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Payday(公式訳)

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(原文)

Payday
●清算のとき

Tinyの脳内に埋め込まれた神経系インプラントが,ストレスが増加している旨を警告していた.彼にはもう時間が残されていなかった.ありふれた,なんの変哲もない平凡なミッションの請負だったはずが,今や大失敗に終わろうとしていた.

今までに,もう何回 Karloのアジトに"Tonic-12"を運び入れただろうか? 少なくとも10回は下らないはずだ.そして今までこの仕事で問題が起こったことなんてなかったのだ.それが今回は遅れに遅れていた.全てはあの忌々しいサツどもの所為だ.どうしたことか,今回に限っていつものブツの受け取り宙域に,警官艦隊が巡回していたのだ.ヤツらのせいで,"Tonic-12" ― つまり高級麻薬だ ― を受け取るのに,遠路はるばる Great Wildlandsまで足を伸ばす羽目になってしまった.おかげで期限までに残された時間はあとわずか30分しかなかった.

言うまでもないが,Tinyは仲間を連れて来ていなかった.あのマヌケどもは,彼が雇うより先にさっさと別の傭兵を請け負ってどこかの星系に飛び立ってしまったのだ.

全てのことが彼を緊迫させ,イライラさせるには十分だった.

Tinyは心の中で悪態をつきながら,船をスターゲートに向けて操作した.管制ステーションが彼のジャンプ申請を受理するのを待ち構えながら,彼はロスタイムを取り戻すために Du Annes星系を通るという賭けに出るかどうか,しばし真剣に考えた.結局のところ,彼はそれに賭けることを諦め,大人しく Decon-Sharuveil経由で戻ることに決めた.Du Annesを通るのは余りに危険すぎた.Decon-Sharuveilルートは確かに遠回りだが,警邏の目を逃れるのに多少は安全なように思えたのだ.そしてようやく管制から自分のゲート利用許可を受信した彼は,ジャンプシーケンスに入るためにクルーザーのスラスタに火を入れた.

Decon星系に到着するとすぐに,Tinyはヤバそうな奴が彼のそばに潜んでいないかどうか,近隣宙域のスキャンを走らせた.何も無さそうなことを確かめると,彼は次のスターゲートに向けて船を回頭させた.

航行中,Tinyは期限内に Karloにブツを届けられなかった場合の損失を計算していた.恐らく5万は下らないだろう.言うまでもなく Karloのヤツは機嫌を損ねるだろうし,ひょっとするとヤツからはもう仕事を貰えなくなるかもしれない,Tinyにとって,今のところ Kalroは帝国領域内でスマートドラッグを扱ってくれるただ一人のエージェントなのだ.これは大きな痛手だ.けれど,まぁ何とかなるだろう.どうにかして Karloをもう一度丸め込むことも出来るだろうし,もしあれだったら"Tonic-12"を扱う他のバイヤーを探してもいい.しかし違法品を積んでの長旅は危険だな.どこかに上手い隠し倉庫を作るべきだろうか...

思案に耽りながら,Tinyは必要な調整を行い船を進め,次の目的地である Sharuveil星系行きスターゲートへの最後のワープを終えた.もうあとはジャンプを1回行うだけだ.

考え事をしていた彼がそのレーダー信号に気付いたのは数秒後だった.彼の船のレーダー範囲ぎりぎりに,他の船を示すシグナルが表示されていた.その船はどうやら彼とは反対側から同じくスターゲートに向かって進んで来るようだった.Tinyは相手が税関検査官や DED艦艇だった場合に備えながら,走査可能範囲まで近づいたその船にスキャンを走らせた.

なんという偶然! それは Adira Habiの船だった.数週間前,Tinyはこの卑劣な Amarr野郎に Pod-killされたばかりだったのだ! Tinyは喜びに打ち震えた.あの日以来,どんなに Habiを探し回っていただろうか.こんなところで偶然にもヤツを見つけられるなんて,なんという巡り会わせだろうか!

突如,Habiのクルーザーが航路から外れた.明らかに彼はこちらに気付いたのだった.

「腰抜けめ,逃げる気かよ!」

Tinyは瞬時に判断した.あの向きだと,恐らく行き先は Decon IVだ.それにあの回頭速度だと Habiの野郎はこっちの Warp scramblerが捕らえるよりも早く Decon IVにワープ出来ちまうだろう.急ぎ Habiを追撃するためのワープシーケンスに入ろうとして,ふと彼は貨物室の中の"Tonic-12"と Karloの顔を思い出した.

「クソ食らえってんだ!」

心の中で叫ぶと,彼は Sharuveil行きスターゲートから外れ,Decon IVへのワープシーケンスをコンソールに叩き込んだ.


