【ブロガー殺人事件 第１９話】

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『どうだった？』


赤賀は赤松に問いかけた。


３人に会う前に、何かしら進展が欲しかった。


『それが・・・』


赤松は、自信のある様なない様な微妙な表情で赤賀と石原を見た。

次に赤松が口を開くまで、時間にして３秒程度だったのだが、

赤賀、石原、赤松、３人にしてみたら３秒が５分にも１０分にも感じ取れた。


そんな重い雰囲気に耐えかねた赤松が口を開く。



『オカンですが・・・・・・・・・』




『最初に話を聞いた時は、友人と女子会をしていたと言っていました』


『その友人にも聞いたんですが、その時は確かに女子会をしていたと。』



『ただし・・・・・・』



『問い詰めてみると、その日オカンは居なかったらしいんです」



『なんだって？？』


ある程度の事は予想していたが、あまりにも予想以上の答えを聞かされ、

赤賀は思わず声を荒げてしまった。


『一体どう言う事なんだ？』


気を沈めながら、赤松に問いかけた。


すると、赤松は一瞬困惑した表情を見せ、そして


『オカンはいませんでした。いえ、誘われていたけど行けなかったんです』


『どう言う事だ？』


石原が問う。



赤松はふぅっと息を吐き、ゆっくりと話し始めた。


『女子会があったと言うのは、その会場となった居酒屋の証言を得ましたので間違いありません』


『先ほども言いましたが、あの日オカンは女子会に誘われていましたが、行けなかったんです。』



『なぜだ？』


赤賀は赤松をジっと見据え、彼の出す答えを待っていた。


再び赤松が口を開く。


『オカンは行きたくても行けなかったんです。』


『なぜなら・・・・・・・・・』





『その前日から、食当たりで入院していたからなんです』



『な・・・なに？？』


予想外の答えに、赤賀は思わず普段より何オクターブか高い声を出してしまった。


『入院？』


石原もいつもと違う高い声で問いかけた。



『そうなんです。オカンを問い詰めたところ、事件の前々日にカキ小屋へ行き

殻付きの牡蠣をたらふく食べたところ、翌日にはとんでもないことになって入院したと・・・』


『ただ、いくら殺人事件の聞き込みとは言え、自分の食いしん坊のせいで

食あたりになり入院していた・・・と言うのは恥ずかしかった・・・と。』

『それが私が感じた【何かを隠している感じ】だったんです・・・』


『申し訳ありません！！！』

『無駄に捜査を引っ掻き回す様な事をしてしまって！！』


赤松はその場で深々と頭を下げた。


赤賀は赤松のそばに行き、ポンと肩を叩き


『その微妙な表情を感じ取った君に、私は頼もしさを感じたよ』

『もしかしたら、君しか感じ取れなかったかもしれない表情だったんじゃないか？』

『今回は捜査に関係はなかったが、この先いつ君のその洞察力の鋭さが

事件解決の突破口になるかも知れない』

『謝る必要はない。逆に、そんな細かなところに気づいてくれた君に感謝したいよ』



赤賀は慰める意味で言ったわけではない。

本当にそう思ったからだ。

今回は空振りだったかも知れないが、彼の洞察力の高さを改めて知り得る事ができた。

赤賀には、それだけで赤松を走らせた甲斐があったと思ったのだ。

加えて、５人になった容疑者は４人に絞られたのだ。

文句を言うべきことではなかった。



石原が赤松の元へ行き、そっとコーヒーを置いていった。


ベテランらしい無言の感謝の意だった。






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