フィールズ国際特許事務所 代表弁理士ブログ

フィールズ国際特許事務所(FIELDS IP Attorneys)の代表弁理士が知財を中心に日々を綴っていきます

BIO2017に参加して

2017-06-28 08:40:15 | 出張

先週(6/19-22)、米国サンディエゴで開催されたBIO International Convention 2017に参加してきました。

BIO International Convention(BIO)は毎年5-6月に米国で開催されている世界最大のバイオ・医薬系の展示・商談会です。このコンベンションは、バイオ・医薬系の企業や大学・研究機関向けに設計されているようで、ここ数年は企業間・産学官間のパートナリングシステムが強化されているように感じます。

その一方で、法務、コンサル、会計、翻訳などのいわゆる周辺産業の関係者も参加しています。記憶では00年代中頃から知財関係者が参加するようになり、知財関係者のミーティングやネットワーキングの場として活用されるようになっています。

私の場合も、海外の知財関係者とのミーティングが主な参加理由となっており、今年も弊所と取引がある現地代理人を中心にミーティングを行ってきました。世界各国への出願と権利化は、信頼できる優秀な代理人との関係維持や情報交換が重要であり、BIOをface to faceのミーティングの場として活用しています。

ちなみに、BIOに参加する意味はありますか?ということをよく聞かれます。海外の知財関係者と会うのであれば、INTA、APAA、AIPPIなどの各種知財関係団体の会合を利用するか、直接訪問することで対応できそうですが、私の場合は会いたい人がBIOに参加しているというのが参加の動機となっています。

但し、バイオ以外の専門分野の知財関係者はほとんど見かけず、また、興味がある取引先やキーパーソンがすべてBIOに参加している訳ではないので、自分が会いたい人がBIOに参加していれば参加する意味はある、というのが答えになろうかと思います。

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紀伊国坂

2017-06-06 23:52:14 | 街ネタ

国会議事堂周辺を中心に永田町は小高い丘になっています。桜田門や溜池・霞が関方面に向かうと下り坂になり、逆方向は登り坂になります。赤坂見附方面も下り坂で四谷方面に向かうと今度は登り坂になり結構なアップダウンがあります。気分転換や小運動にはちょうどよい地形です。

赤坂御用地を左に、弁慶堀を右に見ながら四谷方面に登る坂を紀伊国坂といいます。小泉八雲集に出てくる「むじな」で知られた坂です。車道の車の通行は比較的多いですが、通行人はまばらで、車の往来が途絶えると周囲はとても静かです。一昔前はとても淋しい坂であったのだと想像します。

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特許審査へのAI活用

2017-04-28 16:40:01 | 審査実務

昨日(4/27)特許庁から、人工知能技術の活用に向けたアクション・プランが公表されました。

◆「特許庁における人工知能(AI)技術の活用に向けたアクション・プランの公表について」:http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/ai_action_plan.htm 

アクション・プランによると、電話等の質問対応や品質監査(誤記等の確認)などの事務対応については既にAIの本格導入が決まっているようです。民間でも同様のAI活用が検討されているのでこれは当然の流れでしょうか。

興味があるところは審査へのAI活用です。審査実務にAIを活用できるレベルということは、特許調査・明細書作成などの仕事にもAIを活用できる可能性があります。特許庁の審査が変わるということは、特許事務所の仕事も変わるということだと思います。

アクション・プランによると、先行技術調査については既に基盤技術が存在し、実証実験を平成31年度まで実施し、実証結果を踏まえ、導入可否を検討するとのことです。

一方で、発明の内容理解・認定や、特許登録の可否の判断は「AI技術の進展を注視/支援ツールとしての活用方法について、引き続き検討」とのことです。こちらは公表資料によると「基礎研究を含め、関連技術が存在しない」とのことで、商標や意匠の登録可否判断も同様となっています。

このように特許審査の本丸部分についてはAIの活用は目処がたっておらず、しばらく先のようです。ただ、この分野の技術は急速に進歩しており、知財業務へのAI活用の可能性については大変興味があるところです。

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寄託微生物の分譲

2017-04-20 19:12:06 | 寄託制度

微生物など、明細書の記載だけでは再現できない発明について特許を受けようとするときは、微生物を所定の寄託機関に寄託した上で特許出願をすることが必要です。一方で、寄託された微生物は一定の条件のもと分譲されることになります。微生物を寄託した出願人にとっては寄託微生物が誰の手に渡り、どのように利用されるかがとても気になるところです。よく質問を受けるところですので、以下、まとめてみました。

<<誰が分譲を受けることができるか>>

特許微生物寄託等事業実施要綱(以下、実施要綱)12条1項によると、寄託された微生物は、寄託者本人、寄託者の承諾を受けた者、そして法令上の有資格者が分譲を受けることができるとされています。

寄託者本人と寄託者の承諾を受けた者は出願人のコントロールが及ぶ者であり、それほど心配はないと思います。出願人のコントロールが及ばない「法令上の有資格者」への分譲が問題となります。

「法令上の有資格者」とは特許法施行規則第27条の3第1項に定められた下記要件のいずれかを満たす者を指します。

(i)その微生物に係る発明について特許権の設定登録があったとき

(ii)補償金請求権(特許法65条)に関する警告を受けたとき

(iii)拒絶理由通知に対する意見書の作成に必要なとき

法令上の有資格者に関しては、特許前は(ii)と(iii)の場合しか分譲が認められませんが、特許後はすべて(i)に該当するので法令上の有資格者になることに特に制限はないといえます。

