今回は、2008年12月にイスラエルが Gaza 地区に行った(略)テロ行為後、イスラエル製品とかのボイコットを呼びかける運動の意味を語ってるインタビュー記事の紹介。
・We are facing a genocidal war(2009年1月23日 Alternative Information Center)
今回紹介するインタビュー記事のお相手は、Sergio Yahni 氏。
イスラエルで義務となっている兵役を15年間拒否した末、2002年に28日間の禁固刑を喰らった兵(つわもの)。
この際に Yahni 氏は、時の防衛相 Ben Eliezer へ公開書簡↓を出している。
・Sergio Yahni(2002年3月19日 War Resisters' International)
Yahni 氏は、それ以外でも度々警察にお世話になってる筋金入り(?)の活動家。
無論 Yahni 氏は、シオニズムにも反対の姿勢を取っている。
当然というかなんというか、イスラエルに対するボイコット運動も呼びかけている。
そんな Yahni 氏の意見は、イスラエルへのボイコット運動を広げることの意味を考える上で結構参考になったり・・・。
ってことで、このインタビュー記事の日本語訳をでっち上げてみた。
例によって、訳文の正確性は一切保証しな(略
------ 以下訳文 ------
私達は虐殺戦争に直面しているのです
E.B. と Ines Gramigna による、2009年1月23日
以下は、Gaza 地区の状況・イスラエル国内の反戦デモ・イスラエル政府へのボイコットに抗議について Sergio Yahni 氏と行ったインタビューである。
Yahni 氏は、Alternative Information Center(AIC)のディレクターで、AIC 評議会のメンバー。
聞き手(以下斜体部分は聞き手の質問):あなたの見解では、イスラエルの長期に渡る「軍拡戦略」は今でも有効だと思いますか?
そして、イスラエルの軍拡政策における長期の目的は何しょうか?
イスラエルの Gaza 地区に対する軍事攻撃は、表面で見えるもの[Gaza 地区が被った被害]よりずっと複雑なのです。
イスラエルという国家は、1947年11月から始まった戦争のさなか1948年に建設されました;そのときから政策は、イスラエルは決定的勝利をアラブ諸国と[それ以外の]武装勢力から得られないことを強調しています。
それゆえ、イスラエルの政策目標は、イスラエルを攻撃するのをアラブ諸国の軍に躊躇わせるというものなのです。
その帰結としてイスラエルは、こうした国がイスラエルに勝てずその方針を変えることになるのを理解なら平和をもたらせると踏んでいるのです。
この軍拡戦略は主に2つの要素からなります;1つ目はイスラエルの近代的軍事力、2つ目は核兵器です。
この戦略は、非対称な戦争について語る時に問題になります。
こうした戦争においては、ゲリラ組織(和平プロセスが始まる 1992年までの PLO や Hamas に Hezbollah)がイスラエルより弱い立場にあるのはわかってるからです。
とはいえ、必ずしもそうであることは求めてません。
反対に、自らが弱いことを知りながら、それに構わずイスラエルを攻撃しようとしています。
それゆえ、イスラエルの軍拡戦略は危機に瀕しているのです:すでに萎縮してる相手は萎縮させられないのです。
死人は殺せませんから。
この軍拡戦略には、他の要素として長期に渡る大規模な攻撃があります:Hamas と Hezbollah あるいはかつての PLO が影響を受けたのを私達も目の当たりにしているものです。
初期の Hezbollah と最近の Hamas は、[携帯型などの]ミサイルを戦場に持ち込むことでイスラエルの戦略を真似て自らの目標を達成しようと努力してます。
ロケット弾は、イスラエルに軍事行動を躊躇わせるために Hamas と Hezbollah が使う道具なのです。
聞き手:あなたは最近の論説の一つで、「情報の封鎖」について書かれました。
この狙いについて説明してくれますか?
さらに加えて、これがイスラエル社会において[対パレスチナ政策への]批判が欠けていることに繋がっていると思いますか?
いえ、イスラエル国内で[対パレスチナ政策への]批判が欠けてるとは思いません。
この軍事行動の後、イスラエルの民主主義の新しい時代を迎えるでしょう:非対称な戦争と向き合う時から、イスラエルは非常に特徴的な戦術を取っているのです。
事前に自分達より弱い集団と仮定した戦場にいるゲリラ集団を萎縮させられないとしたら、この衝突における政治的目標はゲリラ組織の抹殺になるでしょう。
この方針は新しいものではなく、第二次世界大戦中のナチスも行っていたものです。
ドイツでは、そうした目標は抵抗軍を萎縮させるのではなく、軍事的抵抗集団を抹殺することにありました。
第二次世界大戦後、この戦術はアルジェリアで仏軍が、ラテンアメリカでコントラが[訳注1]、現在はイスラエル軍が取っています。
抹殺の戦いは直ちに虐殺戦争と認識されるのです:昔ながらの勝利達成を狙ったゲリラ組織との衝突でなく、抵抗組織の政治的構造を抹殺するための虐殺が実行されるのです。
こうした戦争には、戦闘員だけでなくその人達の背後にいる全ての政治的組織が巻き込まれることになるでしょう。
100万人以上の使者を出したアルジェリアの仏軍による戦争や、アルゼンチンとチリとの戦争と動機が極めて似ています。
聞き手:・・・そして、プロパガンダはこうした行為が上手く行くように働く・・・
情報の封鎖はプロパガンダ制度の一部分というわけでなく、軍事的戦略の一部なのです。
1940年代のドイツ、1950年代の仏、1970年代のアルゼンチン[訳注]、現在のイスラエルといった国家は、虐殺を実行するために自らの情報を公表せず封鎖したのです。
情報の封鎖に加えて、何をしてでも虐殺の正当化を試みるプロパガンダ組織があるのです。
聞き手:・・・「守る権利」といった正当化・・・
その通りです。
自らを守り土地への攻撃を避ける権利なのです、等々:メディアへの情報封鎖は軍事的戦略に属しているのです。
国際的なメディアが、イスラエル国内で行われる批判の広さを伝えないことを指摘するのも重要なのです。
こうした批判の多くはイスラエルのパレスチナ系市民により行われますが、ここ最近のデモに参加した多くのイスラエル市民によっても行われています:10万人以上の人が Tel Aviv でのデモに参加したのです[訳注]。
こうした人達は、政治的な生命を賭けているイスラエル市民なのです。
国際的メディアに欠けてる責任は、単純な図式に従い説明し紛争の複雑さを示さないことにあります:パレスチナ側だけと他のイスラエル側がお互いに殺しあっているという図式です。
イスラエル社会の中では戦争に対する批判があり、[よく Gaza 地区から飛んでくるロケット弾の着弾被害が伝えられる]Sderot ですら一元的な戦争の論理に反対する他の意見を言える集会があるのです[訳注4]。
紛争を扱う際、イスラエル社会内部における位置づけについての複雑さを隠す国際的なメディアは、戦争に関する単純な像を保とうとしているのです。
イスラエルの政権が、この戦争で大きく変わっていくことに注意するべきです。
国内の反対派に対し厳しい基準を適用しているのです:抗議デモ中の行為への疑いや政権に反対していることを理由に、500人以上の人達が逮捕され家から追い出されています[訳注5]。
イスラエル国会(クネセト)に6人の議員を送り込んでる、アラブ系の少数派を代弁する 2つの政党(Balad と United Arab List-Ta'al)が昨日(2009年1月22日)非合法化されました[訳注6]。
民主主義的手法を逸脱している政治的手段への変化に注意するべきです。
聞き手:今日は、イスラエルによる Gaza 地区への攻撃開始から18日目ですが、イスラエル軍は「心理戦戦術(Psychological Warfare Tactic)」を同様に使っています:これについてもっと詳しく述べてくれませんか?
この戦術は、Gaza 地区の抵抗勢力を弱める件についてイスラエル軍を助けてると思いますか、それとも Hamas と他の武装勢力への人々の支持を強めるという意味で逆効果だと思いますか?
このような戦争は、アルジェリアで仏軍が第二次世界大戦後に生み出し、繰り返し他国の軍も真似してきました。
この戦術(ビラを散布する、爆撃する前に家から避難させるために電話をかけるとか)は、人々をバラバラにすることを狙っていますが、一度も成功しなかったことは特筆するに値します。
仏軍はアルジェリアの FLN をほぼ全て抹殺できたと考えましたが、数年後アルジェリアは解放→独立しました。
アルゼンチンでは、同じような虐殺が行われました:1976年から1983年にかけて、Vidal 独裁政権が現在アルゼンチンを治めている Montonero というゲリラ集団の政治的組織を抹殺しようと企てました。
この戦争に勝つために、イスラエルは Hamas を支持する全てのパレスチナの人達を抹殺しなければならないのです:ここには別の意味があります。
生き残ることだけで、Hamas は勝利を得ることになるでしょう。
イスラエルの一方的停戦後、生き残った Hamas の活動家達は Hamas の旗を掲げ勝利を主張するでしょう[訳注7]。
負ける以外の道が無い[抹殺が難しいから]以上、イスラエルが敗北する形の戦争です。
聞き手:国外のメディアでは、Hamas は人間の盾を使ってると伝えてられています:また病院や学校に隠れてたとも・・・[訳注]。
イスラエル軍の兵士は、Hamas の戦闘員がどこに隠れているか知らないのです、そしてヘブライ語圏[イスラエル国内]の報道は大方知識不足を露呈してるのです。
イスラエルは大規模な虐殺を行いましたが、どれだけの人を殺したのか知らないし、損害を突き止めることもできないのです。
今になって、いわゆる軍事専門家がミサイルの発射数を 50%下げる等をして不正確な数字を出そうとしています。
しかし、もしイスラエルの兵士達が制圧してれば、Hamas はミサイルを撃てないのは明らかですが、イスラエル軍が移動すれば Hamas の戦闘員達はミサイル発射をすぐ行うことを彼らは知らないのです・・・。
虐殺戦争の一種に直面している、とだけ述べておきます。
聞き手:国外で取られている有効な政治的行動への戦略は何ですか?
最も緊急性のあることでは、イスラエルのボイコットを呼びかけることです。
おそらくもっとも有効な活動となるトルコでの例を見ました:イスラエルのスポーツチームをトルコ国内で試合させるのを阻止し、死海製の製品をボイコットしたのです[訳注8]。
大規模なボイコットが必要なのです:全てのイスラエル製品を買わず、国外で活動するイスラエルのサッカー選手[の試合]を観ない多くの人が必要なのです。
イタリアでもボイコットをする為には、イスラエルの歌手の公演や役者の芝居をやらせないべきです。
イスラエルは無駄にならないようにやることには、ネオコン的教条との厳しい闘争に直面してるのです:例え彼らが[表向き]民主的な手法を使っていても、政策は反民主的なのです。
イタリアは反民主主義的政策のはっきりした例であり、依然として民主主義国のようでそうでない国です[訳注9]。
イタリアやイスラエルに当てはまるだけでなく、世界的に進行してることなのです。
多くの人達が[ボイコットの為に]立ち上がり、人々がイスラエル支持を止めるよう圧力をかけない限り政府はイスラエルを支持するのです。
この時期の大規模な運動は、人々を動かし、ボイコットや訴訟を起こし、自らの政府がイスラエルの支持者であり続けさせない役割を持っているのです。
聞き手:イスラエルに対する大規模なボイコットをする人々の間で、国際的理解を得るように働きかけるべきですか?
私達はイスラエルへのボイコットを広めるために動くべきだし、広い国際的理解を得て、欧州では100万人以上の人々がパレスチナの人達への支持を示すために立ち上がり、大規模なデモも行われました。
私達は、イスラエルへのボイコットを広めるために行動するべきなのです。
聞き手:ボイコットする製品のリストは何ですか?
[イスラエル国内・国外の]企業を並べ、そうした企業がどのように製品を作り占領地パレスチナから利益を得ているかを紹介するwww.whoprofits.orgという Webサイトが立ち上がっています。
聞き手:デモは、イスラエルのボイコットに重要な役割を果たす政治組織やスポーツ団体を納得させるために有効な手段ですか?
