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『誰も知らない』 変わり行く目が語るもの

2004-09-06 | 映画寸評
『誰も知らない』

見てきました。
出きるだけネタばれにならない範囲で感想を。

---------

映画は、どんな絵作りをしようとも、最初に全編を貫く葛藤や命題が
提示されていると、全てのカットに意味合いや緊張感を強く感じさせられる
事があると思います。この映画もしかり。

# 母親に置き去りにされた4人の子供。
# しかも、長男1人を除き、いるはずの無い子供達。

この歪みは、とてつも無く悲劇的で大きいと言えないかもしれないけれど、
(例えばカンヌを争った華氏911が提示する命題と単に大小較べられるものじゃないですよね)
決して消し去る事のできない歪みであり、ある意味、より現実味を持った緊張感を産み、2時間半、私の心の中では常にその歪みがうずまきました。

監督はそれを丁寧に描くべく、無用に極端な演出をせず、役者の呼吸と表情をほんとうに
活かして絵を作っているなと感じます。だからこそ、登場人物が持つ気持ちや緊張感が
真に伝わってきました。

その役者の中でも、カンヌ主演男優賞といわずとも、柳楽君の
素晴らしさがとても印象的でした。

最初、母親の代わりに兄弟の面倒を見る、しっかりした良い子の長男。
でも、決して理想的な子なのではなく、まぎれもなく
思春期の男の子であり、弱さもあり、動揺もし、いらだちもしする。
その姿を、優弥君は見事に表現していました。

”冷たくて気持ち悪かった”
現実逃避するのではなく、でも率直に表現するしかない少年。
子供であり大人。

この映画の一番の見所は、その言葉に繋がる

”彼の目の変わりよう”

と言えるようにも思えます。
その目の中には、時に”挑戦的な鋭さ”が垣間見えるようになっていきます。
それは、人が大人になる事、を生きる強さにも皮肉にも取れるように
明確にあらわにしているように感じました。


正直、結末が現実的なのかどうかは、なんとも言えませんし、
何かすっきりしたかと言えば、むしろ報われない感まで心に残ります。

ただ、”身勝手な大人”と、”純粋なる子供”という単純な対比構図で
この映画を語る事も可能だけれども、そんな事ではなく、子供達の危う
さと強さ、それは根源的に人間が持つものであり、柳楽君の変化が、
人の成長と強さというものを描いていたからこそ、派手な演出も、
意外性のあるドンデン返しもなくとも、私はこの映画の全てに存在感を感じました。

そして、救われないけど、何か生きる強さをもらったような、そんな気持ちが残っているのも
事実であり、今でも何か考えてしまう、良い映画です。

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7 コメント

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はじめましー (まみ)
2004-09-07 01:19:55
トラックバックありがとうございます!

長男はじめ、子供たちの変化がとても自然でしたよね。

とても考えさせられる映画でしたねー。



ああ、わたしもこんな素晴らしい感想が書けるようになりたいw
トラバありがとうございました! (みかち)
2004-09-07 11:12:05
こんにちは。

トラバさんくすです。



>柳楽君の変化が、人の成長と強さというものを描いていたからこそ、

これ、おそらく柳楽自身も映画を通して成長していたからこそだと思います。

1年半にもわたる撮影の中で背も伸びて、声変わりもして。

だからリアルに伝わってくる。



最後、あんな状況にも関わらず、光の中を歩いていく明達の姿を見て、

それが切なくもあり、人間の強さでもあるんだなと思いました。



トラバありがとうございます (なも)
2004-09-07 15:28:21
”彼の目の変わりよう”



柳楽くんの目の変化は、まさにこの映画のストーリーだったと思います。



コロコロ表情を変える始めのころの目は、まだ無邪気でいられた明を表現していました。それが、だんだんと目に輝きがなくなり、表情のない目となっていきました。追いつめられていく明を観ているのは、とても辛かったです。



まだこの映画の感想書ききれていなかったので、ここで少し書かせていただきました。
Unknown (いね)
2004-09-07 21:33:25
トラバありがとうございます。



柳楽くんも素晴らしかったですが、あの余韻の残るラストも、この映画から何をつかむかを全て観客に任せているようで、素晴らしかったと思います。



本当に、色々と考えさせられてしまう、良い映画ですね。
こんばんは。 (やまねこ)
2004-09-08 00:07:05
トラバありがとうございました。



“救われないけど、何か生きる強さをもらったような、そんな気持ち”これはぼくもとても感じました。



ラストになると、さすがにすすり泣きが多く聞こえましたが、これは泣く映画ではないですよね。彼らにはこれからもっと不幸なことや悲しいこと(施設送りになり兄弟バラバラとか)も待ち構えてるかもしれないけど、彼らのがんばってほしいという、気持ちになる映画です。そして、こんな不幸な子どもを二度と生み出してはならないという大人の決心の映画だと思いました。ほんと、良い得画だと思いました。
Unknown (Unknown)
2004-09-10 20:10:13
皆様、コメント有難うございます。



>まみさん



その子供達の自然さ、演技なのか素なのかは別としても、それなくしては

有り得なかったといえるくらい素晴らしかったですね。



> みかちさん



そうそう、彼らは実際成長してるんですよね。

それがうまく重なったからこその表現だったのでしょうね。



逆に、柳楽君は役に重ねて、もしくは影響を受けて、自分を

成長させた部分があったりしなかったのだろうか?

とちょっと興味を持ってしまったりもします。



> なもさん



確かに、追い詰められていったかもしれません。

でも私は、そうだからこそ、彼の目に強さを感じるものが生まれてきた、

そんな風にも感じました。



> いねさん



ラストはほんとに考えちゃいますよね。

どう受け取る事も出来る気がするけど、その前の彼らの変容を

見ていると、希望を感じます。



> やまねこさん



私が見た所では、誰も泣いてなかったなあ…

土地柄でもあるのかな?(笑)



大人の決心。。監督はそう思ってこの作品を作ったのかもしれませんね。

Unknown (ともっち)
2004-09-17 10:47:30
こんにちは(^^)



> 今でも何か考えてしまう、良い映画です。

そうですね。

私も色々考えさせられました。

私は「愛する」ということの大切さと大変さを感じました。

ただ可愛がるだけでなく、きちんと責任を持つということ。

当たり前のことだけど、改めて感じました。

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