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『週刊エコノミスト』10月6日号 -「ズレている」と学長を罵倒した下村文科相、更迭されるのは当然

2015-10-02 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集「人工知能 自動運転」は時期尚早だったと思う。
読むこと自体はいいとして、まだまだ方向性が見えていない分野と思う。
その突撃ぶりがエコノミストらしくもあるが。

それより非常に面白かったのがP92の「激突会談」で、
事実上クビになった下村文科相が矢張り巷間言われるように
首相の「お友達」だから大臣になれたということがはっきり分かる。

そもそも滋賀大学の佐和学長に対する敬意が欠けているだけでなく、
全く学術的根拠のない思い込みをまくしたてるという始末だ。
(流石は悪評高い「親学議連」の事務局長だけのことはある)
しかも佐和学長の話を理解していないと思われる箇所が幾つもある。

・「理系を含めて大学全体を見直すべき」と言われているのにまともに返答できない
・「文科省通知がなぜ理系に触れていないのか」と問われて答えられない
・「古典を読むべき」と言われているのに「新たな学問的ニーズの中で」と頓珍漢な返答をしている
・大学予算の少なさを指摘されて「諸外国の大学は自力で資金を稼ぐ」といい加減な返答をしている
 (ドイツやフランス、北欧等の欧州の大学に対する無知)
・何種類もある国際ランキングの中で、THEばかりを理由もなく取り上げている
 (教育の成果が一つの尺度では測れないというのは教育学の常識)

…という訳で、酷いにも程がある。
仕舞いには佐和学長に対し「ズレている」と暴言まで吐いている。
(この言動自体が、自らの母校に対し恥をかかせるものだ)
日本の学生に勉強させるどころか、
これほど偏頗な認識しか持てない文科相こそ勉強すべきであろう。

おまけに「論文や面接試験を導入するなどチャレンジしてほしい」だそうだ。
文科相の母校の早稲田がそうしたAO入試を導入した1期生があの小保方博士であることも忘れたのか。
そのような入試を導入したアメリカの大学で恥ずべき「縁故入学」が蔓延しているのをどうして知らないのか。
(縁故入学の温床は、そうした「論文や面接を導入した」AO入試である)

『週刊エコノミスト』2015年 10/6号


富国生命の市岡繁男氏の分析は今回も有益だ。
先進国の銀行が2013年まで新興国向けの融資を拡大したのに
世界銀行株指数は逆に低迷している。

氏の見解としては、新興国リスクが先進国の銀行を直撃すると市場が懸念しているとのこと。
尤もな指摘で、当ウェブログとしてはラテンアメリカ向け融資の多いスペインを警戒している。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』のIoT特集は範囲が狭過ぎて東洋経済ほど売れていないようだ。
しかしドイツの「インダストリー4.0」の記事は非常に重要で、
日本企業にとってはこちらの方が重要と考える。
経営層の方々にはお勧めしたい。

『週刊ダイヤモンド』2015年 10/3号


一方、新国立問題の追及記事の方は期待通り素晴らしかった。
(こちらをメイン特集にしてもいい位だ)
オリンピックに便乗した魑魅魍魎どもと、絡み合う利権の数々。
これはまだまだ問題の根は深そうだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』のマイナンバー特集はタイミングが良いとしても内容は薄いと思う。
この問題は恐らく「大山鳴動して鼠一匹」になるだろう。

マイナンバーは富裕高齢層の資産捕捉に活用して公費バラ撒きを大幅カットすること、
保育士や介護士など低所得の労働者に給付付き税額控除を適用するのには大いに役立つが、
それ以外では大きなインパクトを与えない。
そうした入念な制度設計が欠けている現状では、まだまだである。

『週刊東洋経済』2015年 10/03号


佐藤優氏の連載コラムは今回も非常に素晴らしい。
先週、当ウェブログは「対ロシア外交はそもそも安倍首相自身が大失態の原因」
と書いたが、まさにその通りの内容だった。
現代ビジネスで長谷川某氏が書いている素人談義とは雲泥の差である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はエコノミストに注目、タイミング完璧な資源特集なので文句なし。

▽ 通常、マーケットの特集は東洋経済よりエコノミストの方が鋭い(原因は読者層の違い)

『週刊エコノミスト』2015年 10/13号


▽ ダイヤモンドは日系自動車メーカーに追い風と見ているが、「お手盛り燃費」の問題を忘れているのでは

『週刊ダイヤモンド』2015年 10/10号


▽ 数カ月前の株煽り特集をすっかり反省した東洋経済、真面目な内容を期待したい

『週刊東洋経済』2015年 10/10号

「マイナンバー特集」が売れて喜んでいるようだが、
「鮮度」だけの薄いテーマであるのは編集部も自覚していると思う。
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