教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

10万人が自律的に動いた組織についてのインタビュー記事

2014-11-13 | 番組、記事、書籍コメント
”なぜ10万人がリーダーに頼らず自律的に動けたのか?──未曾有のボランティアチーム「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の挑戦”というタイトルで記事が掲載されました。

この記事は、震災後に自律的に立ち上がった、ふんばろう東日本支援プロジェクトについて書かれています。

備忘のため、掲載します。


―――――以下引用
1)僕は「タテ組織で統率する」という発想は捨てて、「みんなが自律的に動き、結果として効果的な支援が成立するにはどうすればいいのか」

2)「ふんばろう」の運営は「構造構成主義」という考え方に基づいています。その中に「方法の原理」というのがあり、どういう方法が良いかは「状況」と「目的」によって変わるというものです。目的の支援活動はブレないようにして、現地で状況を見ながら、目的を達成できるように有効な方法をその都度考え、それぞれが動いてください、ということを活動の指針として共有した

3)「縦割りの弊害」が起きないように、メンバーにはできるだけ複数のグループに入ってもらいました。どこかのプロジェクトで山場を迎えたときに、そのプロジェクトのメインスタッフじゃない人でも状況を把握できていますから、助っ人としてスムーズに参加できます。状況の変化にあわせて、人員を必要な箇所に集中的に投入できるようになるのです。・・・また、色々なグループに入っていると、帰属意識が分散します。「自分のプロジェクトさえうまくいけばよい」とか「自分のプロジェクトにできるだけ多くのお金を持ってこよう」といった視野の偏狭化に陥らず、全体としてうまくいくようにという全体最適の視点を保てるようになるのも大きい

4)僕は「建設的なやり取りをするための7カ条」をつくって共有しました。それは「すべての人間は肯定されたいと願っている」という「人間の原理」に支えられています。各チームにはネット上のやり取りでは、必ず肯定してから意見を述べるように働きかけています。SNSは便利ですが、そうした人間の原理に基づいた考え方とセットにしないと建設的にコミュニケーションを続けることは難しい

5)ボランティアやNPO団体の多くは内部的な問題がきっかけでダメになっていくと言われています。その大きな契機は「リーダーががんばるから、そこまで動かない人に対して、なんでもっとやらないんだ」と否定してしまうということです。すべての人間は肯定されたいと欲してしまう

6)たとえば、感謝の原理でいえば、社長がスタッフに対して「給料を払っているのだから働くのが当たり前だ」と思い、スタッフは社長に対して「社長なのだから給料払うのは当たり前だ」と思うことはできるわけですが、そういう否定ベースの組織と、社長が社員に対して「いつもちゃんと働いてくれてありがとう」と伝えて、社員も「こうして働けるのも社長がうまく経営してくれているおかげです」と感謝の気持ちを伝えあう肯定ベースの組織のどちらが成果をあげるかは、言うまでもないですよね。

7)実は「賛成」「反対」で意見がぶつかるとき、その対立の奥には「関心の違い」があります。例えば、避難所担当の人は避難所の声が聞こえるから、一個でも多くの物資を送ってあげたいという関心になる。一方、ECサイトを運営しているチームは支援者の声が聞こえるから、支援者に応えたいという関心をもつ。同じチームでも、異なる経験をした結果違う関心を持つので、同じ方策についても「賛成」と「反対」に分かれてしまうということが起こるわけです。

8)「何でもいいから意見を言ってください」という言い方ではダメですね。「自由に意見を言いましょう」となると、否定的な意見がいくらでも出てしまい、物事が進まなくなってしまうのです。そうではなく「方法の原理」に基づいて、今の「状況」と「目的」を踏まえた上で、よりよい代案を出してください、とするのです。
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