fantahime's weblog

ひるむ。ひるむことに、チャレンジする。凄いことではなくて、掃除したことの無いトコを掃除するみたいな。

ある物語(37)

2009年04月27日 | 物語
レオの身体の中から、玉は見つかった。
戦乱状態の中、玉を奪われないためには身体の中に埋没させるしか方法が無かったのだ。
おそらく、母親からその玉の事を聴いた父親が、レオの身体にそれを埋め込んだ・・
ウォルの玉と、直人の玉、そしてレオの玉・・これでめでたく三つそろう事になった

地球の放射能レベルはほぼ正常状態になり、3つの玉の影響のすさまじさをおもいしらされた。
ウォルと、直人は、この玉をもって惑星アリオスに行く事に決めた。
アリオスの放射能レベルを正常に戻す為に・・


後藤博士は、緑化システムの心臓部を改変し恒常性を保つことに成功した。
それまで完璧であるとシステム保守スタッフに嘘をついてきたことを詫びた。このひとたちは、人格調整を受けずに、ずっと地下都市住民の命を守って来た人たちである。

後藤博士の提案により
地下都市の住民による自治政府がうちたてられ、
地下都市に住みたい人たちは、そのまま住む事が出来るし、
地上に戻る事も出来る、という方針を決定した。

地球上の緑や生き物も、戻ってきつつある・・・

直人を見送る時
静羅は「いつまでも、待ってるからね」と言ってくれた。
それから、
ウォル・ソドの船に乗り込んだ。

直人は、すこしずつ、

母と父の出逢いや、兄が・・どんな想いでいるか を 直人は受け取ることができるようになった。

母親は、スターシップで地球にたどり着き・・立花博士と出逢い
直人と レオを生んだ・・

父は、母親が宇宙人だという事を知っていた・・来るべき未来に起きる事もあるていど予見していた・・そして、旅たったのである。

宇宙空間に出て、まず最初にしたのはレオの身体を埋葬することからだった
『さようなら・・ごめん・・』

宇宙(そら)の彼方に星となっていく レオの身体をみまもりながら、
直人はレオと対話した。

『直人。 僕の 大切な人を紹介するよ。セリアだ。』
『はじめまして、直人くん・・』
『直人は肉体を離れた僕にすまない想いでいるかもしれないけれど
僕は、もう痛いことも・・飢えも・・乾きも・・なにも感じる事がなくて・・とても楽なんだ・・』

『わたしもよ・・それに・・今は レオと一緒にいられるから、本当に幸せ』

直人には2人が仲睦まじくしている姿が宇宙空間にうかんで見えた。

母親の姿も見えた
『直人・・私の愛しい子。あなたにはたいへん苦しいおもいをさせてしまったかもしれない。 でも、これからは 二つの星のかけはしになって・・
私はレオに言い続けたのよ・・武器をなくしなさいと。

あなたは、貴方自身が「武器」であることをよく知っている・・

あなた自身が人を傷つけずに生きる事・・私はそれを 望んでいるわ・・そして
世界を平和に 導くのよ

恐れとか
ゆるせないとか 憎しみとか
羨み 妬み・・怒り・・恨む気持ち・・・
相手からエネルギーを抜き取り、奪う気持ちが あなたの武器となってしまう。

あなたが、瞬時に落ち着き 相手の立ち場になり 
思いやりをもって考える事を覚えれば・・
あなたの内なる優しい思いやりのエネルギーを産み出す事が出来るようになれば・・

相手から奪う事も無くなる・・戦争は無くなるのよ・・
それを覚えていてね・・』

『難しいかもしれないけど・・頑張るよ・でないと沢山の人を僕は殺してしまうかもしれない・・から・・』
『がんばってね・・』




宇宙空間にしばし漂ったあと、アリオスに向けて、船主を向けた。
もう一つの母なる星。


『直人、みてごらん。君の星を』

ウォルの声に、後ろを初めて振り返った。


スクリーン 一杯に広がる地球・・・・





緑と土色の大地、青い海と白い雲が覆い
宇宙空間に輝いている。
まるで核戦争などが起きたなんて嘘のように

生命があふれる大地がひろがっていた・・・

「地球・・ 地球・・・・・

なんて・・

なんて美しいんだ・・・」


涙が溢れた
スクリ−ンに倒れ込むようにひざまづき、
地球に頬をよせた。

そして、また 帰ってくる事を誓った

『今度訪れる時は、もっともっと美しい地球が見られる・・そうに違いない
いや
きっとそうする
この
星を、俺は守るんだ』

直人は、
アリオスに向かう船のなか

いつまでもいつまでも
振り返り 地球をみつめていた。




_____fin___________
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ある物語(36)

2009年04月27日 | 物語
直人の目の前には、酷いやけどを負ったレオが横たわっていた。
バチッ バチッという音とともに火花がとびちり、誰も直人の近くに歩みよれない

そう、直人もウォルやオレオと同じ能力を持っていた・・それが目覚めしかも
コントロールが出来ない状況に落ち入っていたのだ。
ウォル・ソドさえも近づけない状態の中
必死に呼びかける・・

『直人。お前はすべてを理解した わかるかな?コントロールする事を覚えるんだ・・』

『・・レオは、死んでしまったのか?もう、話すことが出来ないのか?』

『わからない。話しかけて』


直人は、レオに触れないようにしながら
話しかけた
『レオ、 レオ。 聞こえるか・・ 聞こえるか・・

ごめん・・俺、なにもしらなくて・・火星の人たちも 親父も・・
母さんも・・もうみんな死んじゃったんだな・・俺ひとり 残して行ったって思ってたけど・・そうじゃ・・なかったんだ・・親父は・・戻ってくるつもりで・』

『そう・・戻ってこれなかったんだよ』

『レオ!!生きているのか!! 嬉しい 俺の 兄さん・・』
直人は涙を流すが、レオにまだ近づくことが出来ない・・

『直人・・可愛い 弟よ・・僕は 君のような 弟が 居て嬉しかった・・よ。』

『レオ!!死なないでくれ!! 俺のせいで死なないでくれ!!』

『僕の肉体は、もうすぐ・・死ぬ。しかし・・意識は生き続ける・ずっと・・そして話はいつでも出来るよ・・』
『レオ!! 嫌だ!! 今、やっとわかったのに・・俺・・わかったのに・・
知らなくて、何も知らなくて・・憎んだり恨んだり・・知らなかったんだ!!
謝るから、死なないでくれ!!』

『ありがとう。直人』


レオはまったく動かなくなってしまった。
信じられない思いで、みつめる直人
ウォルがはなしかけた
『直人。もう、大丈夫だよ・・もう奪いやしない・・レオの肉体からお前が奪えるエネルギーは無くなった・・だから、抱きしめてもいいよ・・お前の兄さんを』


直人は、レオに駆け寄って
身体を抱き寄せた。

『レオーーー!!』

最後の瞬間に・・レオの事を・・テレパシーで直人は知る事になった。

瞬時に理解した・・火星でのレオの日々を
どれだけ苦しい想いをしながら、火星での日々を生き延びてきて・・
大切な人を無くし・・飢えや乾きに苦しみ・・

それなのに、俺は、ずっとそんな人たちを羨み、妬み、憎んだ

そして、兄を殺した!!せっかく会えたのに・・・・

直人は慟哭し、いつまでもレオの遺体から離れることが出来なかった。
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ある物語(35)

