試験・身分制度の根深い害

~現代の教育について分析しています~

学習指導要領を変えても教育現場が変わらない理由②

2017年01月25日 | 日記
①の続き・・・

【鈴木】大学入試改革の目的を一言で言えば、やはり“脱丸暗記”ですね。もちろん、基礎的な知識は暗記しなければいけません。大切なのは、その活用を考えることです。覚えることと使うことが一体化している。言い換えれば、暗記が思考や判断や表現に使われるようにしていくことです。では、思考、表現、判断を問うにはどうしたらいいかということなんですけど、それはやっぱり書くということですよね。だから、記述式の導入に行き着くわけです。

【三宅】なるほど、択一方式ではなく、論文方式にしていくと。

【鈴木】脱マークシート偏重です。マークシートも、ある程度は引き続きやっていくにしても、それだけでは丸暗記力しか測定できません。丸暗記力と反復力しか問えない。やはり書くということは非常に重要な知的活動で、知っていることをちゃんと分析統合しないと、文章って書けないんですよね。

例えば、5択問題だったら、ベッドに寝転がって上を向いてでもできる。けれども、書くには、きちんと姿勢を正して座って原稿用紙に向かわなければいけない。そして、いろいろ構成を考えたりするから、脳の知的活動のレベルがまったく違います。それはまさに、表現という崇高な作業です。

【三宅】ただし、採点のほうは大変になりますね。

【鈴木】大変です。だけど、これまでの日本は採点効率を重視して、その結果非常に底の浅い日本人を育ててしまったわけで、それはもう採点が大変だろうが何だろうが、22世紀まで生きる子たちに手間暇をかけようということですね。

私は、この2月にフランスに行ってきたんですけど、フランスは「バカロレア」という国際的な教育プログラムに沿って入学試験をしていまして、もう徹底的に書くテストになっています。問題が3つぐらい出題され、そこには哲学が含まれるんですよ。驚くことに、その哲学の問題が国民の関心の的になるらしい。毎年、問題が発表されると「今年の問題は良かった」とか「悪かった」とか、それを巡って国民が非常に盛り上がるそうです。そのときの基準は、フランスの共和制の価値を次の世代に伝えるという観点から論ぜられる。グローバル化時代というのはこういう人たちと競争して、さらに共創もしていかなければならない時代なわけです。


●歴史をしっかり学んで、現代に生かす
【三宅】そういう話も、われわれはまったく知らない。

【鈴木】やっぱり、すぐれたところは学ばなければいけません。フランスでは、そのために高校の教員の仕事量7%を注いでいるというんですから、その分教員も多い。それぐらいかけても歴史の大事なことだということです。なぜそうなったかというと、それによって、学ぶことの面白さを生徒が感じるからだと聞きました。フランスも1850年頃は暗記中心だったそうです。しかし、その弊害が問題ではないかという大論争があって、現在のようになっていった。ナポレオン三世の少しあとぐらいの出来事ですよ。

【三宅】日本は遅れること160年余り。その差は大きいですね。

【鈴木】だけどやっぱり歴史という教科は大事で「みんな、あるとき、あるところで同じような課題に直面し議論があるんだな」と私も改めて認識したわけです。だから歴史を学ばなければいけません。しっかり学んで、現代に生かすということです。

ちょっと余談になりますが、まさにマルクスが年『共産党宣言』を発表したのが1848年です。つまり、19世紀中盤というのはそういう時代なんです、思想や哲学が社会の進むべき方向を考えていた。資本主義が、あるいは大量生産システムが非常に盛んになるなかで、物質的豊かさ、一方で人間の疎外というこの光と影がかなり出始めてきて、そのことを巡って大議論がありました。

そういう議論に耐える人材を養成するという議論の試行錯誤をすっ飛ばして、日本はそこで出してくれた結論をあとはキャッチアップして明治以降の国づくり、教育をしてきたたわけですけど、今度は日本が世界史・人類史のパイオニアにならなければいけない。いわば“未知との遭遇”です。新たな時代、未体験の文化と渡り合っていく。それは、歴史を学ぶというよりも、史観を養うということでしょう。


http://president.jp/articles/-/16426より

井垣義稀
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