3125744bbb229d8352df7a9af26811a5

リニア経済効果はGDPの僅か0.17%、藤井試算が過大なのは明白 -「世界の三バカ」戦艦大和の二の舞に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b916de3fe4b505021ba31eb0a64043c9

国土強靭化は愚の骨頂、日本には二千以上の活断層あり -「全国どこでも大きな地震が起こる恐れがある」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6e72548faca8e81f65bece8a757057d2

夏季五輪の予算超過は平均250%超、日銀は国民を欺いている - 2018年以降の経済落ち込みは破壊的
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5965f7e08953c2a3c6693b49adeda7bb‎

▽ 人気取りの巨大プロジェクトを失敗させ巨額の赤字を出すのは、保守政権における恒例行事である

『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』(橋山禮治郎,集英社)


天下り、工事落札に影響 1人受け入れ0.7ポイント上昇 近畿大など分析(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H6D_R20C17A2CC0000/
公務員の天下りを受け入れた建設業者は、1人受け入れるごとに公共工事の入札で落札できる割合が約0.7ポイント上昇することが、中林純・近畿大准教授らの分析で分かった。文部科学省による再就職あっせんが問題視されるなか、天下りが民間企業の競争に影響を与えている実態を裏付けるデータとしている。
 天下りの人数が多く、公務員の退職前5年間の部署を把握できる2001~04年度について、人事院と国土交通省の入札デ…〔以下略〕”

日本経済新聞の素晴らしい報道である。
天下りは市場メカニズムを歪ませ、日本経済を蝕む害悪なのだ。


天下り農水OB、受注調整か 談合疑いで公取委立ち入り(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK4441F1K44UTIL01N.html‎
”農林水産省東北農政局が発注した東日本大震災復興事業などの入札で談合をしていた疑いがあるとして、公正取引委員会は4日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、ゼネコン18社の東北支店や本社などに立ち入り検査をした。農水省からゼネコンに天下りしたOBが中心となり、事前に受注を調整していた疑いがあるという。
 立ち入り検査を受けたのは、フジタ、りんかい日産建設、青木あすなろ建設、飛島建設(いずれも東京)などの18社。各社が加盟する仙台市内の業界団体「東北土地改良建設協会」にも入った。同協会内には、東北農政局OBの親睦団体「北杜(ほくと)会」も置かれている。
 関係者によると、各社は同農政局が発注した東日本大震災の復旧・復興事業を中心とした農業土木工事で、事前に決めた業者が落札できるよう談合していた疑いがある。検査の対象となった主な震災関連事業は総額約500億円にのぼるという。
 受注調整は、農水省や同農政局からゼネコン各社に天下りしたOBが中心になっていたとみられている。立ち入り検査を受けた会社の多くにこうした農水省OBが在籍し、日ごろから情報交換を繰り返していたとされる。
 東日本大震災で、東北地方沿岸部の農地は広範囲で津波の被害に遭った。東北農政局は、被災の対応に追われた現地の自治体に代わって一部の復旧事業を直轄で実施。仙台市沿岸部の「仙台東地区」では、約2千ヘクタールの農地でがれき撤去や除塩などの復旧事業に加え、区画を大規模化する整備も行った。
 これらの事業は当初、入札参加業者が集まらずに「不落」が続いたが、農地以外の復旧事業が落ち着いてからは参加業者が増えたという。
 朝日新聞は先月、企画連載「震災特需の深層」で、仙台東地区の事業を受注した多くの企業が農水省OBを受け入れている実態を明らかにした。各社の天下りOBが受注に深く関わっていることも示したが、同事業も立ち入り検査の対象に含まれている。
 震災復旧・復興事業をめぐっては、公取委は昨年2月、東北地方の高速道路の復旧工事の入札談合事件で道路舗装会社10社を刑事告発した。今年2月には、被災した宮城、福島両県の市や町などが発注した園芸ハウス建設をめぐる入札談合事件で、農業設備大手5社に計6億円の課徴金納付命令を出している。〔中略〕(矢島大輔)”

