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変体少女文字の研究(著:山根一眞)

2009-01-25 19:32:21 |  『山根一眞さん』の本
タイトルを見るとふざけたように読めますが、それはお門違い。
平安時代に、公式文書に使われていた楷書体を、文書、書簡などで用いる時に女性が崩して平仮名の原型を作り上げた。
それが変体仮名。
テーマとなっている"変体少女文字"(丸文字のような文字)を操るのは少女達であり、そのれは仮名だけでなく漢字やカタカナにまで及ぶためこのタイトルが冠されている。

なぜ変体少女文字は使われるようになったか?
そこには縦書きから横書きへの時代の流れという背景があり、その流れに乗るようにこの文字は少女から最終的には男性にまで電波していった。
本書は1986年に書かれているが、文字というものを通して、ひ弱になるであろう日本の未来を見事に予想している。
それは国民皆中流という意識からか、自ら群れに同化し個性を消すという風潮の中、独自の意見を封印したせいもあったのかもしれない。

この変体少女文字はその後、どのようになって行ったのか。
あくまで持論ではあるが、それは進化した交換日記とも思える、ケータイ電話メールの中に行き着いたのだと思う。
意味なく何通もやりとりされるメール。そしてそこに使われる様々な絵文字。
もうそれは変体ではなく、生活の一部になってしまっているのだ。
今あるものを否定するつもりは毛頭ない。しかし、当たり前になってしまった事ほど、そのルーツを知り考える事が必要であり、大切なのだと思う。

※本作品は『同時代ノンフィクション選集 第11巻 日本人の変容』に収録されています。


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