時代に思う

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時代に思う:156

2017-07-11 06:20:51 | 随筆

時代に思う:156

「まかり通る人口減少時代」:その12:下記の提案に思う

「不安な個人、立ちすくむ国家」 ~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~

      平成29年5月、産経省次官・若手プロジェクト(以下産経省プロジェクトと呼ぶ)

≪2度目の三振はもう許されない≫ 

◆社会を支える役を高齢者に託していいのか?

 この経産省プロジェクトは、経産省の次官と省内公募による、20代・30代の有志30人で作成された提案書であります。内容的には国内外の有識者とヒアリングし、文献調査に加え、2つの定期的な意見交換の場を設定し、国内外の社会構造の変化を把握するとともに、現状をわかりやすく人口減少時代を整理しています。

 全体的には、好評を受ける提案書ですが、提言の終末で、老人天国から老人責任論に展開しています。そんな提案書がわかりやすく、表やグラフや絵図などA4を64ページで表現されています。国際政治、経済、民族・文化・宗教、技術、社会の5部から構成されています。別な観点から、人口減少時代の何もしない傍観者からみれば、啓示的な多くのことが列記された提案書ともいえます。しかしながら、問題の解決方法(処方箋)を示さないで、課題が散乱して、提案がかえって混乱をきたし無責任にも思われます。

 最後のページの結論で「今回、高齢者が社会を支える側に回れるかは、日本が少子高齢化を克服できるかの最後のチャンあり、2度目の見逃し三振はもう許されない」としている。それはあたかも高齢者だけに問題を託すかのような表現である。この結論の部分について思うところをいくつか述べてみたいと思います。

◆最初の三振と2度目の三振 

団塊ジュニアの世代が結婚したら、彼らに子孫を多く残して欲しい。その結果、合計特殊出生率を上昇させてほしい。しかし、それが出来なかったのです。目論見が外れて、そのことが国の最初の3振という表現です。

 2度目の三振は、高齢者を極力働かせて、生産人口を増やしたい。そのために団塊世代以降の高齢者を、生産年齢人口の引き上げの対象にしたい。それが出来なかった場合を、2度目の三振を意味しているのです。

 三振させないで、ヒットを打たせるのか、それとも四球か死球で出塁させるのか?

しかし、追い詰められて2死ですので、1点を稼ぐために三振は許されないのです。今回、高齢者が社会を支える側に回れるかは、2度目の見逃し三振や凡打は許されないのです。

 上記のことを要約すれば、人口減少時代の日本では、人口の一番多い高齢者層を何とか動かして、そこに経済活路を求めるということです。高齢時代であるがゆえに社会は液状化していると捉え、それを克服するには高齢者を活用するしかない。それはまた、日本の高齢者は元気であり、世界一の健康寿命であるとして捉えています。元気印の高齢者故にバッターボックスに立ってもらう、そんなポジティブな主旨として捉えて居ると思います。高齢者にとっては、甚だ迷惑でバッターボックスに立たされたといえます。

◆生産年齢人口の増加で、人口減少時代でも経済成長を

少子高齢化社会は人口減少時代であり、経済が縮小することは当然です。そこのところを回避するのが、2度目の三振をしないことだと思います。その考え方の根拠は

「国内総生産」=「一人当たりGDP」×「総人口」です

人口が減るから当然GDPは減少します。その分を「一人当たりGDP 」の数字をあげて、国内総生産を減らさないで、経済成長を可能とする考え方です。

「一人当たりGDP」=「労働生産性」×「労働力率」が根拠になります。

「労働生産性」とはロボットを使ったり、組織効率を高める等々です。

「労働力率」とは生産年齢人口の増減です。現在の生産年齢人口は15歳から64歳です。

これを、69歳の定年延長にすれば、2030年までは従来の64歳定年制から比較しますと、700万人が増加します。この数字が「高い労働力率」となり、人口減少時代でも経済成長を果たします。

 この考え方で、人口減少が続いても取り敢えず2030年までは、経済成長が可能となるのです。従って、産経省プロジェクトは三振という表現でその成否を問いているのです。そこのところをもう少し丁寧に説明すれば、この案はスムーズに更なる好評を得たかもしれません。今回のプロジェクトは高齢者いじめと誤解される面があります。

◆海図なき社会に新しい処方箋を

 第四次産業革命に象徴される新しい波動が起き、新しい価値観で、新しい生き方をしなければならない、そんな時代の到来です。世界のトヨタ自動車でさえ、新しい生き方を暗中模索する時代です。個人も企業も自治体も国も全てが、手さぐり状態にあります。日本の場合、更に人口減少時代の入口を通過して、これからが人類未踏の世界に本格的に入りました。少子高齢化社会となり、個人も法人も国も何から手がけたらいいのか、迷うことが多々あるのが現状と言えます。

 そんな中で、日本の原状を隈なく指摘していただいた、今回の経産省プロジェクトの報告書並びに提案書がひときわ光るものとなりました。しかしながら、それは健康管理で言うならば症状の提示であり、処方箋が示されていないといえます。一省庁が、しかも有志が集まっての提言は、誰かがやらなければならないという焦燥感が使命感となってそうさせたのだろうと拝察します。

2008年の人口減少の分水嶺から10年目です。総務省の推計では昨年の人口減少は30万人に達したとのことです。新生児も100万を割ったとのことです。2010年に1億2800万人だったのが、2030年には1億1600万人に人口が減少すると推計されています。このことは過去になかった新しい現象が、新しい日本の問題や課題として提起されてきます。その処方箋をいやが上にも新しく作って、問題の解決をしなければなりません。その成否に関係なく行動に移すことから始めることです。

海図なき新しい時代です。今回の経産省プロジェクトのテーマを、15世紀のコロンブスやマゼランのように、新天地を求めて海図を作りながら走ることです。第4次産業革命という新しい波動とは別に、人口減少時代の人類が経験してない問題や課題に挑戦するのが日本の立場です。失敗しても恐れないで何度も挑戦しながら、新しい処方箋を一つ一つ作っていくことです。(2017年7月10日)

 

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