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The Zombies
1965.4
Produced by Ken Jones
ゾンビーズの知名度は判断が難しいなー
この次の、セカンド(そしてラストの)アルバム『オデッセイ&オラクル』を聴いたことがある人にとっては、非常に気になるアーティスト
んでもって、知らない人にとっては、ハード・ロックかなんかの、激しく危ないバンドなんではなかろうかと思いたくなる、すげえグループ名(笑)。
おどろおどろしい名前とは裏腹に、美しくて憂いのある不思議なポップ・ミュージックを提供してきたゾンビーズ
彼らはロンドンで、学生バンドとして活動してましたが、大学進学を控え、解散記念で出場したコンクールで、何とよりによって優勝してしまいます
ジョージ・マーティンにも激賞され、更には大手レコード会社デッカが乗り出して来まして、急遽デビュー(笑)
優勝に導いた⑦をシングル・カットし、64年の10月には全米で超特大ヒット
続く「テル・ハー・ノウ」も全米6位
と、快進撃かと思いきや、その後は泣かず飛ばず
ライターとして印税の入るロッド・アージェント(Rodney Argent 写真右上)とクリス・ホワイト(Christopher White 下段中央)以外は、金もなくなり、67年には解散を決意
その翌年、ロッドとクリスが残ったテープをいじくってたのですが、それらが奇才アル・クーパーの目に留まり、アルバムとしてコロンビアより発表
一部の方々の注目を大いに集めます
更にそこからシングル・カットした「二人のシーズン」が、世界中で大ヒット
…もちろん、再結成話は出たらしいですが、断ったとさ。
・・・まるで小説のような3年間を過ごし、伝説になったゾンビーズです
3曲しかヒット曲を持たず、あっさり表舞台から姿を消す彼らですが、ビートルズのアメリカデビューが64年2月で、ローリング・ストーンズのアメリカでの大ヒットが同年の後半ですからね。
割りとブリティッシュ・インベイションの先輩格として登場しているわけです
さて、『オデッセイ』を知ってる人にとっては、“ゾンビーズってそれまでどんな曲を作っていたんだろう?”と本作を気にすることも多いとは思いますが、『オデッセイ』前のゾンビーズの音楽を知るには、本作ではなく、シングル集を聴いた方が正解です
と言いますのも、彼らシングル中心の活動だったんです
“デビュー・シングルは64年7月の発売なのに、デビュー・アルバムが翌年の4月ってのはどうよ?”って感じしませぬか?
プロデューサーのケン・ジョーンズ(Ken Jones)やデッカ・レコードが、彼らをシングル・アーティストして扱っていたのか、中々アルバム製作させないんですよね~
・・・DC5もそうだが、こういうスタイルの方が普通な時代なんですよね
しかも、ようやく初めて作れると思ったら、あまり時間と予算がなかったらしく、カヴァー曲(=ライヴのレパートリー)が多くなる始末
よって彼らの良さを知りたかったら、シングルの方が相応しいかと
・・・今思うと、これは勿体なかったですよね~
ロッドとクリスという、優れたライターを二人も抱えていたわけですし、もっとアルバムを丁寧に作らせてあげたかったなぁと
余談:デッカは読み違いの多い会社で、そもそも最後の大ヒットシングルは、デッカを離れた後、コロンビア(CBS)で出してるんです。
有名な話では、60年前半のアメリカで最も人気のあったリック・ネルソンを、こともあろうに、63年(ビートルズ上陸直前)に、破格の20年契約で他社から引っこ抜くんですよ・・・世相が激変した20年間、ほとんど売れず
ってかね、ビートルズをオーディションで落としたこともあるんよ(爆笑)。
あ、フライング・マシーンもデッカを出てから「笑ってローズマリーちゃん」の大ヒットだ。。。
ミスター・アンラッキー会社、デッカでした。
さて、そういう訳でこのアルバム、ソフトロック性は低く、イギリスらしいビート音楽だと思った方が良いですね
彼らの魅力は、キャッチーな曲が書けるロッドと、どっかデカダンな曲を作るクリスのオリジナル作品のレベルの高さ
ロッドの疾走感あふれるオルガン
んで何より、リード・ヴォーカルのコリン・ブランストーン(Colin Blunstone 写真右下)の歌声でしょう
僕が、自分の趣味と若干違うアルバムを楽しめるのも、コリンの声が好きだからです
程よく枯れていて、奥行きがあって、柔らかく、素晴らしい魅力があります
お勧めです
① Road Runner E.McDaniels
四角いギターで有名だった、ボ・ディドリー(Bo Diddley)さんの60年発表の超有名自作曲。
② Summertime G.Gershwin - I.Gershwin - D.Heyward
こちらもスタンダード曲。
ロッド・アージェントの大得意なジャズ・スタイル
この2曲のカヴァーは、ゾンビーズらしいアレンジってのが良く分かる部類ではないかと
③ I Can't Make up My Mind C.White
何と12弦ギターです
バーズに12弦ギターを握らせるきっかけになった映画、「ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!」が出た直後ですしね
