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ピアノの音色

2017-03-15 13:00:28 | 日記
ピアノの音色

 教えている音楽専攻の女子学生から、自分らが出演するリサイタルへの招待状をもらった。教えると言っても音楽ではなく、いわゆる一般教養の課目だが、こういう場合はたいてい行くことにしている。
 プログラムを見ると、三人の奏者が代わる代わる出てきてピアノを弾く形になっていた。招待状をくれた学生の出番は最後だった。彼女は同じ専攻内でも評判の学生だった。一度テレビにも出た、とかいう話を聞いた。このリサイタル、どうも日本有数のピアノメーカーが一枚噛んでいるふうで、舞台の真中にそのメーカー製のグランドピアノがでんと据えられていた。
 そのピアノで最初の奏者はメンデルスゾーンを弾き、次の奏者はバッハのピアノ曲を弾いた。二人とも女性だった。それらを聴きながら、弾き方の巧拙は別にして、ヤマハのピアノも大したことはないなー、と思っていた。何かぎらぎらした安っぽく派手な音に聴こえたからだ。
 いよいよ最後の奏者の出番になった。曲はショパンのソナタ3番。少し大柄のその女性は舞台袖から出てきてピアノに歩み寄り、椅子の高低を調節した後、おもむろにピアノの前に坐る。暫時瞑想したかに見える間もなく、右手が鍵盤の上を走る。間髪を入れず左手が … 途端にピアノの音色がまるで様変わりした。ぎらつくような音は嘘のようにかき消えて、いかにもプロらしい、しっとり落ち着いた音が紡ぎだされてきた。同じ楽器が弾き手によって、こんなに音色を変えるのか、と驚嘆した。してみればピアノのキーへの指の触れ方が人によってちがうのだろうか。しかしどうちがうのか。疑問は尽きないが、何れにしてもこれはまことに貴重な体験だった。普通のプロのリサイタルではまず体験できないだろう。そんな場合、奏者はたいてい一人だろうし、仮に前後二人が交替するようなことがあっても、何れ劣らぬ粒ぞろいだろうから、音色がこんなにドラスティックに変わるようなことはない。この大学も捨てたものじゃないなぁ、と思ったりした。

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