この農水省OBの天下り談合疑惑は、今の時点で既に限りなく「クロ」に近い。
以下の状況証拠や、関係者の証言を見れば明々白々である。


ゼネコン31社、半数に農水省天下りOB 復興談合疑惑(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK455DZVK45UTIL02M.html
国発注の農地の震災関連事業をめぐる談合疑惑事件で、公正取引委員会が5日までに独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査をしたゼネコンなど31社の約半数に、農林水産省から天下りしたOBが在籍していることがわかった。公取委は同日、農水省東北農政局(仙台市)にも立ち入り検査を実施。業者間の受注調整疑惑の実態解明を進める。
 関係者によると、各社は東日本大震災後の農地の復旧・復興事業などで、事前に落札者を決めるなどの受注調整をしていた疑いがある。調整には農水省や東北農政局出身で業者側に再就職したOBらが関わっていた疑いがあるという。
〔中略〕
 関係者によると、この計31社の約半数にあたる十数社に農水省OBが在籍しているという。
 公取委は31社とは別に、関係先として同農政局にも立ち入り検査を実施した。発注元への検査結果も踏まえ、こうした調整行為がどのように行われたかを調べる模様だ。”

この通り、疑惑と言うには余りにも怪しい数々の事実が露見している。
震災復興の美名に隠れて天下りOBと癒着企業が結託して
税金を食い物にしていた可能性が極めて高い。


「おたく取る?」農水省OB結託か 復興事業の談合疑惑(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK444K4BK44UTIL025.html
”農林水産省東北農政局発注の震災復興事業などで談合が繰り返されていた疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り検査に踏み切った。受注各社に天下りした農水省OBが談合に関与した疑いがあるという。
〔中略〕
 仙台市中心部。東北農政局から北に200メートルのビルの一室にも4日、公取委の担当者が立ち入った。郵便受けには「東北土地改良建設協会・北杜会」とある。
 関係者によると、同協会はゼネコン各社が加盟する業界団体で、北杜会は東北農政局のOBたち約200人の親睦団体。同協会のなかに北杜会が間借りしている形で、北杜会のスペースにはテレビと囲碁が置かれ、日中は複数のOBが集っているという。
 「かつて農政局発注工事の希望を伝えるため、うちに天下っているOBと一緒に北杜会に行ったことがある」。ゼネコン東北支店幹部が明かした。
 この幹部らによると、震災前の2008年ごろまでは天下りOBらが中心となった調整会議が開かれていたが、震災後は携帯電話などで連絡をとり、「おたくはあそこ取る?」「うちはいきたい」といったやりとりを交わしている
とされる。中心的な役割を担う数社の天下りOBが仙台市内で会合を開く程度で、調整行為は以前より見えにくくなっているという。
 ただ、その結束は固いとされ、天下りOBを受け入れていない建設会社の役員はこう語る。「OBがいる会社が受注するような比較的規模が大きい工事には入れない。やろうとしてもOBの調整ではじき出される」。別の会社幹部は「OB同士、外部に秘密がもれないようにしている。何かあれば、たちどころに連絡がまわる」と話した。
 農政局側からの情報収集も、天下りOBの重要な仕事だという。農水省発注事業を全国で請け負っている会社の幹部が説明する。「今後発注される工事の概要に加え、どのような技術的な問題が生じうるかを農政局の後輩職員から得る。これはOBがいないと出来ない仕事だ」
 朝日新聞の取材に、東北土地改良建設協会は「特にコメントはありません」、北杜会は「なぜ談合の疑いが持たれるのかわからない」とそれぞれ回答した。(矢島大輔、木原貴之)”

こちらが決定的とも言える、殊勲の朝日報道である。
農水省の天下りと談合が一体化していることは、
この時点でもほぼ確定と言えるだろう。


八ッ場ダム:夜間見学ツアーが人気工事の現場をカメラに(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20161230/k00/00m/040/095000c.html
”群馬県長野原町の八ッ場ダムの工事現場を夜間に見学するツアーが人気だ。国土交通省が今月19~24日に実施したところ、毎回20人の定員がほぼ埋まった。現場では24時間態勢で工事が続いている。
〔中略〕
 参加者は国交省職員の説明を受けながら、闇に浮かぶ現場をカメラに収めた。
 計画から64年。民主党政権下で一時中止されたが、18年中に高さ116メートルの堤体が姿を現す予定。総事業費は右肩上がりに膨らんでいるが、同省は「来年もツアーを続けたい」とPRに懸命だ。【尾崎修二】”

キャリア官僚は確かに有能で勤勉である。
しかし、その努力の方向は徹頭徹尾「省益」のためになってしまう。
どんなに高い志を持っていても、最後にはこうした組織内の論理に従うという、
悲しい習性を持つようになってしまう。

つまり、「有能さが公費のムダを増加させる」悲しい結末に終わりがちなのだ。
だからこそ国民は省庁を監視し、情報公開を徹底させなければならないのである。
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