天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

イースター

2017年04月16日 | 春はあけぼの
 戦国武将の黒田官兵衛は、キリシタンだった。秀吉の「九州攻め」の総司令官として戦う間も、教会建設や布教に東奔西走。宣教師を支援して多数の大名、家臣に伝道した。「住民すべてがキリスト教徒の国」を建設する夢を抱いていたそうだ(フロイス「日本史」)。

▼大分・中津に居城を定めた1587年のイースター(復活祭)に大規模な洗礼式を行い、多くの武将を改宗させた。イエスの復活を祝う最大の祭日で、布教への情熱も高まったらしい。いまでも教会によっては、深夜から始まるミサに、ロウソクを手に信者が集まる。夜を徹して祈りを捧(ささ)げ、賛美歌を合唱して再生を祝う。

▼20日にかけて東京で開いた第5回「六本木アートナイト」も徹夜の催事だった。作品を展示した街角や美術館に数十万人が集い、踊り、パレードに参加した。この時節、各地で開かれる祭りは、大なり小なりよく似ている。それもそのはず。復活祭と同様、厳冬を抜け出て、やっと到来した春を喜ぶ気持ちが重なるからだ。

▼季節ごとの祝祭には、自然のリズムに合わせて、心や体の再生を促す力があるという。戦国武将も昔の為政者も機微に通じていた。だが、忙しい現代人は季節の変化を見過ごし不調を招きがち。ときには立ち止まり若葉の梢(こずえ)を眺めてはどうか。特別な力があると信じられている、祝福に満ちた陽光がきらきらと降ってくる。春秋2014/4/22付


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