みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

原発のおかげで「毎日遊んでいられた」- 民意に敵対して再稼働を進め、リプレースを狙うのはカネのため

2014-12-18 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
衆院選が終わった直後に、経産省の総合資源エネルギー調査会が
原発のリプレースが必要との議論をこっそり始めている。
国民の敵意を避けながらじりじりと失地を回復する利権勢力の、予定通りの行動である。

『原発ホワイトアウト』の若杉冽氏が的確に今日の事態を予言しており、
こうした経産省の調査会が国民の目の届かない密室で行われる謀議に等しく、
既得権益側が国会議員を使って圧力をかけ、
法制度や事業内容を我田引水に変更する場

であると明言している。まさに「民主主義の敵」と言えよう。

▽ こちらに詳述

『原発ホワイトアウト』(若杉冽,講談社)


彼らが社会的に正しいのであれば堂々と公開できる筈だが、
それができないのは彼らの動機と行いがともに汚れているからだ。

当ウェブログが指摘した通りの状況である。
お蔭で2015年はまた経済低迷の年となろう。

「経産省は電力自由化で不利になる「お荷物」の原子力を保護し、
 事業者を優遇する策動を始めている。
 また、廃炉に国民から搾取したカネを投入する仕組みも着々と進めている」

「国民の反感を受けないように隠れて議論を誘導し
 国民を裏切り業界の利益のために暗躍する以前の状態に戻っている」

「その番犬のような「忠勤」ぶりを愛でられて、
 さぞ利権勢力や癒着企業に天下りで優遇されるのだろう。
 民主主義に敵対するのだから、それなりのカネを貰わないと割に合わないという訳だ」

「原子力が一部の連中だけ稼がせる「利権」であり、
 「安くて安全」と偽って国民のカネを搾り取る
 モラルハザードの固まりであるのはこれで立証されたと言える。
 当然、日本経済の健全な発展にとっても害になる」

「だから、原子力比率が過去最高になった90年代後半に成長率が大きく落ち込んだのであり、
 利権勢力が「原子力ルネッサンス」などと与太話を喚いている2000年代に日本経済は低迷を続けた。
 彼らの利益が日本社会の利益と真っ向から相反しているのは明白だ」

「これまで省エネや再生可能エネや電力自由化に対して強硬に反対し、
 エネルギー分野での新規投資への妨害を続けた悪辣な「実績」は疑いようがない」

「これまで散々補助金を食い物にして稼いできた原子力関係者は、
 少しは良心を目覚めさせて廃炉費用ぐらい一般国民より多く出すがいい。
 「カネを出すのは国民、俺は特別な存在だから関係ない」とでも思っているのか」

「彼らを殲滅しない限り、日本のエネルギー効率が改善することはなく、
 国内投資もろくに増えず日本経済の復活もあり得ない。
 「原子力の赤い貴族」は碌に反省せず、これまでの行動様式を改めてもいないからだ」

利権勢力に媚びる歪んだエネルギー政策を進める自民党に期待できないのは勿論だが、
他の政党も電力利権を撃滅しエネルギー効率を高める政策を打ち出せていない惨状である。
だから次元の低い選挙で次元の低い自民に負けるのだ。

 ↓ 参考

自由化でも廃炉でも国民のカネにたかる原子力利権勢力は「国家のシロアリ」- 経産省も尻尾を振る有様
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d564730e952cc67a46c55395d3d94837

「原発を再稼働したらカネをやる」と経産省 - 完全に利権勢力の手先になり下がり、電力大手を全力支援
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d431aa67a744b3be085f12ed7663005e

電力各社「事故の賠償は無理、原発費用は消費者に転嫁させろ」-証明された「原子力は高リスクでコスト高」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d121c9b7403f1918e88f81a7dfd7cf43

▽ 国民に隠れてカネをバラ撒くのは、利権勢力が安定的に儲けるためである

『原発利権を追う 電力をめぐるカネと権力の構造』(朝日新聞出版)


経産省:原発建て替え検討 有識者会合の中間整理案(毎日新聞)
http://mainichi.jp/shimen/news/20141218ddm001010150000c.html
”◇建て替えは「老朽原発廃炉と同時に新たな原発建設する手法」
 経済産業省は17日、原子力政策の方向性を議論している有識者会合で年末にまとめる中間整理の中に、原発の建て替え(リプレース)を検討事項として盛り込む方向で調整に入った。安倍政権は原発再稼働を推進する一方、国民の批判を懸念して、14日投開票の衆院選公約でも原発の新増設や建て替えの可否について明言を避けてきた。総選挙直後に突然、原発建て替えの検討を始めることで「選挙での争点隠し」との批判を浴びる可能性がある。
 中間整理をまとめるのは経産省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会。中間整理案では、安倍政権が掲げる「原発依存度を可能な限り低減する」方針を達成するためには、「廃炉に見合う供給能力の取り扱いを含めた原子力の将来像が明らかでなければ、電力会社や立地自治体が廃炉を判断しにくい」と建て替え了承の必要性を指摘
〔中略〕
 建て替えは、老朽原発の廃炉と同時に新たな原発を建設する手法で、中間整理案は「廃炉に見合う供給能力」と直接的な表現を避けつつ、原発の建て替えに触れた。再稼働手続きで先頭を走る九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)では原子力規制委員会による工事計画の審査が続いており、「原発が1基も再稼働していない中、原子力規制委の頭越しに直接的な表現では建て替えの話を持ち出しにくい」(関係者)との判断があったとみられる。
 政権は原発依存度の低減に向け、2016年7月に運転開始40年超となる関西電力美浜原発1、2号機(福井県)など7基の廃炉の早期判断を促している。しかし廃炉になると立地自治体に支払われる「電源3法交付金」が打ち切られ、立地自治体などから廃炉後の経済支援や原発建て替えを求める声が上がっていた。
 原発建て替えを巡っては、中部電力が08年に浜岡原発1、2号機の廃炉とともに決定した6号機の新設計画が中断。また、福島第1原発事故以前は、関電美浜1号機の建て替えや、日本原電敦賀原発3、4号機(福井県)の新増設が検討されていた。政府が建て替えを認めれば、こうした原発の建設計画が動き出すとみられる。【中井正裕】”

