日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

なんか明日、雨らしいね?

2021-03-27 21:15:33 | 小ネタ
なので洗濯は今日のうちに!!
いや、ちょっとさぼるとすぐに溜まらない、洗濯物って。
はいはい、いつもの二次創作~。

桜や桃の花が咲いてきましたね。まぁ雨が降るわけですが!!
造幣局の通り抜けは予約制だけど、屋台は出るかもしれないので行ってみる予定!!


ですまーく。
甘えるご当主様と甘やかす探偵さん。何事もうまくいくとは限らないっていうね。

来訪アナライズ 前

夜である。
探偵の仕事を終え、帰宅した真下悟はぼんやりとタバコの煙を追っていた。
白く霞んだ景色は見慣れた壁紙。
疲労感に身を委ね、眠ってしまいそうになる感覚。
ここ最近、珍しくまともな探偵の仕事――それはつまりオカルトやらが絡まないという意味での――が連続して入ってきたから。
命の危険の無い仕事は楽だが、少しばかり緊張感に欠ける。
そんなことを思って毒されているなと苦笑した。
窓の外からはリズムを刻む雨の音。
土砂降りではないが、しとしとという可愛らしいモノでもない。
数日前、TVでは梅雨入りが宣言されたばかり。
湿り気を帯びた空気は憂鬱を誘い、濡れたアスファルトの匂いが鼻をつく。
梅雨独特に静けさに満ちた、そんな夜だった。
その静けさを破ったのは。
場違いに軽快なチャイムの音。
それから続いて、控えめなノックの音。
それだけで真下は何となく来訪者が誰であるか予想できた。
「・・・・・・真下、こんな時間に済まない」
がちゃりと開けたドアの先、立っていたのは雨に濡れた一人の男。
やはりかと真下は小さく笑った。
頼りなくこちらを見つめるのは八敷一男。
真下のマンションから八敷の住む九条館まではそれなりに距離があるから車で来たのだろう。
濡れているのは、大方近くのパーキングに車を止めてそこあら傘もささず来たからか。
張り付いた髪の所為で常よりも陰気に見える顔。
「どうした?」
家に上げてやっても八敷はだんまりのまま、真下を見つめるだけで。
「おい、八敷。俺は超能力者じゃないぞ、何か用があるんなら口で言え」
出なければ叩き出す。
そう言外に匂わせるとやっと八敷は動き出し、縋るように真下の体を抱きしめる。
「真下」
「なんだ?」
「甘やかしてくれ・・・」
「・・・・・・っはは」
力無く独り言みたいに零されたそれに真下は小さく笑う。
真下悟という男のことをよく知る八敷の馬鹿げた頼み事。
そこまで参っているのかと、呆れてしまった故の笑みだ。
きっとまた自分の責任でもないようなことで落ち込んで、勝手に重荷を背負ったのだろう。
馬鹿な奴だと思うと同時、だからこそ放っておけない自身を嘲る。
とりあえず自分に抱き着いたままの八敷の頭を撫でてやり、腕を引きはがす。
「ほら、シャワーでも浴びてこい。風邪をひかれちゃたまらん」
「ああ、すまん」
ふらふらと素直にバスルームに向かう背中を見送り、クローゼットの中から着替えを取り出す。
八敷用の服もラフなものだが一式置いてある。
ほどなくしてバスルームから出てきた八敷に用意していた、真下の好みではないが砂糖多めのコーヒーを手渡してやり代わりに頭を吹いてやる。
「美味い」
「インスタントだぞ」
「うん、でも、美味いよ真下」
「そうか」
ほうと息を吐く八敷の横顔は先ほどよりもマシになった。
八敷の隣に寄り添って、他愛のない話。
相槌はほとんど上の空に近かったが構わない。
別に会話をしたいと思っているわけではないのだ。
真下だって八敷だって。
どれほどそうしていたか、壁にかかったアナログ時計に目をやって、いつの間にかずいぶん進んだ針に目を細める。
「おい、八敷」
「ん? なんだ?」
「そろそろ寝るぞ。貴様と違って俺は明日も仕事なんだ」
「え?! あ、すまん真下!」
慌てて腰を浮かす八敷の腕を引っ張り、勢いのまま窓際のベッドへと突き飛ばす。
「うわ!?」
一人用の安いベッドぎしりと軋んだ音を立てはしたものの、長身の八敷を受け止めてくれた。
目を白黒させる彼の隣に潜り込む、軽くその体に腕を回す。
「真下?」
少しばかりの困惑を乗せた視線を無視して、唇の端を釣り上げた。
「寝ると言っただろう。貴様もさっさと寝ろ」
「・・・ああ、そうだな。ありがとう、真下」
「ふん」
余裕のないシングルベッド。大の男二人が寝るにはくっつかなくてはきっと転がり落ちてしまう。
お互いの心音を子守歌に、真下はゆったりと睡魔に身を任せた。

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