e-Gov電子申請システム。
3月終わりごろにリニューアルされ、幾分操作感(使い勝手)が良くなりました。
そもそもの始まりは昨年から。
前々から興味は持っていたのですが、ネット環境の貧弱さはもとより、かつては社会保険の手続きにいちいち年金手帳など現物を郵送しなくてはいけないとか、従業員の押印の代わりに従業員本人の電子証明書が必要だとか、どう考えても恐ろしく無駄手間が増えるだけだったのでずっと様子見でいました。
それが徐々に手続き要件が緩和され、基本的には事業所の電子証明書と、必要に応じて従業員の委任状スキャン画像で用が足りるように。
また、可能な手続きが、社会保険の従業員関係では資格取得から資格喪失まで、それに扶養異動や育児休業・介護休業、支払関係では算定基礎届や賞与支払届の提出といったあたりにまで及んでいて、日常的な処理は概ねカバーされています。
(雇用保険の資格喪失は、離職票を依頼すると電子申請できないのが非常に間抜けですが…)
そのへんで政府の頑張りがまあまあ感じ取れたので、職場から年金事務所(旧社会保険事務所)やハローワークへ出向くのに往復1時間はかかる土地柄、電子証明書が要るものの月々600円程度なら、人件費やガソリン代の節減で十分元が取れるだろうと考えたのです。
しかしそれからが難行苦行の始まりで…
導入準備もなかなか面倒でしたが(いまPCを入れ替えるとしたら、同じ環境にするのに何をどうやればいいかちょっと思い出せない)、何しろ電子申請そのものが相当な曲者で。
リニューアル前のシステムでは、申請書の作成を始めるところから大して意味もないような確認がやたらに繰り返され、入力画面も変に紙の様式を踏襲しているだけでただ入力しづらく、入力後の確認も分かりにくく、今自分がどの段階にいるのか、あと何をすれば済むのかがどうにも把握できないのです。
最もひどかったのが申請書を送信する時の手順で、PC内に保存した届出書「本体」と「構成情報」のxmlファイル(大変分かりにくいファイル名が付されていて、さらに大変分かりにくい名前のフォルダに収められている)を、わざわざ手作業で選択しなければなりませんでした。
その上添付ファイルが複数あれば、それぞれの添付ファイル「本体」と「構成情報」をひとつずつ参照し登録していくという…
その不親切さは、敷居が高いとかいうよりも単に無責任な設計で、あたかも自分勝手に組んだExcelマクロを他人に無理矢理使わせる時のよう。
あまりにも手間がかかるので、業務時間短縮の観点からはメリットはさほどなし。
(率直に言って紙に書く方が数倍速い)
まあ、紙を出しに行くとなると運転中は仕事ができないので、その分事務所にいれば電話応対なんかができる分だけまだマシか?てなところ。
(小さな事務所では、それだけでも結構違ったりします)
最悪、ガソリン代だけは間違いなく節約できてます、という感じ。
(交通事故のリスクなどまで含めれば十分元は取れている…のかも)
というかパソコンいじりに興味がなければ、そうやって苦労すること自体が大いなる人生の無駄に感じられそう。
そんな有様だったのが、先月から改善されたというわけです。
最大の改善点は、やはり送信手順でした。
さぞ非難の声が高かったのでしょう、今では申請書の作成時にいったん「申請届出書預かり票」としてPC内に預かり票ファイル(azukari_yyyymmddhhmmss.xml)を保存し、送信の際にそのファイルを一つ指定すれば済む仕様に変わっています。
また、入力画面に至るまでに意味不明な確認画面がたくさんあったのが、大胆に省略されて本題に入りやすくなりました。
ただ新規入力のたびにワークフォルダ設定の許可を求められるのは相変わらずですが…
そのへんはひとつ環境設定画面など用意しておいてもらって、そこでまとめて設定しておけるようにしてもらいたいところです。
「基本情報入力」も同じことで、現状ではユーザーにわざわざ入力内容をファイル保存させておいて申請のつど「ファイルから読込」ボタンで読み出させるようにしています。
しかも厚生年金・健康保険の申請と雇用保険の申請とで、それぞれ同じような項目しかないにもかかわらず保存したファイルに互換性がなく、各々別ファイルで保存しておかなければならないというアホらしさ。
あとは添付ファイルの問題で、委任状だとかタイムカードの写しとかをスキャナで読み取って添付するわけですが、年金事務所あてのファイルに限っては「JPEG形式のみ、1ファイル300KBまで」という変な制限があります。
