羽ばたき飛行機製作工房

小型羽ばたき機(オーニソプター、Ornithopter、Flapping Wing)専門の研究開発サイトです

7月15日IAC-ASO飛行会報告

2007-07-16 09:11:23 | 報告記事(飛行会)

さる7月15日、超大型の台風4号が接近する中、敢行されたIAC-ASO飛行会の報告。画像と動画は例によってとしちゃんの研究所ブログより。
これまでスカイ・フィッシュの生態については謎が多かったが、今回の飛行会において、彼等の生活史の頂点である繁殖行動の様子が詳しく観察された。それは我々が想像もできなかった特異なものであったが、これによってスカイ・フィッシュ研究は大きく前進したといえる。
まずは動画から→
スカイ・フィッシュ-M、-Fそれぞれの単独飛行、およびスカイ・フィッシュ-Mと-Fのペア飛行
動画の中盤、雌雄別々の状態と、結合した状態では空力バランスが大きく変化するため、調整に苦労している様子がうかがえる。ピッチング方向の機体姿勢の制御は、おもに機体最後段の翼面の迎え角を変えることによって行われる。

スカイ・フィッシュ-M
予想に反して、自力で飛行が可能であるというだけでなく、すばらしい上昇力をもっていることが確認された。これは、繁殖期に、それまで生活していた地上から、メスが待ち受ける上空まで一気にダッシュするための機能と思われる。

スカイ・フィッシュ-Mと-Fのペア飛行
オスは上空に達して適当なメスを見つけると、その背中をめざして着地する。メスの背中に生えた突起にしっかり固定されると、オスの背中からスラスタ・ユニットが脱落し、もはや自力での飛行はできなくなる。

スカイ・フィッシュ-Mと-Fのペア飛行(続き)
結合した状態でしばらく安定した飛行を続けるが、最終段階では、オスの身体は前後に分断され、繁殖行動の完遂に必要な後半部を残して前半部は脱落してしまう。合掌。

今回観察されたのはここまで。この後、もっとも興味深いステップである産卵もしくは出産が行われると考えられるが、その詳細の解明は次回の飛行会までおあずけ。


7月8日IAC-ASO飛行会の報告

2007-07-10 23:26:57 | 報告記事(飛行会)

7月8日に開かれたIAC-ASO飛行会で、新作機のテストを行ったので報告。画像と動画はとしちゃんの研究所ブログより転載させていただいた。
スカイ・フィッシュⅡ
期待通り安定した飛行を見せてくれた。上昇力。安定性などもまずまず。バリエーション展開をはかりたい。

フライング・シリンダー
ブログでは飛行会直前の公開だが、実はこの1ヶ月以上いじくっていた機体。前回の飛行会ではダメダメだったが、今回は軽量化の甲斐あってとりあえず飛行可能となった。

フライング・シリンダー・ミニ
外形は似ているが推進機構が異なり、エアロウイングスのツインモーターシステムをそのまま移植したもの。羽ばたき機ではなく、プロペラ推進のリング翼機ということになる。ちゃんと飛びましたね

動画はこちら→
フライング・シリンダーとスカイ・フィッシュⅡ
フライング・シリンダー・ミニ(冒頭ちょこっと)

スカイ・フィッシュⅡ変異種の画像は、公序良俗を乱す恐れがあるため割愛しました・・・


フライング・シリンダー

2007-07-07 22:32:46 | 製作記事(羽ばたき機)

この週末、またしても奇妙な外形の新種が発見されたので速報。
羽ばたき推進機構そのものは他の種でもよく見られるX-Wingタイプだが、機構全体をおおうように円筒状の外皮が取り巻いている。他では見られない特異な構造であり、何のために存在するのか不明。一説では、外敵から身を守るための装甲とも、クラッシュ・ランディングの際に繊細な内部器官を保護するためのカバーともいわれている。円筒の材質は1mm厚さにスライスした発泡スチロールシート。写真でもわかるが、この部分はヘナヘナに軟らかく、装甲というよりマント、もしくは吹流しに近い。
ちょっと飛行させてみた感じでは、す~っとまっすぐ飛んでいく。円筒部分には空気の流れを整える効果もある模様。が、飛行方向をコントロールするための仕組みが見当たらない。左右に機敏に舵を切るのは不得意のようだ。
明日の飛行会で、特性を詳細に調査する。

       機体スペック
直径                300mm
全長                150mm
飛行重量         約11g
(30mAhLi-po電池含む)
製作年月   2007年7月


スカイ・フィッシュⅡ変異種出現

2007-07-07 18:42:55 | 製作記事(羽ばたき機)

作りかけのスカイ・フィッシュⅡをしばらく放置しておいたところ、いつの間にか変態してこのような姿になっていた。
一見すると2匹が重なっているように見えるが、上半分の翼は羽ばたかない。構造的には、背びれが伸張、変形したもの。なぜこのような特殊な形態が進化したのかについては諸説があり、研究者の間で論争の種となっている。仮説の代表的なものを上げると以下の通り:
①擬態説:捕食者から身を守るため、自分の姿を実際の倍の大きさに見せて、捕食者をひるませる
②装飾説:クジャクの尾羽同様、異性を引き付けるデコレーションとして機能している
③揚力補助説:飛行中、固定翼として機能し、追加の揚力を発生している
④整流板説:飛行中、機体の姿勢を安定させる効果をもつ。あるいは、動翼と独立に動かして機体の姿勢を制御する
⑤体温調節装置説:羽ばたき運動を行うことで発生する熱を翼面を通じて効果的に発散し機体を冷却している
これらの仮説のうち一つだけが正しいのか、あるいは複数の機能をもっているのか。それとも、我々が想像もしないような別の機能があるのか。明日の飛行会で、実際に飛行する様子を含めくわしく生態を観察し、進化の秘密を探ることにする。

       機体スペック
全幅                400mm
全長                660mm
飛行重量         約14g
(50mAhLi-po電池含む)
製作年月   2007年7月


スカイ・フィッシュⅡ改良

2007-07-01 23:51:49 | 製作記事(羽ばたき機)

このところ寄り道ばかりで本題の羽ばたき機の開発作業がなかなかはかどらないが、最新作スカイ・フィッシュⅡを少しだけ改良してみた。
ピッチ方向の不安定は、最後尾の動翼がやや尻下がりになるよう取り付け角を調整することで補正。懸案の方向制御は、The・O-H(ジ・オハイブリッド)改でも試した先尾翼方式にトライした。同機から、2連コイル式のアクチュエータを移植。3mm径のネオジム・マグネットも片側2個ずつ計4個使いでトルク確保をねらった結果、重量1.2gとヘビー級のアクチュエータ・ユニットとなってしまった。が、その分、飛行中もちゃんと仕事をしてくれる。少なくとも室内でのテスト飛行では、右に左に旋回飛行が可能(旋回半径がやや大きく周回まではできないが)。あと、消費電力も大きくなって、30mAhではきつそうなので50mAhLi-po電池を搭載。さらに重くなった・・・
この仕様で次回の飛行会に持ち込んでテストを行うことにする。

       機体スペック
全幅                400mm
全長                660mm
飛行重量        約11.2g
(50mAhLi-po電池含む)
製作年月   2007年7月

先尾翼部を機体下面から見たところ。根元に2連コイル式のアクチュエータ・ユニットが見える: