原題: Syriana (米、2005年)
映画を見終わってもタイトルの意味がイマイチわからなかった。後で考えれば、シリアを連想してもよさそうなものだったが、全く思いつかずに映画館を出る。
で、帰ってWebリサーチしてやっと納得。色々見たが、Wikipediaが一番まとまっていてわかり易い。3つの説を挙げている。
その中で、作品公式サイトの見解を押しのけて、最もしっくり来たのが、Pax Syrianaを連想させる言葉であるというものだ。Pax Syrianaは「シリアの平和」を意味するラテン語であり、さらに遡れば、Pax Romana 「ローマの平和」からの引用であるという。
こちとら、Pax RomanaもPax Syrianaも知らない無教養者だから、リサーチはさらに続く。
パクス・ロマーナは古代ローマ帝国の圧政下での平和を意味するらしい。時代で言えばアウグストゥス帝あたりから。パクス・××という言い方はそこからきていて、パクス・ブリタニカ、パクス・アメリカーナなどと用いられる。多分、強制的な力によってもたらされた表向きの平和であることが暗喩されるところがミソなのだろう。
パクス・シリアーナは、1990年、シリア軍が介入したことによりそれまで内戦状態だったレバノンが「平和」になったことを言うようだ。2005 年、シリア軍の撤退が決まった時は、他国の軍隊の撤退は喜ぶべきことだが、レバノンがまた内戦状態に陥るのではないかといった不安の声もあったらしい。
そこに住む者にとって、自分たちの平和は自分たちの手で守りたい。が、他国の力を借りねば一時の平穏ですら実現できない国がある。一方でそれにつけ入る強国がある。皮肉で悲しい現実だ。しかし、人々は一旦おかれた立場から容易に逃れられない。本作からはそんな虚しさが伝わってくる。
それにしても、ラテン語読みなら「シリアーナ」となるところを、日本の配給会社は何故「シリアナ」にしたのだろうか。アカデミー賞授賞式では、二コール・キッドマンもシリアーナと言っていたゾ。(もしかして別のウケを狙った?)
私は老後の楽しみとして残してあることが色々あるのだけれど、また一つ増えた。雨の降る日は、塩野七生さんの『ローマ人の物語』を読もう。
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