システム制定時の時代背景が偲ばれますが、早いとことっぱらってもらいたいものです。
ところで。
健保や年金関係では、例えば資格取得時に保険証や年金手帳が郵送で届くのは仕方ないとして、受理確認書類(公文書)がPC上で確認できるのはなかなか合理的です。
他方、雇用保険は申請の都度、用紙が郵便で送られてくるのが無駄な気がしてなりません。
特に、少し前から用紙がそれまでのクリーム色専用紙から白色のミシン目入り汎用紙に変わったので、別にミシン目さえ気にしなければデータだけ送ってもらうのでも(手元で印刷するのでも)何ら差し支えないだろうと思うのですが。
どうでもいいような印刷紙を郵送しなければならない分だけハローワーク側に余計な手間を強いているわけだし、事業主側でも到着を待っている時間(退職者処理の場合、その書類が届き次第退職者あて郵送したりするので)が勿体なかったりします。
と、まあついつい不満点を数えたててしまいますが、申請がなんぼか速くできるようになったのは事実で、以前よりは利用に際しての気持ちのハードルがずいぶん下がりました。
ちなみに電子証明書を取得してあると他の申請もできるので、意外な場面で利便性を享受できたりします。
例えば、就業規則の変更届や36協定の届出(労働基準監督署)なんてのも電子申請でできます。勝手の知れた変更だったり、協定でも単なる年度更新でしたら大いに手間が省けます。
使ってみて便利だと思ったのは法務局への印鑑証明書や登記事項証明書の送付請求で、どうしても急ぎで必要というのでなければ手数料をネットバンクで納めた翌日か翌々日には郵便で届きます。
そんなこんなで、とりあえずそれなりの便利さを実感できるようにはなったので、次のリニューアルには感動的な改善を期待しているところです。
(内心、ぐっと良くなるまでにはまだ2~3回はかかるだろうと諦観してますが…)
(2011-01-23追記)
今月から、上で書いていた雇用保険の用紙郵送問題が改善されたようです。
雇用保険では公文書がPDFで発行され、手元で印刷すれば済むようになりました。
これは健保・厚年の公文書がXMLなのに比べるとユーザー的には扱いやすくて非常に有難いのですが、そうなると健保関係もPDFにならないだろうかとさらにワガママ(?)を言いたくなってしまいます。
3月終わりごろにリニューアルされ、幾分操作感(使い勝手)が良くなりました。
そもそもの始まりは昨年から。
前々から興味は持っていたのですが、ネット環境の貧弱さはもとより、かつては社会保険の手続きにいちいち年金手帳など現物を郵送しなくてはいけないとか、従業員の押印の代わりに従業員本人の電子証明書が必要だとか、どう考えても恐ろしく無駄手間が増えるだけだったのでずっと様子見でいました。
それが徐々に手続き要件が緩和され、基本的には事業所の電子証明書と、必要に応じて従業員の委任状スキャン画像で用が足りるように。
また、可能な手続きが、社会保険の従業員関係では資格取得から資格喪失まで、それに扶養異動や育児休業・介護休業、支払関係では算定基礎届や賞与支払届の提出といったあたりにまで及んでいて、日常的な処理は概ねカバーされています。
(雇用保険の資格喪失は、離職票を依頼すると電子申請できないのが非常に間抜けですが…)
そのへんで政府の頑張りがまあまあ感じ取れたので、職場から年金事務所(旧社会保険事務所)やハローワークへ出向くのに往復1時間はかかる土地柄、電子証明書が要るものの月々600円程度なら、人件費やガソリン代の節減で十分元が取れるだろうと考えたのです。
しかしそれからが難行苦行の始まりで…
導入準備もなかなか面倒でしたが(いまPCを入れ替えるとしたら、同じ環境にするのに何をどうやればいいかちょっと思い出せない)、何しろ電子申請そのものが相当な曲者で。
リニューアル前のシステムでは、申請書の作成を始めるところから大して意味もないような確認がやたらに繰り返され、入力画面も変に紙の様式を踏襲しているだけでただ入力しづらく、入力後の確認も分かりにくく、今自分がどの段階にいるのか、あと何をすれば済むのかがどうにも把握できないのです。
最もひどかったのが申請書を送信する時の手順で、PC内に保存した届出書「本体」と「構成情報」のxmlファイル(大変分かりにくいファイル名が付されていて、さらに大変分かりにくい名前のフォルダに収められている)を、わざわざ手作業で選択しなければなりませんでした。
その上添付ファイルが複数あれば、それぞれの添付ファイル「本体」と「構成情報」をひとつずつ参照し登録していくという…
