

金華市から杭州まで。
硬座へ乗る皆さんの混雑をよそに寝台を予約していたあっしは、ポツリと一人でホームに。
ホームに入ってきた電車は宜昌から来ている電車だった。
宜昌から上海まで。
湖北省の宜昌といえば、昔から軍事的に重要な土地。政治家である屈原や中国四大美人の一人、
王昭君の故郷でもあり、三国の時代には夷陵の戦いの戦場だったところ。
一度通ったことがあったが、確かに美人が多かったような・・・気がする。
いやあ、寝台列車に乗るのは本当に久しぶり。
もう気分は”関口知宏の中国鉄道大紀行”的なノリだ。
電車を使っていいことは、中でもタバコが吸えるということくらいか・・・。
切符を見せて乗り込むと、トイレから遠い方から2番目のブロック。
指定席ではあるのだが、こちらはどうやら一家族らしい団体で占められていて、
あっしの座席では子供がスヤスヤ眠っていた。
起こすのもなんだし、荷物だけを座席の下に放り込んで、窓側の折りたたみ椅子を引き出し景色を眺めることにする。
本当に都会から2−3時間も離れてしまえば、景色は山と茶色(中国では黄色)の土しか見えない。
ほどなく車掌のおばちゃんが切符のチェックにやってくる。
「杭州南までですね。」
「そう。」
「座席は・・・、あら。」
「そういうわけで。」
「わかりました。それではこちらの下段を使ってください。差額はいりませんから。」
「いいの?」
「そうしてください。 駅がちかくなったら声をかけてあげますから。」
「ありがとう。」
「差額はいりませんからね。」
にっこり笑いながら去っていく車掌さん。
短い列車の移動ではあるけれども、こういう血の通ったやりとりが中国でできるのは嬉しい。
トイレも以前とは違い、長旅の列車にもかかわらず意外と綺麗。
路線や列車にもよるのかもしれないけれど、少なくとも今回乗った列車は掃除がひんぱんにされていて、
清潔を維持する感覚が行き届いてきているということなのでしょう。
下段をもらった席はもうすでに降りてしまったのか、中段・上段はからっぽ。
下段の反対側にはひらひらーっとしたお嬢さんが一人で乗っていた。こちらは田舎が宜昌だそうで、
叉烏に戻ってきたのだそうな。 短い区間で寝台に乗っているあっしに少し驚いている様子だった。
まあ、そりゃあ、普通はバスで移動するわな。
ホテルのクラークのおかげで、思いもかけず電車の旅ができたのは幸いだった。
せっかく杭州を通るので、市内に入って安く龍井茶の新茶を仕入れて行こうと考えていたのだが、
出発も遅れ、なんだかんだで、途中での遅延もあって、タクシー乗り場に並んだ時間では、どうにも
市内まで行って茶を選んでいる時間がとれそうにない。
あれだけ大騒ぎして飛行機に乗り遅れたのでは洒落にならないので、仕方がない、高いけれど茶は空港で買っていくしかないな。
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