『原発ホワイトアウト』で若杉冽氏が書いた通りになっている。
利権勢力が跋扈する以前のような状態にはすぐに戻らないにしても、
戦線縮小しつつ利権を確保し、徐々に再稼働を進めるという利権勢力の予定通りの行動だ。

経産省の調査会は、民主主義に反し事務局が牛耳る密室会議により
利害関係者が思い通りに議論を誘導することのできる利権勢力の巣窟なのである。


衆院選、語られぬ原子力の未来 議論願う原発の街、福井県敦賀市(福井新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141210-00010001-fukui-l18
”福井県敦賀市郊外にある原子力プラント関連企業の単身寮の駐車スペースが、隣接する病院の駐車場として使われるようになって、もう2年になる。人の絶えた建物内は、ずらり数十室が並ぶ部屋にそれぞれ、マットレスが残る二段ベッド。
〔中略〕
 畳が上げられた大広間には表彰状が10枚以上掲げられ、敦賀原発やふげんでの無事故の定検作業をたたえていた。
 「市民をあおって原発を建てておきながら、今度は止めたまま選挙。政治は無責任だ」。近所の男性(84)は声を荒らげる。原発ができ活況だったころ敦賀に移り住んだという。「当時は毎日飲んで遊んでいられた。今は年金暮らしで物価上昇がこたえる」
 政治家は国民のことを考えず、自分たちの都合で選挙をしているように感じる。「労働者は急には変われない。原発を止めるなら代わりを何とかしないと、誰だって怒る」とまた、声を荒らげた。
  ■   ■   ■
 政府は今年4月、エネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と定め、安全性が確認された原発は活用していく方針を示した。ただ従来「2030 年度に原子力53%、再生可能エネルギー21%」などとしていた将来の具体的な電源比率は、いまだ示していない。このため、例えば高経年化(老朽化)の進む敦賀原発で3、4号機を新増設する計画や、美浜原発1号機のリプレース(置き換え)は、不透明なままだ。
 敦賀市の河瀬一治市長ら立地首長は、繰り返し電源比率を示すよう国に求めてきた。「原子力の比率が一定程度維持されるなら、3、4号がないと賄えない。増設は『地方創生』につながる」(河瀬市長)といった思いからだ。
 だが安倍首相が「アベノミクス解散」と呼んだ今回衆院選にあって、日本全体でエネルギー施策の議論が深まる気配はない。自民党の政権公約要約版にはそもそも「原子力」の文字がない。
〔中略〕
 美浜町のある幹部は「重要なベースロード電源というのなら、堂々と争点に掲げるべきではないか」と、国民に問いかける姿勢が希薄な選挙戦に疑問を呈する。山口治太郎町長は公示翌日の記者会見で「争点のない選挙と言われるが、自分は原発を廃止するか活用するか、判断する選挙だと考えている」と述べ、事態の進展に期待を示した。
  ■   ■   ■
 敦賀市の気比神宮の南、国道8号沿いに位置する本町1丁目は、特に飲食店が集まる商店街だ。原発が止まる前、安定した電力事業の社員、作業員に支えられ「リーマン・ショックでも空き店舗が埋まらないことはなかった」と、市内随一の老舗そば店を営む塩田和己・振興組合理事長は言う。その繁華街に最近、空きが目立つようになった。
 「危機感は強い。古株の経営者の中には、原発で景気が良かった時代を懐かしむ人もいる」と塩田理事長。ただ原発事故後、国民の意識が変わってしまったことも、肌で感じている。「たとえ原発推進でなくても、まず方向性を示してほしい」。最新の火力発電所を建設するなどの方向もあると考えている。「原発と共生してきた市民には、エネルギー施策に寄与したい思いがある」と、議論を深めるよう求めた。”

福井新聞は、自分達の懐しか考えていない原発立地自治体の本性を報じている。
「自分たちの都合で」選挙を進める自民党と、自分の利害しか考えない原発立地は瓜二つでよく似ている。

もし自ら進んで新しいエネルギーの地平を切り拓く意志と能力があるなら、
強風の吹く敦賀半島で風力発電を拡大させるのが当然であり、
天然ガス輸入拠点を設けて近畿圏にパイプラインを伸ばす計画を進める筈である。
原発立地自治体の動きは余りに遅過ぎて、原発再稼働でカネを貰えば楽だという本音が露骨に出ている。
Comment
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする