樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鷹の季節感

2014年01月02日 | 野鳥
あけましておめでとうございます。今年も樹や鳥の話によろしくお付き合いください。
さて、みなさまは昨夜どんな夢をご覧になりましたか? 初夢のベスト3は「一富士、二鷹、三なすび」とされていますが、その由来について、徳川家康が富士山と鷹狩りと初物のナスを好んだからという説があるそうです。
この「鷹狩り」は俳句の季語では冬。鷹狩りは主に冬に行われたからのようです。
どういうわけか、「鷹」そのものも冬の季語。オオタカもハイタカも1年中いますが、冬になると里に出てくることが多いからでしょうか。
あるいは、冬になると農地や河川敷に現れるノスリがそうさせたのかも知れません。私も年末に滋賀県の早崎という田園地帯で、このタカをすぐ近くでじっくり見ることができました。



「鷹」や「鷹狩り」が冬の季語である一方、「鷹渡る」や「鷹柱」は秋の季語。鷹を季語にした俳句はたくさんあります。例えば、芭蕉の次の一句。
鷹ひとつ 見つけてうれし いらこ崎
芭蕉が弟子を訪ねて渥美半島の村へ行ったときに詠んだものです。バードウォッチャーなら秋のタカの渡りで有名な伊良湖岬を思い起こすはず。私も何度か行きました。
ところが、これが詠まれたのは貞享4年(1687年)11月12日、新暦では12月中旬頃。芭蕉は冬の季語として「鷹」を使っていて、秋の渡りのタカを詠んだわけではないのです。
話はさらにややこしくなりますが、芭蕉は西行法師の次の短歌に触発されて詠んでいます。
巣鷹渡る 伊良胡が崎を疑ひて なほ木に帰る山がへりかな
「巣鷹」はヒナのときに捕えた鷹、「山がへり」は2歳以降に捕えた鷹。西行は、「伊良湖の海を2羽の鷹に渡らせようとしたところ、1羽は渡ったのに、もう1羽は木に止まったまま渡ろうとしない」という地元民の話を聞いてこの歌を詠んだそうです。
つまり、西行の短歌は秋の渡りのタカを、芭蕉の俳句は冬のタカを詠んでいるわけです。種類で言えば、西行が詠んだのはサシバかハチクマ、ノスリの可能性もあります。一方、芭蕉が詠んだのはノスリかオオタカ、チュウヒ、それともクマタカ?
私は早崎でノスリを見つけてうれしかったので、芭蕉が見たのもノスリではないかと推測しました。そこで、一句。
鷹ひとつ 見つけてうれし 早ケ崎 (盗作!)
ちなみに、私は鷹や富士山どころか、初夢を見ませんでした。夢のない人生を送っております。
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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (guitarbird)
2014-01-02 12:39:01
こんにちわ
今年もよろしくお願いします!

今朝ですがA公園でオオタカを見ました。
夢ではなく現実で見られたので余計にうれしかったです(笑)。
谷を跨いで飛ぶ姿を5秒ほど見ただけでしたが、それでもよかった。

鷹が冬の季語というのは私はなるほどと思います。
オオタカもハイタカも確かに留鳥ですが、市街地に近いA公園では冬のほうが見られる機械が多いと感じています。
それとあくまでも自分の感覚ではオオタカやハイタカの色合いは冬に似合います、雪景色に。
それと北海道では冬には大陸からオオタカが入ってきているのではないかと言われていて、だから見る機会が多いのかもしれません。

ちなみに夢のほうの初夢は今年は特に見ませんでした。
鷹一つ見られず悔し京の空 (ちどり)
2014-01-02 17:06:59
盗作につられてこんな駄作で第一声??

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

あけましておめでとうございます (yambo)
2014-01-02 22:54:58
1、2日と宇治川でミサゴが見られるかなと思っていってみましたがダメでした。代わりにコガモたちが迎えてくれました。そこで私もつたない一句を。

近づけば皆そむきたる鴨の群れ

今年もよろしくお願いします。
guitarbirdさんへ (fagus06)
2014-01-03 06:56:59
そちらでもそうですか、冬の方がオオタカやハイタカは出やすいですか。
大陸から入ってくるオオタカですか。確かに分布図を見ると、樺太~大陸北部に広がっていますね。
現実にオオタカが見られてよかったですね。私はまだ出会っていません、今年は。ハイタカは昨日の探鳥会で何度もでました。
今年もよろしくお願いします。
ちどりさんへ (fagus06)
2014-01-03 06:59:46
その句の気持、よく分かります(笑)。
鴨川上空なら、オオタカかハイタカが現れてもいいですよね。
理屈っぽいブログですが、今年もよろしくお付き合いくださいね。
yamboさんへ (fagus06)
2014-01-03 07:04:35
ミサゴは正月休みだったのかな(笑)。
下流方面で魚を捕っていたのかも知れませんね。
私もミサゴ狙いで何日か通いましたが、よく振られました。
カモの句の情景が目に浮かびます。よくありますね、そういうことが。
今年もブログや鳥見にお付き合いください。
明けましておめでとうございます (scops)
2014-01-03 09:52:21
初っぱなから鷹の話題ですか、縁起がいいですねえ。
私の今年の初鷹は、遠くのノスリでした。近くなら昨日一緒に見たハイタカ。
その前にチョウゲンボウがいましたが、もう鷹ではなくなってしまいましたからね。(苦笑)
オオタカもハイタカも留鳥とはいえ、それぞれ移動していますので、個体は別ですね。秋には大陸から朝鮮半島経由で渡って来るハイタカが、京都でもよく観察されます。
日本で繁殖するハイタカより、なぜかみんなスマートでいかにもハイタカというのが面白いなと思っていましたが、これはこの形を冬に見慣れているからなんですね。
つまり、冬に見ているハイタカは、大陸から渡って来たものが多いのだと思います。オオタカも北の地域では大陸から越冬しに来るものが多いかもしれませんね。

それでは私も駄作を一句。(笑)
年始から 鷹の渡りが 待ち遠しい

scopsさんは (fagus06)
2014-01-04 07:42:15
必ずコメントされると予想しておりました(笑)。
なるほど、オオタカもハイタカも冬のは渡りですか。俳句に詠まれる冬の鷹は越冬なんですね。
お正月から鷹の渡りが待ち遠しいって、まだ9か月も先ですよ。
ふたたびです (scops)
2014-01-04 17:39:08
いえいえ、3月の末になれば早くもサシバが渡ってきますし、5月にはハチクマ・・・待ち遠しい。

補足ですが、オオタカに関してはまだ良くわかっていないと思います。
寒い地域からより温暖な地域へ移動していることは確かでしょうけど、大陸からはどのくらい渡っているんでしょうね。
ちなみに、九州ではオオタカは冬にしか見られないそうですよ。
そうですね (fagus06)
2014-01-05 06:48:11
春の渡りもありますね。
渡りにうつつを抜かすscopsさん、ご家族のご苦労がしのばれます(笑)。
オオタカは九州では冬鳥なんですね。知らなかった。

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