みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

実質賃金はリーマンショック時に並ぶ下落、消費支出は東日本大震災以来の落ち込み - 安倍政権の大失態

2015-02-25 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
2013年の我が国の1人当たりGDPは、ドル換算で17%以上も落ち込み、
OECD加盟国の中では2012年の13位から19位に急落している。
言う迄もなく、これは「次元の低い」アベノミクスの害毒である。

まともな経済政策リテラシーがあって実体経済を深く理解しており
カルト紛いの愚劣なドグマの虚妄を見抜ける人間なら
何もくどくどと説明するまでもなく最初から分かり切ったことであるが、
日本はモルヒネ中毒による「不況の株高」で根本的な問題解決から急速に遠ざかっている。

エコノミスト吉本佳生氏は、アベノミクスなどというバズワードが喧伝された当初から、
その効果が期待できないことを明言しており、消費性向の低い金融業や大企業ではなく
消費性向の高い非正規雇用労働者・女性・若年層の所得を引き上げることの重要性
を主張した。
(驚くべきことに、来日したピケティのアドバイスとよく似ている)

口先と情報操作だけが巧みになった安倍政権は、真逆の政策を選んで見事に大失敗した。
そしていつもの通り空虚な流行に便乗して蛸踊りした連中は、
2014年、2015年と低成長の冷厳な現実を見せつけられて大恥をかく運命にある。
両者とも愚行の報いで自業自得なのだから、救いようがない。

今週の週刊東洋経済では「90%が貧しくなる」日本の現状が明らかにされており、
頭の悪い安倍内閣の施策で実質賃金が低下し続けている現在、
民主党政権時と殆ど変わらない成長率の低迷を見るまでもなく
アベノミクスが何一つとして日本経済の根本問題を解決していないことは明白である。

▽ 6割の上・中間層と、4割の貧しくなる下層の格差がじりじり拡大している

『週刊東洋経済』2015年2/28号ピケティの格差時代サバイバル術/低成長低金利時代の生き方/スカイマーク創業者 澤田秀雄エイチ・アイ・エス会長激白/[核心リポート]大塚家具 身内で泥試合/[この人に聞く]森下一喜ガンホー・オンライン・エンターテイメント社長


安倍政権の「次元の低さ」はまだ他にもある。
洗脳に毒されて学習能力の全くないリフレ派は、
日本の間接税の税収が高齢者三経費のバラ撒きというブラックホールに吸い込まれ
日本経済の成長を妨害している現実をいまだに理解できないでいる。
当然、受け売りしかできない安倍政権がその苦い事実を理解できる筈がない。

リフレ派が見苦しい言い訳で消費税増税に責任転嫁するのは、
彼らの低能と無責任を自ら証明するものである。

たとえ間接税を引き上げても、現役世代の育児支援・雇用政策に税収を投入すれば
(勿論、現物給付が望ましい)マイナス成長になどなる訳がない。
高齢層に公費を投入する場合でも、雇用を増やし労働者の所得増に貢献する政策に戦略集中すべきだ。

「次元の違う」などという噴飯ものの空疎な修辞を使った安倍政権下の日本より
大した金融緩和策をとっていないスウェーデンの経済成長の方が明らかに上である。
数字は嘘をつかない。「次元が違う」のは安倍政権のレヴェルの低さなのだ。

▽ 異次元緩和や国土強靭化などという低能な政策がなくとも日本より成長率が高いスウェーデン





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


今の株高の本質は、リーマンショック前と同じである。
偽りの好況がいくら続いても、本物の経済成長にはならない。
この偽装の報いは、全国民が受けることになる。

「経済成長に必要なのは資本・労働・イノベーションである。
 金融緩和策が継続的な経済成長をもたらす訳がない」

「金融緩和は一時的な不況対策に有効というだけであって、
 自国の輸出業と金融業に利益誘導する時間稼ぎでしかなく、
 現下の日本の場合は自国の労働力や商品を安売りしているために
 失業率低下と実質賃金低下が起きたのである」

