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某ヘタレ社会学者のブログです。本と音楽に映画の情報、日々のニュースや日常生活のできごとについてお伝えします。

   

大震災後の社会学

遠藤薫編著,2011,『大震災後の社会学』講談社(新書,¥840)'12.3.26

 門下生の非力さを遠藤薫の力の入った論考が際立たせているところが、笑える。震災を社会変動の転轍機としてとらえて歴史を再構成し、現状分析、将来展望を行うのは有益だと思うので、この論点に絞って構成を考えれば良書となったように思う。

目次
序 章 東日本大震災と社会(遠藤薫)
第1章 大震災と社会変動(遠藤薫)
第2章 グローバル世界のなかの東日本大震災(遠藤薫)
第3章 東日本大震災にみる日本型システムの脆弱性(高原基影)
第4章 地域経済復興における「セーフティネット『選択と集中』の輻輳」(西田亮介)
第5章 災害ボランティア活動の「成熟」とは何か(新雅史)
第6章 日本の防災システムの陥穽(関谷直也)
第7章 震災とメディア(遠藤・西田・関谷)
終 章 日本の明日(遠藤薫)

私たちはこの災禍を転機にできるのか?日本型システムの脆さ、地域経済復興の壁、災害ボランティア…新雅史、関谷直也、西田亮介、高原基彰ら気鋭の社会学者が論じる。
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奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」

中原一歩,2011,『奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」』朝日新聞出版(新書,¥756)'12.3.26

 「ピースボート」をはじめとするNGO、社会福祉協議会、行政機関、企業等との「奇跡」的な「協働」が、迅速な被災地・者への生活支援を実現したことは注目に値する。今後の被災地・者支援のまさにモデルとして参照されるべき事例だろう。

目次
第1章 「水の都」が消えた日
第2章 石巻モデル誕生
第3章 大学が拠点になった
第4章 顔の見えるCSR元年
第5章 行政とボランティアの連携
第6章 災害ボランティアは企画力
第7章 石巻モデルの教訓

災害ボランティア活動は、きれい事だけでは済まない。自治体にとって、ときには志願者が負担になることもある。そんな現実のなかで奇跡的な成功例と評された地域―。それが宮城県・石巻市だ。「石巻モデル」を支えた人たちの「決断」と「行動」を明らかにする!行政、NGO、NPO関係者必読の書。
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辛酸なめ子の現代社会学

辛酸なめ子,2011,『辛酸なめ子の現代社会学』幻冬舎(¥1,260 )'12.3.26

 漫画とはつゆ知らずに買ってしまったが、これがけっこうおもしろい。ギャグのセンスに長けた漫画家の想像力は卓抜だ。さりげなく散りばめられた下ネタもからっと笑わせる。

目次
純愛プレイ
地震ノイローゼ
スローライフにかられて
アキバの戦い
パクリの地平線
モテ無間地獄
セクハラ脳の恐怖
オーラの泥沼
個人情報過敏症
結婚しない人生ほか

モテブーム、純愛ブーム、スローライフ、ハンカチ王子、KY、モンスターペアレント、萌えブームなど、世の中を盛り上げた社会現象。それらをテーマとして、実地に歩き、体験し、話を聞いて、写真を撮り、文章にまとめ、エッセンスとして漫画に昇華した一冊。
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Let It Be- Roberta Flack Sings the Beatles

Roberta Flack,Let It Be- Roberta Flack Sings the Beatles(2012)

 星の数ほどあるビートルズのカヴァーアルバムのなかでも、まちがいなくこれは出色の一枚だ。
 Roberta Flackは、聞き古された名曲の数々を、まるで自分の持ち歌であるかのように生き生きと蘇らせた。
 小さな音で部屋で流していても、美しくアレンジされたメロディについ聴き惚れてしまう。


曲目リスト
1. In My Life
2. Hey Jude
3. We Can Work It Out
4. Let it Be
5. Oh Darling
6. I Should Have Known Better
7. The Long & Winding Road
8. Come Together
9. Isn't It a Pity
10. If I Fell
11. And I Love Him
12. Here, There, and Everywhere

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僕は君たちに武器を配りたい

瀧本哲史,2011,『僕は君たちに武器を配りたい』講談社(¥1,890)'12.3.20

 これから就職していく若者に向けて、身もふたもない過酷な現実を指摘しつつ、挑発的ともいえる生き延びるための指針を呈示する。そもそも「投資家として生きる」ことにどれほどの価値があるのか、とらえ方は人それぞれだろうが、凡百の就職読本と一線を画す有益な書物である。

目次
はじめに
第1章 勉強できてもコモディティ
第2章 「本物の資本主義」が日本にやってきた
第3章 学校では教えてくれない資本主義の現在
第4章 日本人で生き残る4つのタイプと、生き残れない2つのタイプ
第5章 企業の浮沈のカギを握る「マーケター」という働き方
第6章 イノベーター=起業家を目指せ
第7章 本当はクレイジーなリーダーたち
第8章 投資家として生きる本当の意味
第9章 ゲリラ戦のはじまり
本書で手に入れた武器
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創造的福祉社会

広井良典,2011,『創造的福祉社会──「成長」後の社会構想と人間・地域・価値』筑摩書房(新書,¥903)'12.3.20

 気宇壮大なる定常化社会論の集大成ともいえる一冊。異分野の知見をつなぎ合わせながら、人類史に新たな解釈を加え、ケアやコミュニティの価値を歴史的に位置づける論考は、いつもながら刺激的だ。