ですが、演奏したポール・アトキンソン(Paul Atkinson 写真左上)は「弦が重くてしんどい」と、この後は諦めてしまいました(笑)。
④ The Way I Feel Inside R.Argent
このアルバムの白眉
コリンのソロ・アカペラで始まり、控えめなオルガンがスッと入ってきて、メロディの美しさを引き立ててます
最後のコインの転がる音も面白い
…あぁ、つくづくアルバム・アーティストとしても頑張って欲しかった
⑤ Work 'N' Play K. Jones
プロデューサーのケン、どうも自分名義の曲をアルバムに入れたかったらしいです(笑)。ピアノまで弾いてますよ
ハーモニカはロッドなんですが、いや、これは凄い
ドラムのヒュー(Hugh Grundy 写真左下)も金物中心にノリノリです。
冒頭がフェイド・インなのは、ビートルズ「エイト・デイズ・ア・ウィーク」の影響だとのこと
⑥ You've Really Got a Hold on Me/Bring It on Home to Me W.Robinson
ビートルズもカヴァーした、モータウンの名ライター、スモーキー・ロビンソン(ミラクルズ)の有名曲と、これまたサム・クックの有名曲をくっつけてます
ライヴでそうしていたのではないでしょうか
R&Bナンバーも似合いますわ
でもどこかジャズィーな空気
⑦ She's Not There R.Argent :UK #12 /US #2
レコードA面の最後に、申し訳なさそうに大ヒット曲を持ってまいりました
しかし、これは本当に超名曲いやぁ、これで優勝したんだな~。
妙に憂いを帯びた、それでいて親しみやすい、このスタイルこそゾンビーズって言い切りたい感じです(笑)。
コリンは本当に良い味出してます
サビ、力強いファルセットから感じる緊張感と高揚感は絶品
間奏のロッドの踊るようなオルガン、コリンの声を引き継ぐかのような入り方が格好良い
⑧ Sticks and Stones T.Turner
レイ・チャールズの印象が強い曲
歌っているのはロッドでしょうか??
⑨ Can't Nobody Love You J.Mitchell
⑩ Woman R.Argent
セカンド・シングルのB面を飾ります
得意のオルガンはいつもとまた違う音ですね
これまた黒っぽいナンバーですねー
さすが初期ブリティッシュ・ビート勢
リズムをいじるのが好きなんでしょうかね
⑪ I Don't Want to Know C.White
この頃はまだ使用を諦めていなかった12弦ギター(笑)。
でもこの出だしのリフは素晴らしいよっ
メロディや構成の変テコさが、いかにもクリスな感じ
ヴォーカルもクリスですかね?落ち着かない感じが彼っぽい
⑫ I Remember When I Loved Her R.Argent
得意の短調を、珍しく穏やかに録っています
控えめな歌い方、幻想的なオルガンや遠くに配置されたパーカス、・・・ロッドたちはきっと色々なことがしたかったんでしょうね
⑬ What More Can I Do C.White
サード・シングルのB面。
クリスは単語をいっぱい詰め込みたくなるそうで、皆はそれに苦情を述べていたとか
僕はこのアルバムでは、ロッド(④⑦⑩⑫)よりもクリスの曲(③⑪⑬)が好きです
⑭ I Got My Mojo Working P.Foster
コレなんか如何にもこのアルバムらしい話で、リードを取ってるロッドがどうしても入れたくて録ったとか。
ポールなんかは反対していたそうです
ちょっと一体感ないんですよね、このアルバム
ちなみに、ゾンビーズ人気の高かったアメリカでは、別の選曲で、別のジャケットでファースト・アルバム(テル・ハー・ノーも入ってる)が出てます
しかもイギリス版の発売より3ヶ月早ぇんだ、これが(笑)。
奇跡の名盤『オデッセイ&オラクル』の、丁度3年前でした。
この分量のレビューをコンスタントにアップできるのは、相当準備してたんですか?圧倒されてコメント付け忘れてたよ。
まさか、今書いてんじゃないよね?!
次はいよいよ「オデッセイ&オラクル」ですか?
鳥肌立つよね。ゾンビーズって、復活ライブやったことがあるそうですね。オジサンになってからのことで、fenbuさんの中ではなかったことになってるのかしら?
苔寺楽しんできてください。(って書けば誰だか判るかな。)
いやね、その日のうちに、全部を打つのではないのですよ。
一回に3、40分くらい原稿を作って保存し、大体2、3日で完成いたします。
一日の内に、そんくらいの休憩ならあるでしょ?っつーか、このブログの楽しみのおかげで、これ以外の休憩がほぼ消えた(笑)。大自己満しております
復活ライヴのCD聴きたいんだよねーーーー
何か、ブライアンがペット・サウンズをステージで再現したのに刺激されたらしいッス。
いつか買いたい
次は、、、、いったんソフトロックに走ろうかなーー。
マジでー!そんぐらいで書き上げちゃうってのはすごいですよね。私は毎日どんだけ休憩してるか知れないからなぁ。最近になって生活の自堕落度合いが加速中です。
そして、このブログを読みつつ次にどのCDを買おうか思案中。
明日は見ない生き方。
一時間以上いじってることもあったり
でも、データ部分は10分でできます。←すげぇべ?
お互いヘビーなモノをかかえてますからね~。
良いのが書けるといいね
詳細なアルバムレビュー、参考になりました。