大規模な運動が常に最良の手段なです。
欧州の左派の政治家達は、言うこととやってることが違うのです。
彼らはパレスチナの人達との連帯を表明していますが、実際はイスラエルを支持しているのです。
私達が政治家達を必要としてるとは言いませんが、[政治家達に]目標を定めるための大規模な運動が必要なのです。
「左派になりたいのか?」
「俺たちは左派だ、お前は俺たちの労働者だ、お前は俺たちの為に働くんだ、その逆じゃないけどな」と人々は言うでしょう。
欧州で左派政治家と呼ばれてる人達は、非常に官僚的になっています。
ゲームなのでしょう:右派が議会を占めるのを避けるための左派政治家への投票はほとんど無く、ただ自分達の声と活動を代表する人達に投票するだけなのです。
今日の国際市民社会にとって、パレスチナの位置づけが 1960年代にベトナムが占めていたものと非常に似ていると信じています。
パレスチナは象徴的価値を持ち、帝国主義による恐ろしい攻撃へ抵抗する国家であり、パレスチナの人達は降伏しないのです[でも指導者達は・・・]。
世界には優れた政治的指導者や素晴らしい人達がいることに疑問はありません:パレスチナの人達の闘争も、グローバル化やその他抑圧に対する抵抗する権利を象徴しているのです。
訳注1:正式名称コントラ・レボルシオン()。
ニカラグアで1979年から1989年にかけて発生した内戦において、米政府の支援を受けて(米政府と対立していた)ニカラグア政府を潰すべく戦っていた集団。
この内戦に関する経緯に関しては↓参照。
・第十章 コントラとの戦い(2000年1月1日? ラテンアメリカの政治;鈴木 頌氏のサイト)
・第十一章 コンタドーラからエスキプラスへ
(2000年1月1日? ラテンアメリカの政治;鈴木 頌氏のサイト)
訳注2:独裁政権下のアルゼンチンで、1976年〜1983年に行われた「汚い戦争(Guerra Sucia)」と呼ばれる反政府勢力(と軍事政権が決め付けた人も含む)へ行った弾圧のこと。
なお、この「汚い戦争」に関わった人達への恩赦取り消しを巡って、各種裁判が行われてたことにも注意。
・アルゼンチン:「汚い戦争」の裁判、20年を経て再開(2006年6月25日 news.janjan.jp)
訳注3:2009年1月3日にはイスラエル北部の Sakhnin という町で10万人以上(多分主催者発表)が参加して抗議デモを行った。
この件については↓参照。
・100,000-150,000 Palestinians in Sakhnin, Israel Protest Israel's Gaza Offensive(2009年1月3日 Monthly Review)
訳注4:集会の1つとしては、宗教団体の人達が計画した『CONVOY FOR PEACE: SDEROT - GAZA』なんてのもある。
それと平行して、2009年1月25日に Sderot で和平への道を探る集会を開いた・・・らしい。
・Help Support Convoy for Peace: Sderot-Gaza(2009年1月16日 Synergos)
訳注5:この件については↓参照。
・Israeli peace activists face crackdown(2009年1月10日 TheStar.com)
訳注6:最終的に、イスラエル最高裁により2009年イスラエル総選挙への出馬が認められた。
この件については↓参照。
・Supreme Court overturns ban on Arab parties from national elections (2009年1月26日 Haaretz.com)
訳注7:この件については↓参照。
・Hamas Holds Victory Rallies Across Gaza As UN Chief Inspects Damage(2009年1月20日 The Huffington Post;AP)
訳注8:例としては↓
・Hamas using women, kids as human shields: expert(2009年1月21日 The Canadian Jewish News)
訳注9:実際、2009年1月6日にトルコで行われたバスケットボールの EuroCupで、イスラエルの Bnei Hasharon というチームが試合に出場できずに反則負け(試合放棄)を喰らった。
理由は、イスラエルの Gaza 地区に対する(略)テロ行為へ抗議する人達が会場内外に沢山いたので、Bnei Hasharon の選手達が試合を始めるのを嫌がったらしいが・・・。
・Regular Season Game 5 - January 06, 2009(2009年1月6日 Eurocup)
・Terror in Turkey for Bnei Hasharon team(2009年1月7日 jpost.com)
・Turkey: Sports fans shout down Turk-Israeli EU Basketball championship game(2009年1月8日 Al-Masakin News Agency)
訳注10:最近では、ロマ人への排斥運動を黙認してるとか・・・。
この件については↓参照。
・「外国人排斥の空気」強まる−イタリア(2008年10月17日 世界日報;元ネタは Christian Science Monitor の記事)
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