「これは言わば愚劣極まりない「自国窮乏化政策」であり、
 異次元緩和策は反日的、反社会的と規定するのが正しい」

「2013年も四半期ベースで一時マイナス成長に陥り(消費税引き上げ前である)、
 2014年も通年でマイナス成長に陥る可能性がかなりある」

「安倍政権の「第三の矢」など大企業経営層や投資家への利益誘導にしかならず、
 日本経済の成長率は下振れする。認識や方法が根本的に間違っているからだ」

「消費税引き上げを延期しなければならなくなった理由は、
 異次元緩和の効果が皮相的で実体経済が大して改善していないからである」

「合理的に判断すれば、キャッシュを無駄に貯め込む高齢層や企業に対し
 負のインセンティブを与えて課税し、成長分野に移転するのが理の当然である」

「我が国よりも間接税負担の重いスウェーデンになぜ成長率で負けるのか、
 愚かなリフレ派は説明することも認識することもできていない惨状である」

以上のように一貫して主張してきた当ウェブログの懸念は、
刻一刻と実現に向けて恐ろしい歩みを進めている。

 ↓ 参考

日本のGDP総額は17%も減少、日本が大幅に貧しくなった2013年 - アベノミクスは国富を破壊した
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3b26a952228ce28043c432ce3fdaedb6‎‎

「2014年のマイナス成長は不可避」- アベノミクスで経済低迷、指標悪化に沈黙する無様な安倍首相
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/7b43d485ce2f91f9890c0798dc981529‎

日銀が日本の経済成長率を下方修正、中小企業は減益の憂き目に -「異次元緩和」のお粗末過ぎる結末
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8f1d6792706e4dd9519d8dd666f244c8

▽ 前回の景気回復期において、大企業や金融業が儲かっても低成長に陥ることは既に実証されている

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


14年家計調査:世帯当たり支出月25万円 3年ぶり減少(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150218k0000m020101000c.html
総務省が17日発表した2014年の総世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は1カ月平均25万1481円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比3.2%の減少となった。減少は東日本大震災の影響を受けた11年以来3年ぶりで、減少幅は06年(同3.5%減)以来8年ぶりの大きさだった。
〔中略〕
 全10項目のうち9項目が前年比で実質減少となった。冷蔵庫や洗濯機など高額な家電は増税前の駆け込み需要が大きかった分、反動減の影響も大きく、それらを含む「家具・家事用品」は同2.5%減だった。国内パック旅行などを含む「教養娯楽」も同3.6%減、外食などを含む「食料」も同2.2%減で、消費者の財布のひもは固い。洋服など「被服及び履物」だけが同0.7%増とわずかに前年を上回った。
 四半期ごとでみると、総世帯の消費支出は14年4~6月期以降、3四半期連続で前年同期比マイナスが続いており、総務省は「今後の傾向をよく見る必要がある」と動向を注視している。
 総世帯のうち、勤労者(サラリーマン)世帯の実収入の1カ月平均は46万8367円で、実質ベースでは前年比3.2%減だった。消費増税や円安に伴う物価の上昇に賃金上昇が追いついておらず、消費意欲を喚起できていない状況だ。
 内閣府が16日に発表した14年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で2.2%増と3四半期ぶりのプラス成長となった。しかし全体の約6割を占める個人消費は前期比0.3%増と低い伸びにとどまった。日本経済がより力強い成長軌道に乗るには消費の更なる回復が不可欠で、企業の賃上げ動向などが焦点となりそうだ。【横山三加子】

◇家計調査
 総務省が家庭の収入や支出の推移を分析する調査。景気動向の重要な要素である個人消費の動向をつかみ、国の経済政策の基礎資料にする。個人消費は物価変動や税制の変更、天候の影響などさまざまな状況に左右されるため、実態を的確に把握するよう工夫している。対象は、学生の単身世帯や長期不在世帯などを除く全国約5018万世帯のうち、無作為に選んだ約9000世帯。〔以下略〕”

