自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★手玉に取る

2017年05月02日 | ⇒メディア時評

  「手玉に取る」という言葉がある。お手玉をもてあそぶように、人を思いどおりに操るという意味で使っている。国有地が地下のごみ撤去費用の名目で8億円余りが差し引かれ1億3千万円余りで売却されていたとされる一連の森友学園問題で、マスメディアに対応する籠池泰典前理事長のコメントなどをニュースで視聴していると、そんな言葉が浮かんでくる。手玉に取られたのは、財務省側と民進党ではないだろうか。

 先月28日、民進党のヒアリングに籠池氏が応じ、「国との土地取引の交渉の最中、たびたび昭恵氏に経緯を報告していた」と述べたという。報道によると、2014年4月、籠池氏が小学校建設を目指していた国有地に昭恵氏を案内し、財務省との交渉の内容を説明、早く工事を進めたいとの意向を昭恵氏に伝えていたという。このニュースの文脈だと、あたかも昭恵氏が国有地売却に裏で関わっていて、籠池氏が財務省との交渉過程を逐一報告していたような印象を与える。

   一人の視聴者・読者として知りたいのは、この「報告」の具体的な事実関係だ。電話での「報告」の内容だが、たとえば「おかげさまで先に見学いただいた国有地の件は何とかうまくいっています」と電話で話したとする。その相手(昭恵氏)がその一件に関わっていなくても、「それはよかったですね」と愛想で相槌を打つだろう。今度はその「報告」をもって、籠池氏が財務省側の担当者に「昭恵夫人に報告した。すると、大変喜んでおられた」と説明したとする。すると財務省側は今回の土地取引を昭恵氏も注視していると勘違いする。そのようにして、籠池氏側は財務省側の「忖度」をうまく引き出すというシナオリだ。いわば「言葉のあや」を「価値ある言語」として実体化する。

   民進党もうまく手玉に取られているという印象だ。問題の渦中の人物が言葉を公の場で発することで「証言」としての価値を付ける、「言葉の権威づけ」と言ってよい。公党である民進党のヒアリングという場は、その言葉の権威づけに最適だ。その言葉を今度は民進党が国会で政府追及の道具として活用することになる。籠池氏は衆参両院の予算委員会での証人喚問(3月23日)やマスメディアからの数々のインタビューで自らの言葉を価値化する技を磨いたのかもしれない。あるいは、天性の才能かもしれない。

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