目次
創造的定常経済システムの構想―資本主義・社会主義・エコロジーの交差
グローバル化の先のローカル化―地域からの“離陸”と“着陸”
進化と福祉社会―人間性とコミュニティの進化

「限りない経済成長」を追求する時代は終焉を迎えた。私たちは、人類史上三度目の「定常期」に直面している―。飽和した市場経済のもと、われわれの社会は「平等と持続可能性と効率性」の関係をいかに再定義するべきか。「拡大・成長」のベクトルにとらわれたグローバル化の果てに、都市や地域社会のありようはどう変化するのか。そして、こうした「危機の時代」に追求される新たな価値原理とは、人間と社会をめぐる根底的思想とは、いかなるものか。再生の時代に実現されるべき社会像を、政策と理念とを有機的に結びつけ構想する。
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【旧作】関東大震災【斜め読み】

吉村昭,2004,『関東大震災』文藝春秋(文庫,¥570)'12.3.20

 大地震予測をめぐる学者間の相克、凄惨きわまりない被害の実態、流言飛語と犯罪、大杉栄らの殺害等、震災とその後に起こったできごとが、克明に描き出されている。関東大震災が日本の近代史において大きな転換点となったことを、あらためて教示してくれる記録である。

目次
「大地震は六十年ごとに起る」
群発地震
今村説vs大森説
地震発生―二十万の死者
大正十二年九月一日
激震地の災害 ほか
第二の悲劇―人心の錯乱
“大津波”“富士山爆発”流言の拡大
朝鮮人来襲説 ほか
復興へ
死体処理
バラック街 ほか

大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく―。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。
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自壊社会からの脱却

神野直彦・宮本太郎編著,2011,『自壊社会からの脱却――もう一つの日本への構想』岩波書店(,¥1,680)'12.3.10

 けっこう力の入った論文が多数主録されている。異分野を横断して、有効にして実現可能な社会政策を構想するのに役立つ一冊である。

目次
はじめに 「自壊社会」の構造と希望のヴィジョン
第1章 新しい世界秩序・国際協調体制
第2章 環境保全型発展の経済性
第3章 社会保障システムの再構築
第4章 「ジョブ型正社員」という可能性
第5章 ユニバーサル・デザイン社会の提案
第6章 学校の役割を再考する
第7章 反「小さな政府」論のその先へ
おわりに 「自壊社会」を越えて

いま、グローバル化と格差・貧困の拡大が進む日本社会のいたるところで、先行きの見えない不安と閉塞感が広がり、政治や行政への不信と諦めが人々の間に巣くっている。「次の時代」への青写真―壊れつつある社会システムから脱却するための、地の足の着いたトータルな構想―が今ほど求められている時はないだろう。金融・経済、環境、社会保障、雇用、福祉、教育、財政など、各分野の最前線で活躍する9人の論者が分野の垣根を越えて共同執筆する本書は、各領域の相互連関に目を向けながらこれからの課題解決の方向性を指し示す、問題提起と提言の書である。
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経済成長は不可能なのか

盛山和夫,2011,『経済成長は不可能なのか』中央公論新社(新書,¥861)'12.3.10

 本書の白眉は、デフレ脱却のための金融政策や、福祉と教育への投資から経済の安定成長をはかり、そのうえで増税により財政の健全化を目指すという、明確な「工程表」が示されている点にある。持続可能な経済成長への明確な指針が呈示されている点でも、一読に値する内容だ。

目次
プロローグ 日本が抱える四重苦
第1章 行財政改革論の神話
第2章 「失われた二〇年」の要因論争
第3章 円高の桎梏
第4章 少子化をどう乗り越えるか
第5章 増大する社会保障費の重圧
第6章 未来への投資
第7章 まずはデフレの脱却から

日本社会全体に閉塞感が漂っている。経済は停滞し、年金や医療など社会保障問題も深刻化するばかりだ。大震災の復興財源もおぼつかない。経済成長こそが復活の鍵であるが、日本はもうそれを望むことはできないのだろうか。本書は、日本経済を取り巻く四つの難問―デフレ、財政難、円高、少子化―を社会学の目で整理し、どのような方法でそれらを解決し、経済を成長させることができるかを提示するものである。
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【旧作】死刑執行人の苦悩【斜め読み】

大塚公子,1993,『死刑執行人の苦悩』角川書店(文庫)'12.3.2

 死刑は、国家権力による殺人以外のなにものでもないことを、取材した刑務官の執行人としての苦悩から、説得力ある筆致で明らかにしている。江戸時代まで、死刑執行人が被差別民として扱われていたことについても触れておけば、死刑制度の理不尽さがもっと明瞭になっただろう。文庫版が品切れか絶版になっているようだが、未だ死刑制度が支持されているこの国で、ぜひとも読み継がれてほしい一冊だ。

目次
第1章 死刑執行に立ち会うのは誰か
第2章 東京拘置所ゼロ番区
第3章 陸奥の刑場
第4章 力ずくの処刑
第5章 死刑囚とのきずな
第6章 法の無情
第7章 言い渡しをする立場
第8章 執行人家族の涙
第9章 連載は終わったものの

「なぜ殺さなければならないのか」…。執行という名の下に、首にロープをかけ、レバーを引く刑務官と、ゼロ番区と呼ばれる舎房でその日を待つ死刑囚。徹底した取材を基に、あらためて死刑制度を問う衝撃のドキュメント。
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