その不親切さは、敷居が高いとかいうよりも単に無責任な設計で、あたかも自分勝手に組んだExcelマクロを他人に無理矢理使わせる時のよう。
あまりにも手間がかかるので、業務時間短縮の観点からはメリットはさほどなし。
(率直に言って紙に書く方が数倍速い)
まあ、紙を出しに行くとなると運転中は仕事ができないので、その分事務所にいれば電話応対なんかができる分だけまだマシか?てなところ。
(小さな事務所では、それだけでも結構違ったりします)
最悪、ガソリン代だけは間違いなく節約できてます、という感じ。
(交通事故のリスクなどまで含めれば十分元は取れている…のかも)
というかパソコンいじりに興味がなければ、そうやって苦労すること自体が大いなる人生の無駄に感じられそう。
そんな有様だったのが、先月から改善されたというわけです。
最大の改善点は、やはり送信手順でした。
さぞ非難の声が高かったのでしょう、今では申請書の作成時にいったん「申請届出書預かり票」としてPC内に預かり票ファイル(azukari_yyyymmddhhmmss.xml)を保存し、送信の際にそのファイルを一つ指定すれば済む仕様に変わっています。
また、入力画面に至るまでに意味不明な確認画面がたくさんあったのが、大胆に省略されて本題に入りやすくなりました。
ただ新規入力のたびにワークフォルダ設定の許可を求められるのは相変わらずですが…
そのへんはひとつ環境設定画面など用意しておいてもらって、そこでまとめて設定しておけるようにしてもらいたいところです。
「基本情報入力」も同じことで、現状ではユーザーにわざわざ入力内容をファイル保存させておいて申請のつど「ファイルから読込」ボタンで読み出させるようにしています。
しかも厚生年金・健康保険の申請と雇用保険の申請とで、それぞれ同じような項目しかないにもかかわらず保存したファイルに互換性がなく、各々別ファイルで保存しておかなければならないというアホらしさ。
あとは添付ファイルの問題で、委任状だとかタイムカードの写しとかをスキャナで読み取って添付するわけですが、年金事務所あてのファイルに限っては「JPEG形式のみ、1ファイル300KBまで」という変な制限があります。
システム制定時の時代背景が偲ばれますが、早いとことっぱらってもらいたいものです。
ところで。
健保や年金関係では、例えば資格取得時に保険証や年金手帳が郵送で届くのは仕方ないとして、受理確認書類(公文書)がPC上で確認できるのはなかなか合理的です。
他方、雇用保険は申請の都度、用紙が郵便で送られてくるのが無駄な気がしてなりません。
特に、少し前から用紙がそれまでのクリーム色専用紙から白色のミシン目入り汎用紙に変わったので、別にミシン目さえ気にしなければデータだけ送ってもらうのでも(手元で印刷するのでも)何ら差し支えないだろうと思うのですが。
どうでもいいような印刷紙を郵送しなければならない分だけハローワーク側に余計な手間を強いているわけだし、事業主側でも到着を待っている時間(退職者処理の場合、その書類が届き次第退職者あて郵送したりするので)が勿体なかったりします。
と、まあついつい不満点を数えたててしまいますが、申請がなんぼか速くできるようになったのは事実で、以前よりは利用に際しての気持ちのハードルがずいぶん下がりました。
ちなみに電子証明書を取得してあると他の申請もできるので、意外な場面で利便性を享受できたりします。
例えば、就業規則の変更届や36協定の届出(労働基準監督署)なんてのも電子申請でできます。勝手の知れた変更だったり、協定でも単なる年度更新でしたら大いに手間が省けます。
使ってみて便利だと思ったのは法務局への印鑑証明書や登記事項証明書の送付請求で、どうしても急ぎで必要というのでなければ手数料をネットバンクで納めた翌日か翌々日には郵便で届きます。
そんなこんなで、とりあえずそれなりの便利さを実感できるようにはなったので、次のリニューアルには感動的な改善を期待しているところです。
(内心、ぐっと良くなるまでにはまだ2~3回はかかるだろうと諦観してますが…)
(2011-01-23追記)
今月から、上で書いていた雇用保険の用紙郵送問題が改善されたようです。
雇用保険では公文書がPDFで発行され、手元で印刷すれば済むようになりました。
これは健保・厚年の公文書がXMLなのに比べるとユーザー的には扱いやすくて非常に有難いのですが、そうなると健保関係もPDFにならないだろうかとさらにワガママ(?)を言いたくなってしまいます。