2009年04月27日 | 物語
後藤博士は、1人で旅に出掛けると言い ながら、
緑化システムの心臓部にたどりついていた。

レオが来る前に・・この機械を壊してしまいたいという衝動にかられていた。
自分が生んだ不完全な機械。
立花博士にまけたという屈辱・・

この事を悟られまいと、立花を陥れようとした。でもそれは出来なかった。
彼は、それをそうと悟ってか・・私の前から姿を消した。
外国人の美しい妻と、子供をつれて・・

私の作り上げたシステムでも、10数年は持つことを彼は知っていた。
でも、それが不十分で、いずれは改変しなければ成らない事も
彼は知っていた。

私の愚かなプライドを護る為に、私は・・この地下都市の人たちの命を危険にさらし・・それでいて彼等を支配して、教える・・ふりをしていたんだ。

私は死にたい・・
恥ずかしい
これからこれが、知られて・・
恥をさらすくらいなら、

このシステムと一緒に、心中したい・・
死にたい・・

『博士・・死ぬ必要なんかありませんよ』

突然 博士の脳裏に レオのささやく声が聞こえた。

『レ、レオくん!! 聴いていたのか・・・ううう・・恥ずかしい・・死にたいんだ・・ゆるしてくれ』
『駄目です。博士。貴方には、ここの人たちや、地球全体の人たちの為に果たす役割がある・・あなたの力はまだまだ必要です・・死んではいけません』

『そんな事を言ったって・・僕には、君のように このシステムを完璧に仕上げる事さえ出来ない・・・』
『大丈夫です・・もう、そのシステムは必要なくなる・・』

『なんだって?』

『もう、人工的に植物を育てるシステムは必要ないんです。地上にみな 戻ることができるから です』

『なぜ? どうやって?』

『もうすぐわかります。』
『レオくん、どこにいるんだね』

『僕は、もうすぐここを離れなければならない。後藤博士、ありがとう・・もう会う事は出来ないと・・思います・・さようなら』

「レオくん? レオくーん!!」

後藤博士がどんなに見回してもレオはその場にいなかった
「緑化システムを維持しなくても・・いいだって?そんなバカな・・ 
地上の放射能が無くならないかぎり、地上に戻ることは出来ないのに・・」

独り言を言う博士の元に、あわてて システム保守管理者が飛び込んできた

「ああっ!!博士、こんなところに居ましたか!! 見てください!!すごい事が起きてます。地上の、そしてこの地下の放射能レベルがどんどん低下していってるんです!!」

「そ、そんなバカな!!寝ぼけてるんじゃないのか?」
「嘘だと思ったら見てください!!」

後藤博士は目を疑った。

地上の放射能濃度がみるみるうちに低下しているのだ・・
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ある物語(34)

2009年04月27日 | 物語
直人には何が起きているのかわからなかった
一瞬にして、レオが倒れた。
酷いやけどをしていおり、胸のあたりに酷い焼けこげが出来ていた
「お、

おい!!どうしたんだ!!なんで急にこんな事になったんだ!?」

急いで手を差し伸べるが
レオを触ったとたん
「ああ!!」とレオがまた悲鳴を挙げた。

抱きとめようとする直人を
『待て!!』とウォル・ソドが止めた
『待て、お前はコントロール出来ていない。』

静止しようとして直人を抱きとめるが、動く度に
バチッ バチッという音がして、ウォル・ソドも少なからずダメージを受けているようだった。

レオは倒れたままだ

『レオ・・・・ 大丈夫か・・』
ウォルがテレパシーで話しかけるが、返事がない。
『遅かったか・・』地下都市までテレポーテーションして来るのは直ぐだった
しかし気付くのが遅かった。

これが真実だったとは!!

直人はまだわからないようだった

『なにが起きたんだ』


『わからないのか』

ウォル・ソドが直人に向かって言った。
というより
心を伝えた。


とたんに、直人は膝をがくがくさせてその場にうずくまった。

『な・・なんだって・・・俺は・・俺は・・・・』

ウォル・ソドは、直人を優しく見下ろして 伝えた。
『直人、わかったか。 僕の・・弟よ』
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ある物語(33)

2009年04月27日 | 物語
オレオが指し示した場所は、なんと最初に地球におりたった場所だった。
『もしかしたら・・とは思っていたが、・・』
『そうかもしれない・・兄さん。 あの 2人が、持っているのかも・・』


地下では、
直人とレオが話合いをはじめようとしていた。
『直人。話すのは初めてだな。僕の言葉が わかるか・・な』


『・・オマエもウォル・ソドと同じ話し方をするんだな。わ、わかるよ・・俺だって。』

『実は、君に相談したい事がある』


『なんの事だ』
『この地下都市にある緑化システムの心臓部のメインコンピューターに介入する許可がほしい』
『後藤博士が良いって言ったなら俺はなにも言う事なんかねえよ』
『僕が、火星人でもか?』

『なんだと?』

『僕は、君がもっとも憎む存在である 火星人だ
しかも

たぶん・・君のお父さんの子供だ・・』

『なんだって!!』


バチッと火花がとんだ。

直人の近くに置いてあった花が、萎れた。
『お、オマエが・・俺の・・兄弟なんだって・・・俺を置いて・・火星にいっちまった親父の・・・』

バチッ  バチッ と また火花が飛ぶ。

直人のもっていた携帯電話や 足下にあったスチロール缶に入っていた燃料が燃え始めた。

レオは異変に気付いて、後ずさりを始めた。
『まって・・よく話を 聞いてくれ』


『赦さねえ・・俺だけ お 置いて、 火星になんか行きやがって、ゆるさねえ
なんだ 俺だけ置いて
くそう 俺だけ置いて・・なんだ!なんだ!!
 なんだ!!!』

後ずさりしているレオを、追うように 直人はつめよっていった

『ああ!!』


大きな閃光がとんだ。
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ある物語(32)

2009年04月27日 | 物語
ウォル・ソド が持つ「玉」
それは言い伝えによると・・疫病やその「元になるもの」の影響を分解する力がある
ものだった。それを持っていると、疫病にかかりにくく病気になっても治すことが出来る。
そして、王家に伝わる「玉」は3つあり、その3つがあわさると
星一つをそのエネルギーが包み込み、その疫病や「元になるもの」をまったく解消してしまうパワーがあると言われていた。

現在ウォル・ソドが持っている玉は一つ
聞く所によると、もう二つはウォル・ソドの母親が持ち出してしまったと言う話だった。
子供の頃に別れた母親と、死んでしまったと思われる兄弟たち・・

スターシップは二つあり、
母親は
もう一つのスターシップに乗り込んでアリオスを離れたという話も聞いた。

この広い宇宙のどこかに散らばってしまったもう二つの「玉」

『オレオ・・それが、この星にあるかもしれないのか』
『ウォル兄さん、多分・・

この星ではあの疫病のもと を「ホウシャノウ」とか「核」とか言っているらしい。それは物質や生き物の構造を変えてしまうような力があると恐れられている・・そして、その影響はけっして避ける事が出来ない上に、中和する事が出来ないと、みんな信じ込んでいるんだ・・

でも、それは出来るんだ・・中和できないと思い込ませることでもって
恐怖を刷り込み・・人間を支配者があやつっているに過ぎない・・

3つの玉をもってすれば、すぐに中和出来るばかりか・・

他にも沢山の方法が在る事が・・秘密になっているだけ・・なんだ・・』

『なるほど・・そうか。アリオスであの皇帝が「疫病」を流行らせ人を支配しようとしたのと同じ事・・・人々を恐怖に陥れて、支配するための巨大な罠・・「嘘」こそがこの星や、アリオスを巻き込んだ 「本当の疫病」に過ぎないという事なのだな』

『そうです・・・沢山のヒトが、これを知る事によって救われます。
私達はこの事を持ち帰ってアリオスの民に知らせればいい・・
地球への侵略や、移住は必要ないようです・・

兄さん、この地点だ。

ここの エネルギーレベルが高い・・ここに、きっと「玉」がある はず・・』
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ある物語(31)

2009年04月27日 | 物語
地球上を旅する スターシップからは地上にある生命反応が手にとるようにわかる
ウォル・ソドが思っていたよりも
沢山の生命が地上に残っているようだった

最初に降り立った荒涼とした土地、レオを置いてきた場所以外にも沢山の人が住む箇所が見つかった。
地上に住む人間も居た。

緑溢れる土地も見つかった。

そうなると、この星の「放射線レベル」が気になるし、
それを知った上で・・
アリオスの民たちをこちらへ移住させる事を検討しなければならない。

この地球に住む人たちが、アリオスの住民を受け入れてくれるだろうか。

征服だとか侵略だと捉えられると・・また戦乱が広がりかねない・・
どうしたものか・・

しばらく思索しながら外を眺めていると

「ウォル・ソド様、オレオさまの意識が戻りました」
と部下から報告が入った。

オレオは、人からエネルギーを吸収し相手を倒す能力があるが
今はそれをコントロール出来ない為に隔離する必要があった。
オレオのカプセルがある部屋まで行き、オレオにはなしかけた
『オレオ・・気分はどうだい』

『ありがとう・・やっと回復できそうだよ・・兄さん』
『コントロールできそうかな・・』
『体調が戻れば必ず。 それより兄さん。 物質のエネルギーレベルに焦点をあてて見て・・この星は今回復傾向にあるようだよ・・

それも、兄さんがこの星に訪れてから・・みたいだ。これはどういう事かわかる・・もしかしたら、
あの「玉」を持つ人たちが、この星に存在する、という事 かもしれない。』

『なんだって・・まさか』

『もう少し待って・・僕がもうすこし、回復したらわかるはず・・どこに
その人たちがいるのか・・』
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ある物語(30)

2009年04月27日 | 物語
直人は、人格調整がはずれ始めたひとから
父親の立花博士がどんな足跡をたどったのか調べはじめていた。

どうも父親はもう一人の兄弟をつれて火星に旅たったのではないかという
線が濃くなって来た。
「俺を置いて、見捨てて、火星にもう一人の兄弟だけつれていったのか・・
ちくしょう。あんまりだ・・」

いままで父親を尊敬する気持ちや、懐かしい気持ちはあったが
見捨てられたという想いは持たないようにしてきた。
しかし、火星にもう1人の兄弟だけつれていったという事まで聞くと赦す事が出来なくなってきた。
火星という星で、父親がどうなっているのか兄弟がどうなっているのかもわからないが、生きているならば会いたいし、しかし 頭にくる・・見捨てられたという悔しさや憎しみも無い事はなかった。

そうした調査をしている事を静羅は知っていたし、
直人の中で消化出来ないおもいがどんどんと募りつつあることを心配して見ていた。

今日になって後藤博士がしばらく1人にしてくれと、旅に出てしまった事も心配だった。父がどうしても1人になりたいと言いだしたのはレオにあってからだった。
なにか重大な話をした事は静羅にもわかった
でも、それがどんな事なのかよくはわからない。

レオは後藤博士から緑化システムの改変をまかされたが、その仕事をするにあたっては(地下都市の心臓部なので)あるていどわかっている人たちに理解してもらう必要がある事を悟り始めた。
そして、自分がずっと憎しみ続けてきた地下都市の人たちが
実は人格調整をしなければならないほど罪悪感に苛まれていたこと
火星へ移住した人間の事を「地球から避難した人たち」ということで逆に憎んでいる人たちの感情も理解しつつあった。
自分は地球の人たちから見捨てられたと思っていたが
地下都市の人たちも火星に移住した人間から見捨てられたと思っていたのだ。
考えてみれば、政治をした人間ではなく、戦争に巻き込まれた人たち一人一人に憎しみをぶつけてみたところでなにも解決しない・・

どちらも誤解しあい、被害者意識をもっているだけなのなら
誤解を解かなければならない・・

レオはまず、
自分の もしかしたら 兄弟であるかもしれない
直人に
話しかける決意をした。
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ある物語(29)

2009年04月27日 | 物語
静羅は後藤博士にレオが会いたがっているということと
彼が実は「火星人である」という事情を伝えた
後藤博士も驚きを隠せないようだったが、会う事にした
テレパシーの会話はなにもかも包み隠す事が出来ない事を後藤博士はしらなかった
『後藤博士、こんにちは。僕は火星のドームに暮らしていました。レオといいます。』
『は、はじめまして・・(なんて、立花くんに 似ているんだ・・もしかしたら立花君の、もう一人のご子息・・火星につれていったということか・・)』
『僕のお父さん・・を知っていらっしゃるのですか』
『!! 君はわたしの心が読めているのか・・君は立花くんに良くにている・・直人くんにも・・髪の色が違うし 痩せているから、みな気がつかないかもしれないけどそっくりだ・・立花くんには息子が2人いたんだ・・もしかしたら、君たちは兄弟かもしれない・・』


『・・・!!』

『まあいい・・続けよう。どういう用件かな?』

『この地下都市の緑化システムの恒常性について・・僕が住んでいたドーム地下の施設にあるシステムのバージョンのほうが安定しています・・だから、ここのシステムを改善すれば地上に戻らなくてもしばらく皆が安心して暮らすことが出来そうです』

『そ、それは有り難い・・・もしかしたら、君はやはり立花君・・なのかもしれないね・・・どうしてその事を知っているんだ。君のお父さんは・・?』
『わかりません、会った事も 、見た事もありません・・僕が緑化システムの事を知っているのは偶然に過ぎず、誰かから教えていただいた事では無いのです』

『そうか・・しかし、おそらく・・君は立花くんの息子に違いない・・』
『貴方は 憎んでいたんですか』


『・・!!』

『立花博士・・が僕のお父さんだったとして・・貴方は、彼に嫉妬していた・・
それを 立花博士は・・・知っていた・・
貴方が、彼を陥れようとしたのを知って・・立花博士は身を引いたのだ・・
火星に・・

やっとわかった・・』

『な、な・・そんな事を・・なぜ!』
後藤博士は愕然として言った。

『すべてわかってしまうのですよ』

『・・そうだ・・私は、我慢できなかった。この地下都市システムの全体の管理を私が総ての責任をとって収めたかったのだ』

『立花博士の気持ちが・・僕にはいってきた・・わかる・・
そう・・
それでも

彼は
貴方という 友人が好きだったから

陥れられる 前に 身を引いたのです・・そう、私に情報がはいってきました・・

彼は、すでに死んでいるようです。火星に移住して すぐに。

私があった 緑化事業の責任者は、立花博士の 弟子だったのだ!! 今わかった
だから・・
僕に・・

話しかけてきたんだ・・』

突然、レオは崩れおちるように その場に膝まづき 泣き始めた。

『なんて事だ・・なんてことだ・・』

後藤博士もすべてを知って泣き崩れた。

「なんてことを・・私はバカだ。大バカものだ・・」
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ある物語(28)

2009年04月27日 | 物語
直人は、火星に移住した人間も居る事を知った時
「地球の人間を見捨てて逃げて移住した人々」だと思い、赦せなかった。

一方レオは
火星に移住させられた上に地球の人間から見捨てられ、火星の人々は悲しい最後を遂げた。愛する母や、セリアが死んだのも皆地球で戦争が起きたせいであり、その戦争を起こした人間たち、その戦争を止める事なく地下に逃げてのうのうと生きている地下都市の人間が赦せなかった。

言葉にはしないけれど、直人の中にはもし「火星の人間」に会う機会があったら
怒りをぶつけてやりたいという思いがあったし

レオの中では、地下都市の人間総てを赦す事が出来ない、憎しみの気持ちがくすぶっていた。

静羅は直人が「火星人」に対して抱いている感情を知っていたので
レオが「火星人」であるという事をいつ、どういう形で伝えたらいいのか迷った。
しばらくの間「言葉が通じないから」と言う理由で直人とレオが直接接触する機会を極力避けていた。

一方、レオは回復し、自由に地下都市を歩き回るようになった

そして、自分が居たドームの地下空間にあった緑化システムと似たシステムを発見した。しかし、それは自分たちのドームにあったものに比べてなにかが足りないようで恒常性に欠けているようだった。

レオは憎しみをもつ相手である地下都市の人々の為に何かをする事に対して躊躇したが、とりあえず命を救ってもらった事にはかえられないという思いもあり、
どこが違うのかを調べて修正する事を申し出ようと思い立った。

それには後藤博士か、直人に話をして、システムに介入する許可を得なければならない。静羅に対して『後藤博士に会いたい』と伝えた。
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