フェレーロの独り言

私フェレーロ(仮名)が経済や日常を中心に分析、自身の考えを時事書き込んでいく日記帳です。

最低賃金1000円は可能か?

2015-10-27 01:58:05 | 日記

こんな記事があったので読んでみた。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=210&from=voice&id=3680828

最低でも時給1000円を維持すべき、と言うものだ。耳障りはいいし、普通のサラリーマン、非正規雇用者は賛成するであろう意見である。自分も実効性を除外して言えば賛成だ。オーストラリアの1600円とかは企業倒産があいつぐか、インフレ現象で金の価値が落ちるだけで最悪の結果をもたらす可能性があるが。1000円は不可能な数字ではないし、「失われた20年」が無ければそれくらいは実現できていたであろう。

だが、現実を見なければいけない。コンサルなどと違い、体を使ってやる肉体労働が多い非正規雇用者にとって、生産性を爆発的に1.3倍にする、などは出来ないのである。3割賃金を上げるならば3割生産性を上げなければ、企業にとって利益の減少を招くだけでメリットがない。それに賛同する経営者は殆どいないだろう。そんな事をするくらいならば、大阪の様に外国からの安い労働者を引き入れたほうがいい、という発想に動く経営者が大多数だと思う。

日本で技術者の労働対価はバブル崩壊前と違って格差が非常に大きくなっている。例えば知能専門職である弁護士の相談料は30分間で5000円、つまり時給1万円だ。車の整備士や自転車屋の修理費などは時間5000円がベース賃金になっている。つまり30分掛かる修理だとすれば「部品代+2500円」が基本修理費となる。

途轍もなく高額に感じる人もいるかも知れないが、専門職の対価は殆どがこの程度である。案外知られていないが正社員の平均額を時給換算してみると、実は2500円から3000円が1番多い。あくまで企業が支払う「総額」での換算なので、実感はとてもそんなに貰っているとは実感が湧かないでしょうが。

例えば皆さんが入ってる年金や保険は個人負担と同額を企業は支払っている。つまり貴方の源泉徴収額が月3万円なら企業は6万円支払っているのです。そう考えれば正社員の人は時給も随分高いのだと理解できると思います。何しろ竹中、小泉政権時に「全正規労働者を解雇して派遣社員で再雇用する」と言うとんでもない方法で、人件費が一気に半減したほどですから。当時の派遣法では保険の加入もしていませんでしたから、上記の3万円は支払う必要もないし、時給制にすればこれまで積み上げて来た基本給も全部まっさらになってしまったわけですから。これで日本全体が貧困化に踏み込んだのはむしろ当然です。(恐ろしい事に経営サイドでもないリーマンでこの小泉を評価する人が多いのは本当に怖い・・)

1度落ちた給料を上げる事がどれだけ困難かは多くの人は知っていると思います。サラリーマンは売り上げを仮に1億円上げても給料が1000万も上がる事はまずありません。月に1万円も上がれば万々歳です。ところが政府の政策一つで800万の年収の人が300万になってしまうのですから。こんな理不尽を平然と行った小泉元総理が、今尚多くの支持者がいる事が不思議でなりません。現在の非正規雇用がいかに低賃金であるかはおわかりだと思う。

だがそれでも最低時給1000円は無理だと言わざるを得ない。なぜなら時給制の大半はサービス業だから、である。昨年から今年に掛けて「すきや」のブラックで問題になったように、いわゆるブラック企業は殆どがサービス業である。それはすなわち「誰でも頑張れば出来る仕事に高額を支払う必要はない」と言う企業の考え方は世界共通だからであるから。決して「儲からないから」ではなく、「倒産してしまうから」でもない。少なくとも上々企業はその程度で潰れたりはしない。つまり「出来ない」のではなく、「やらない」のです。「少ない投資で最大限の利益を上げる」のが民間企業の目的であるからです。ぶっちゃければ「奴隷に支払う金はない」です。

昔は企業は儲けても儲けた分だけ、税金で持っていかれたので、「国に取られるなら社員へ還元しよう」という経営者が大半で、だから国民総中流社会と言われる国になった。ところが法人税はどんどん下げられて、個人の所得税率も富裕層は大幅に下げられた。つまり稼げば稼ぐだけ貯蓄が出来、自分の子孫に残す金も蓄えられるようになったのです。こうなると他人に金を渡すのが惜しくなるのは普通の感情でしょう。

昔はよく「3代続けば何も残らない」と言われていました。本人→子供→孫ここまでで財産は尽きる、と。それが現在の税率だと5代、10代先でも残せます。これがすなわち税収減の最大要因であり、また赤字国債の原因です。

これを解消しなければ基本的に赤字国債は膨れ上がるばかりで、破綻は必至です。自分が生きているうちに破綻はあり得ないでしょうが、次の世代はもう・・・・

 


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-10-27 02:49:44
「平均賃金」が一気に半減したほどですから。×
「人件費」です。

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