また、法令上の有資格者という地位は、上記のいずれかの要件を満たす限り、特許庁に申請すれば簡単に証明してもらえます。(証明願に分譲請求書を添付して提出し、分譲請求書に特許庁長官の証明印を押してもらうことで完了します。)また、現行実務では、証明手続きにおいて試験・研究の具体的な内容を示すことは求められていないようです。

すなわち、微生物に係る出願が特許された後は、第三者は法令上の有資格者という地位で比較的簡単に微生物の分譲を受けることができることになります。

但し、実施要綱15条によると、法令上の有資格者に分譲がなされた場合は、寄託者へその旨の通知がなされると規定されています。NITE-IPOD(独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター)によると、分譲先の情報が寄託者に通知されるとのことです。寄託者に知られずに分譲を受けることはできません。

<<どのように利用されるか>>

特許法施行規則第27条の3第1項によると、「試験又は研究のために実施しようとする者」が寄託微生物の分譲を受けることができるとされています。また、同条2項によると、「微生物の試料を第三者に利用させてはならない」と規定されています。

法令上の有資格者について、試験・研究のための実施であることや、第三者に利用させていないことの確認は実務上、どのようになされているのでしょうか?

まず、分譲請求書には「微生物の使用に関する承諾書」の添付が求められています。この承諾書の中には利用目的に関する欄があり、分譲された微生物の利用は「試験又は研究」の範囲内であること、また、第三者に利用させてはならないことが挙げられています。分譲請求人はこの承諾書に捺印し、提出しなければなりません。

次に、実施要綱12条の2によると以下のように規定されています。

「指定機関の長は、前条第一項の規定により寄託された微生物の試料を同項第三号に該当する者に分譲した場合において、その者に対して、その微生物の試料が、法令の規定に従って利用されたことを確認するために必要な情報の提供を求めることができる。」

NITE-IPODによると、法令上の有資格者に対して分譲が行われた場合には、分譲を受けた者に「分譲微生物の使用の終了と廃棄報告書」の提出を求めているとのことです。また、必要に応じて分譲微生物の使用状況の調査を行っているとのことです。

但し、NITE-IPODに確認したところ、報告書が提出されなかった場合には、NITE-IPODから分譲請求人に対して報告書提出のお願いがなされるだけで、特に罰則・制裁措置があるというわけではないとのことでした。また、そもそも目的外利用の罰則については寄託微生物関連条項(前述の実施要綱や施行規則など)に規定がありません。

<<まとめ>>

寄託微生物の分譲をまとめると以下の通りになります。

・微生物に係る出願が特許された後は、第三者は比較的簡単に寄託微生物の分譲を受けることができる

・法令上の有資格者に分譲がなされた場合には、寄託機関から寄託者へ分譲先の情報が通知される

・法令上の有資格者が分譲請求する場合には、利用目的や第三者使用に言及した承諾書を提出しなければならない

・法令上の有資格者に分譲がなされた場合には、分譲を受けた者は「分譲微生物の使用の終了と廃棄報告書」の提出が求められ、必要に応じて分譲微生物の使用状況の調査が行われる

・寄託微生物関連条項に目的外の利用に対する罰則規定はない

微生物に係る出願が特許された後は、第三者は比較的簡単に微生物の分譲を受けることができますが、分譲請求人には、承諾書や報告書の提出が求められています。目的外の利用に対する罰則規定はないものの、特許権侵害の可能性もあります。コンプライアンスが重視されている昨今の状況を鑑みると、当初から目的外利用を狙った分譲請求はそれほど多くはないように思われます。

しかし、(意図的、偶発的は問わず)寄託微生物の遺伝情報や発現産物が解析され、それが他の研究開発で利用される恐れはあります。そのため、特許出願に当たって門外不出の微生物を寄託しなければならないときは、微生物やその研究成果をノウハウとして秘匿することも対応としては考えられるところです。

<<参考情報>>

JPO微生物寄託の案内:https://www.jpo.go.jp/seido/tokkyo/tetuzuki/shutugan/biseibutu/index.html 

NITE申請書類:http://www.nite.go.jp/nbrc/patent/form/description_f.html 

NITE分譲手続き:http://www.nite.go.jp/nbrc/patent/furnishing/index.html 

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日ブラジルPPH試行プログラム開始

2017-04-10 19:55:01 | 外国実務(その他)

特許庁及び経済産業省によると、日本特許庁とブラジル特許庁は、日ブラジル特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを2年間実施することに合意し、本年4/1からプログラムを開始したとのことです。ブラジル特許出願の審査遅延は世界的にみてもかなりひどく、この知らせを聞いたときはさっそく利用せねば、と思いました。

しかし、詳細を調べてみると、PPHの対象となる技術分野はIT分野及び自動車関連技術を中心とした機械分野に限られており、当所案件は残念ながら範囲外でした。しかもこのPPHは、2年間で200件という上限付きなので早い者勝ちです。(ちなみに、1出願人当たりのPPH件数は4ヶ月間で6件に制限されています。)

IT分野や機械分野のブラジル出願を抱えていらっしゃる方はPPH申請を是非ご検討下さい!

特許庁プレスリリース:http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/japan_brazil_highway.htm 

経済産業省プレスリリース:http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170317003/20170317003.html 

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