自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★ドナルドとシンゾーに望む‐追記

2017年11月05日 | ⇒メディア時評
   それにしても「見事な外交手腕」だ。去年12月、真珠湾攻撃から75年、安倍総理がアメリカのオバマ大統領とともにハワイのパールハーバーを訪れ、かつて攻撃した側と攻撃された側の国の首脳がそろって慰霊した。その前の5月にオバマ氏が広島を訪問し、原爆犠牲者の慰霊碑に花を手向けた。両首脳は謝意といった外交辞令のような言葉をあえて口にしなかったが、世界の人々は日本とアメリカの信頼関係を視覚で実感したのではないだろうか。

    不思議だったのは、安倍総理がトランプ氏が大統領就任前の去年11月、ニューヨークのトランプ・タワーの私邸を訪ね、1時間半の非公式会談を行ったことだ。いくら日本とアメリカの信頼関係が不可欠であるとしても、就任前に私邸を訪れたことに、違和感を感じた国民も多かった。私自身も「そこまで愛想しなくても」と。海外メディアなども「charm offensive」ではないかと皮肉っていた。ちなみに、charm offensiveは目標を達成するために意図的にお世辞や愛想をふるまうこと。

   そのcharm offensiveから1年、きょう(5日)は日本の地を初めて踏んだトランプ大統領と安倍総理は「霞ケ関カンツリー倶楽部」(埼玉県川越市)でゴルフを楽しんだ。2月にフロリダに続いて2度目のゴルフ外交だ。トランプ氏は去年の大統領選の期間中、一貫して「大統領に就任すれば、日本などアメリカ軍が駐留する同盟国に駐留経費の全額負担を求める」などと演説していた。そのときの、緊張感に比べれば何の「しこり」もない、実に爽快なプレーだ。

   中国、北朝鮮、ロシアといった隣国が核保有国でもあり、日本にとっては誰が大統領になろうとも、日本とアメリカの同盟関係、信頼関係を確定しておくことが、日本の安全保障に必要なことを安倍総理は理解しているのだろう。その意味では見事な外交手腕だ。

※写真は総理官邸ホームページ(5日付)より


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