樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

野鳥を食べる

2017年04月06日 | 野鳥
野鳥の会に入った頃、職場の仲間と行った居酒屋で「僕は野鳥の会の会員だから焼き鳥は食べられない」と言うと、「あ~そ~、やっぱりな~」と全員が納得していました。もちろん冗談で、焼き鳥はよく食べます。彼らの反応を見て、飼育鳥と野鳥が区別されていないものの、「鳥を取って食べてはいけない」という社会的なルールが多少は浸透していることが分かりました。
しかし、そのルールが形成される以前は、他の獣や魚と同様、野鳥も食糧の対象でした。昔の人が「鳥を食べる」ことに対してどんな意識を持っていたのか知りたくて、大阪市立図書館に所蔵されている『江戸鳥類大図鑑』を閲覧してきました。この本には、江戸時代の図鑑『観文禽譜(かんぶんきんぷ)』が現代語訳で掲載されています。



「かるがも」の項には、以下の図とともに「この鳥は秋になると羽が抜けて飛ぶことができなくなる。そのため仙台では舟を数艇浮かべてこれを狩る。ヤスで突くのである。一朝にして数十を捕獲する。これを羽ヌケツキという。あぶらが多く、味は非常によい」と書いてあります。エクリプスの時期に捕獲していたわけです。


画像提供:東京国立博物館

鶴が天皇や大名のための高級料理に使われていたことを知っていたので、そのあたりも探ってみました。
「しろづる」の項目には以下のように書いてあります。「ある人が白鶴の肉は最も人によく、俗に黒鶴というものは専ら血虚を整えるといっている。(中略)白いものは益気を心肺に入れ、黒いものは血を整えて肝腎に入れる」。
「白鶴」がタンチョウを、「黒鶴」が実際のクロヅルを意味するのかどうかは不明ですが、「なべづる」の項には「今食用とされる鶴の肉はみなこの鳥である」と書いてあります。いずれにしても、当時は食材としてだけでなく薬効も考慮していたわけです。
また、今でも「がんもどき」があるように、ガンの肉は美味だったようです。この書物の「ひしくい」の項にもこんな記述があります。「味は雁に劣らない。脂もまた多く、肉にわずかに硬さが感じられる。その臭いは鶴の肉に似ており、これが菱食の賞すべきところである」。
野鳥の会の会員としては読むのをはばかるような記述もありますが、鳥に対する昔の人の意識を知るには興味深い資料です。また、絵を見ているだけでも面白いです。
しかも、これらの原画は東京国立博物館のサイトで公開されている上に、商用以外なら自由にダウンロードして使えます。下は「ピングイン」という名前で掲載された鳥。この時代すでに日本人はペンギンを知っていたわけです。


画像提供:東京国立博物館
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2017-04-12 06:31:57
おはようございます
北海道の野鳥研究第一人者と言われているさる方が(70代)、大学生の頃にシマフクロウを食べたという話を聞きましたが、どうやら噂ではなくほんとうのことらしいです。
今なら非難ごうごうでしょうけれど、そういう時代だったんだなって思います。

鶴がおいしいと言われていたんですね。
ううん、私はツルとかサギとかフラミンゴみたいに足が長い鳥はなぜかおいしそうに思えません。

というよりも私は、この記事を読んで自分のことを考えてみて、小さい頃から野鳥を食べたいと思ったことがないことに気づきました。
野鳥保護とかそういう主義信条があってのことではなく、ただなんとなく感覚的にそうでした。
多分私は都会育ちで身の周りにスズメ以外の野鳥がほとんどおらず実感がわかなかったからではないかと思います。
Unknown (fagus06)
2017-04-12 08:10:50
小学生の頃、ワナを仕掛けてスズメを獲って遊んだことがあります。食べた記憶はないのですが、多分、面白半分に焼いて食べていたかも知れません。
私のような年代で、しかも田舎で暮らしたことがある人は同じような経験があると思います。
ギタバさんのような年代で、都会で育った人は、野鳥を食べるという感覚はないでしょうね。
私はコガモを見るたびに、ぷっくりした胸を見ながら「おいしそう~」と思います(笑)。
この「野鳥を食べる」というテーマは、もう少し掘り下げようと思っています。

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