企業が賃上げしても実質賃金は低下しており、消費回復などする筈がない。
歳出を大幅に組換えて育児支援と雇用政策に税収を投入しない限り、
健康なのに働かない者に課税を強化しない限り、消費は回復しない。


2014年の"実質賃金"は2.5%減、3年連続の減少 - 物価上昇響く(mynavi.jp)
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/04/162/
”厚生労働省は4日、2014年の毎月勤労統計調査(速報、事務所規模5人以上)を発表した。それによると、2014年の現金給与総額(1人平均)は前年比0.8%増の31万6,694円となり、4年ぶりに増加した。
 現金給与総額に物価変動の影響を加味した実質賃金指数は前年比2.5%減と、3年連続の減少。下げ幅はリーマン・ショック後の2009年(2.6%減)に次ぐ、2番目の大きさとなった。消費増税などにより物価が上昇したことが影響した。
 所定内給与は前年から横ばいの24万1,357円。所定外給与は同3.1%増の1万9,690円と5年連続の増加。所定内給与と所定外給与を合わせた「きまって支給する給与(定期給与)」は同0.3%増の26万1,047円と4年ぶりの増加。ボーナスなどの「特別に支払われた給与」は同3.5%増の5万5,647円と2年連続で増加した。
 現金給与総額を就業形態別に見ると、一般労働者は前年比1.5%増の40万9,860円と2年連続の増加。パートタイム労働者は同0.4%増の9万6,979円と2年ぶりに増加した。
 併せて発表した2014年12月の毎月勤労統計調査(速報)によると、12月の現金給与総額は前年同月比1.6%増の55万1,878円と10カ月連続の増加。ただし、実質賃金指数は同1.4%減と18カ月連続で減少した。〔以下略〕”

このように、安倍政権下で低成長が続くことは明らかである。
いかに失業率が低下したところで「貧困化」の現実は変わらない。
税制と社会保障の改革によって労働と消費の増大が必要なのだ。

…言う迄もなく、それは低能な安倍政権には不可能な課題である。


非正規雇用者が過去最多の1962万人、5年連続増加--2014年、正規は7年連続減(mynavi.jp)
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/18/114/
”総務省は17日、2014年の労働力調査(速報)の結果を発表した。それによると、2014年平均の役員を除く雇用者は前年比39万人増の5,240万人となり、2年連続で増加した。
 正規の職員・従業員は前年比16万人減の3,278万人で、7年連続の減少。一方、非正規の職員・従業員は前年比56万人増の1,962万人と5年連続で増加し、比較可能な2002年以降で最多となった。
 非正規の職員・従業員を男女、年齢別に見ると、男性は55~64歳の161万人が、女性は35~44歳の325万人がそれぞれ最多となった。また、現職の雇用形態についた主な理由で最も多かったのは、男性は「正規の職員・従業員の仕事がないから」が前年比9万人減の160万人、女性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」が同21万人増の332万人となった。
 完全失業者は前年比29万人減の236万人。
〔中略〕
 非労働力人口は前年比17万人減の4,483万人。このうち就業希望者は前年比9万人減の419万人、就業非希望者は同20万人減の3,965万人となった。なお、就業非希望者のうち「65歳以上」は同61万人増の2,538万人だった。”

雇用者は確かに増えているが、高齢男性と中年女性ばかりである。
時間当たりの賃金は低く、日本経済を支える力は弱い。

吉本佳生氏も言うように給付付き税額控除を導入して雇用と所得を同時に伸ばさなければならない。
当ウェブログが前々から主張しているように、特に雇用市場で恒常的に労働力不足が生じている
保育・介護分野で給付付き税額控除を適用し、育児世帯への現物給付を大幅に増やすべきだ。
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