mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

古賀志山は天晴れ—山頂の老人クラブ

2016-10-14 08:39:10 | 日記
 
 昨日、久々に秋らしい天気になった。8時半ころ宇都宮駅に降り立ち、レンタカーを借りて古賀志山の登山口がある宇都宮森林公園に向かった。山の会の「日和見山歩」の月例会だ。すでに駐車場にはたくさんの車が止まっている。森林公園で遊んでいるのか古賀志山に登っているのか。見分けはつかないが、登山スタイルの人たちがすでに、何人も歩きはじめている。青空が広がる。「いい天気だなあ」と、誰かが感に耐えた声を上げる。
 赤川ダムの水は少ない。カモなどもまだ、一羽も来ていない。北に古賀志山が姿を見せている。山頂に電波塔が立っているので、それとわかる。静かな湖面と緑いっぱいの山の姿が「森林公園」を自称しているようにも思える。北岸のキャンプ場のところに来ると、登山口に張り綱がしてあり、「台風のため、北登山道は通行禁止」とある。ありゃ、これは困った。今日のチーフ・リーダーのkwmさんは別の登山ルートが登れるかを探っている。たまたま公園の管理事務所の電話番号を、naviにいれるためにメモしていたから、そこへ電話してみる。若い女の声が「昨年の台風のときに橋が崩落して通れなくなっています。地元の山岳会の方々がいろいろ工夫して通れるようにして下さっているのですが、古賀志山は初めてですか?」と聞く。「はい、初めてです」と応えると、「はじめての方にはお勧めしません」という。そういうやり取りをしている間にも、かたわらを通って古賀志山の方へ向かう人たちがいる。「行こう、行こう。なんとかなるよ」と誰かが声を上げ、張り綱を回り込む。
 すぐ先の橋が傾いている。小さな沢に降りて、苔のついた滑りやすい石を伝って対岸に渡る。渡っていると、お年寄りが一人、傾いた橋のところを通っているではないか。「こちらの方がいいよ」と列の後ろの人たちは橋の方へまわる。難なくわたる。「橋が壊れているって、これのことかなあ」と、渡った人が言う。私は、上部に別の橋があるんじゃないか。もしこの橋が「壊れて通行禁止にするような橋」だとすると、「通行禁止」にするのも変だし、これが昨年の台風によるのだとしたら、「当局」が放置してあるのは怠慢だと思う。後で分かったのだが、登山道の行程には、これ以外に「橋」はなかった。「地元山岳会」が工夫して仮設してくれたのだとしたら、「通行禁止」は解除すればいい。「当局」が責任回避をしたいから、「通行禁止」にしているとしか思えない。もし登山者がいて、その通行に「当局」が「責任を感じているのだとしたら」直せばいいではないか。どこが所管しているのかわからないから、「当局」にぶつけようがないが、もし予算がなくて修理ができないのなら、「この先の橋が崩落しています。気を付けてお通りください」と書いておけばいいではないか。張り綱までして「通行禁止」とするなど、けしからん! 
 いやはや、たくさんの人が登っている。平日の、火曜日だよ。まあ、それほどに、晴れの日を待ち望んでいたとも言えるし、見ると皆、お年寄りばかり。これほど年寄りに親しまれている山なのかと、はじめての私は、改めて古賀志山を見直す。じつはこの山、私の手元にあるガイドブック『東京350山』には出ていない。kwmさんはどこで知ったのだろう。標高583m、出発点の駐車場は約209mだから、今日の標高差は380mほど。近くに住んでいれば、毎日上ってもいい、散歩のような山歩きだ。
 石がごろごろ転がっている涸れ沢に沿って上る。やがて沢から上がり、スギの樹林の中を辿る。右側からひょいと人が現れる。「?」という私の顔を見てか、「近道があるんです。壊れた橋のすぐ左側に……」と、突然現れた訳を説明する。地元の方らしい。
「たくさんいるけど、どんな団体?」
「山の会です」
「どちらの?」
「さいたま」
「それはそれは遠方から……。ありがとうございます」
 と。自分の山のような言い方がおかしい。道を譲る。同行と思われた若い女の方にも「どうぞ」というと、「いえ、一緒じゃないんです。たまたま(あの方の)後ろについて来ただけなんです」と笑いながら、先へ行った。ゆっくり歩いていた3人組を追い越す。私たちが一休みしていると、その3人組が追い越していく。私たちがすすむと彼らが一休みしている。みな年寄りばかりだ。
 大きな岩を過ぎたあたりで、急斜面の登りになる。前の方から歩調に合わせて掛け声が聞こえる。よく聞くと「ビール、ギョウザ。ビール、ギョウザ」と言っている。mrさんとotさんが交互に言い交して、励ましている。樹間に空の青が見える。「あれが峠。もう少しよ」と、へばりそうなmzさんに声をかける。上では「やあ、来た来た。もうひと登りですよ」とkwrさんが励ます。実は今日は、mzさんの「卒業/留年」を見極める山歩きでもあった。そろそろ古稀になるmzさんは今日の調子を見て、この山の会を退会しますと伝えてきていた。「何とか留年させようね」と、掛け声のmrさんもotさんも話していた。
 富士見峠。でも富士山は見えない。周りは樹に囲まれている。広い斜面だから、後から来た人が追い越していく野に気遣う必要がない。山頂部に近いところに来て本道を逸れ、東稜の見晴台にでる。狭い見晴台にはすでに何人もの人がいる。先端の岩場に立つと、東に、双耳峰の筑波山が雲に霞む広い平地にポツンと佇む。いい眺めだ。
「おい、富士山が見えるぞ」
「えっ、えっ、どこどこ? あ~あんな下の方だったのね」
 と誰かが声をあげます。もっと上の方にあると探していたようです。南西の方、古賀志山の稜線の少し上に、小さい富士山が、下に雲を従えてみえます。いいねえ、山はやっぱり天気に限るねえ、と誰かの声が聞こえます。紅葉はまだまだ。突き出した岩の上に立って写真を撮っている人がいる。かたわらに恐々と近づいて覗く人もいる。遠い下方に町並みも見える。
 見晴らし台が混んできたので古賀志山の山頂に向かう。ほんの5分ほどで到着。すでにお昼を囲んで賑やかな声が聞こえる。登りはじめのころに突然現れた地元の方が、「おお、埼玉のひと……」と言いながら「どうぞ、また来てくださいね」とプラスティックの枝折のようなものをくれる。表に「古賀志山」とあり裏に「登頂記念」とある。別の方が、草で編んだバッタを女性に手渡している。なんだろう、この方たちは。古賀志山というのは、地元の人たちの親しく、敬愛する山なのだと思われる。
 樹に囲まれて見晴しは良くないが、腰を下ろす太い丸太やテーブル様の板敷を囲むベンチもある。ここでお昼にする。「それ、センブリです」と声が聞こえる。楚々とした小さい白い花が3輪咲いている。へえ、こんなところに、と思う。次々と登ってくる。大方が年寄りだが、やってきて、先ほどから大声を出してしゃべり合っている人の輪の中にすうっと入っていく。いつでも天気のいいときにはここで落ち合って時間を過ごしているとでもいうように、なじみの人たちのなじみの山なのだ。いいねえ、こういう山頂の老人クラブというのも。
 御嶽山に向かう。近づくとがらりと様子が変わって、岩場の山。ロープの張ってあるところもあるが、たいていは岩角をつかんで、慎重に登って岩を越え、岩を下る。後ろから人が、スタスタと下へ降りていく。バイパスがあるのだ。それと知ってmzさんはそちらへ向かう。ほかの方々は、ここまで来たからには降るのもしゃくだとずんずん前へ進む。私は後ろからパシャパシャと写真を撮りながら、追いかける。「恐い」と言いながら面白がっている。御嶽山の山頂部には祠がある。広い北側へ出ると、目の前に赤薙山から女峰山、大真名子山、小真名子山、男体山、日光白根山から皇海山、庚申山などがしっかりと見える。「あの、遠くのは浅間じゃないの?」という声に目を凝らすと、たしかに丸い山頂部が、手前に妙義山のごつごつとした山容をおいてみえている。いいねえ、やはり山は晴れにかぎるねえと、今日何度目かの言葉を耳にする。
 バイパスを下って赤川ダムへの道をたどる。階段が延々と続く。階段なので急斜面を感じさせない。だが、階段が苦手という人が悲鳴を上げるようにして下りてゆく。やがて林道に出る。地図では林道を回り込むようにルートが記されているが、舗装林道のすぐ脇に樹林帯へ入る上り口があり、「赤川ダム」と記した木柱表示が立っている。それを辿ると、ほぼ樹林の中を抜けて、ポンと赤川ダムの北西部分に降り立つ。あとは、ダムの周回路を辿り、堰堤の上の舗装路を歩くと駐車場のすぐ上に出る。堰堤の上から振り返るとダム湖の向こうに、古賀志山が陽ざしを受けてたおやかな山稜をみせている。
 こうして、2時前に駐車場に戻り宇都宮駅に帰り着いた。掛け声に応えて、ビールとギョウザを頂戴して電車に乗った。うつらうつらしているうちに大宮へ着いた。やはり山歩きには、晴れがいちばんだと、また思い返した。
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