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蠅のはなし 小泉八雲

2016-11-05 15:56:17 | 要約
二百年ほど昔、京都に飾屋久兵衛という商人が住んでいた。
店にはたまという若狭の国生まれの下女がいた。
久兵衛夫婦はたまにやさしく、たまも二人になついていた。

しかしたまは良い着物などを夫婦からもらってもまったく着ず、
休みの日もいつも仕事着であった。

たまが夫婦のもとにきてから5年ほどたったある日、夫婦はたまに尋ねた。
なぜ身だしなみを整えようとしないのか。

「両親が亡くなったとき私は子供で、兄妹もなく、
二人を供養する余裕もありませんでした。しかしやっとそのための蓄えが出来、
近く寺へ位牌をおさめ、法要を営むことが出来ることになりました」

と、今までのなりふりかまわない無作法をたまは夫婦に詫びた。

たまは蓄えた百匁のうち七十匁を使って法要を行い、残りの三十匁をお内儀に預けた。

しかしつづく冬の日にたまは突然病に冒され、1月11日に死んだ。
久兵衛夫婦はその死を深く悲しんだ。

それから10日ほどしたある日、大きな蠅が家の中に入ってきた。
冬にこんな大きな蠅は珍しいと仏教徒の久兵衛は殺さずに外へ逃がした。

ところが蠅はまたすぐに戻ってきて、家の中を飛び回った。

それから何度遠くに放しても蠅は必ず戻ってきた。

「あれはたまではないかしら」お内儀は久兵衛に言った。

「おそらくそうだろう」

「きっと私がたまから預かった三十匁を
自分の魂の供養のためお寺へおさめてほしいのでしょう」

その言葉を聞いたのか、蠅は障子から落ちて、久兵衛が拾ってみると死んでいた。


小泉八雲作 上田和夫訳 EVOLUCIO要約
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