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訳者蛇足:
運び屋仕様で果たして彼が復讐を成し得たかどうかは語られてない.Tiny君は本名を Burki Tromといい,他の Back Storyにも出てくる.
ちなみに,ヤクの運び屋の彼が"安全"と言う Decon-Sharuveil星系は Low sec,"ヤバい"と言う Du Annes星系は High secなので,念のため.

今回は少し訳を頑張って雰囲気を出すよう努力してみた.どうだろうか?
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The Right Man, the Right Place(公式訳)

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(原文)

●The Right Man, the Right Place
適材適所

生き馬の目を抜く宇宙貿易の業界で,勝者(富裕)と敗者(破産)を隔てるただ一つのことは,"適材適所"を知り得るかどうかです.多くの宇宙ステーションでは,そこでのコネがなければごくごく一般的な限られた品物のみしか売買することができません.しかし,もしあなたが偶然にも暗黒街と繋がりのある人物に伝手を得られたならば,非合法な品物を入手できるかもしれません.また,もしあなたが軍務官と知り合えたならば,試作軍備の取引を頼まれるかもしれません.このように,銀河中至るところで行われている取引の中には,一部の"選ばれた人材"にしか扱えない商品というものも確かに存在しているのです.

実際には,あらゆる企業が宇宙中の市場に目を光らせていて,業界を独占し少しでも利益を上げようと最大の努力を尽くしています.このため,企業に所属しないフリーランサーが市場に介入できる余地は少なく,結果として自由市場は需要過多で非常に競合の激しい世界となっています.

もちろん,市場には沢山の商品が溢れかえっています.しかし多くのトレーダー達は,彼らに巨万の富をもたらす,特別な取引のみを通じて入手可能な「貴重で高価な商品」の流通ルートを得ようとしのぎを削っているのです.
これらの特別な流通ルートを得る機会は実に様々です.それは捜し求めていた情報だったり,より高レベルの情報へのアクセス権だったりするかもしれません.あるいは強力な装備の提供かもしれませんし,貿易特権が与えられたり,重要な任務を依頼される場合もあります.

大企業の中にも,フリーランサーの登用に意欲的な者が居ることがあります.Kaalakiota社のセクタマネージャ,Pekki Matakenもその一人です.

Pekkiは周辺星系の経済的な要衝でもあるSaatuban星系に駐在していた時に,Kaalakiota社に関する取引を成功させたフリーランサーに対する公正な「評価システム」を確立させました.
さらに,目敏いCaldariがこの評価システムを利用し始めたことで,このシステムによって企業内で高い評価を得ている者は,国家からも同様な引き立てを受けられる機会を得ることになったのです.
しかしまた同じように,彼らとの取引を失敗した者の評価はこのシステムによって瞬く間に失墜し,やがて彼らからは相手にもされなくなるのです.


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訳者蛇足:
今回のはずいぶん短い.

今では宇宙中で使われているエージェントの評価システム.最初に作ったのは商売に長けたCaldari人だった.
このPekkiさん,調べてみると今は遥か田舎(Metropolisに住んでいる人ごめんなさい)のFrulegur星系に駐在中.栄転か左遷かは分からないけど,なんかずいぶん老けたんじゃなくて? (というか公式Webのデータベースだと男の人ですらないんだけど.何があったのか気になるところ...)
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Leech Capital(公式訳)

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(原文)

●Leech Capital
投資ゴロ

EVEの世界に生きる人々にとって,拡大し続ける宇宙産業が及ぼす影響は今や計り知れません.ほんの数十年前までは,宇宙産業には僅かな人々が携わっているだけでした.しかし今日では何十万もの人々の生計を支える産業になっています.また,宇宙中を席巻することを夢見て,ありとあらゆる分野の新しい会社が毎日のように設立されている産業でもあります.これの典型的な例の一つが,DioCore社です.

わずか二人の兄弟によって約5年前に設立されたDioCore社は当初,資本不足,社員不足に悩む先行き不安な零細会社に過ぎませんでした.しかし兄弟は無為に過ごすことなく,今まで培ってきた宇宙船取引の経験と伝手を活かして努力を重ね,幾つかの契約を結ぶことに成功しました.DioCore社の主な活動はブループリントの研究開発でした.兄弟は特にDroneに関して多くの革新的なアイデアを保有していたので,このアイデアを織り込んだ新しいDroneのブループリント開発を目指していたのです.

最終的に,彼等はやっと資金を拠出してくれる投資会社を見つけることができました.その会社はMindChill社といい,Gallente連邦を拠点とするベンチャー・キャピタル会社でした.MindChillの援助により,DioCoreはようやく最初の研究施設の稼動に漕ぎ着けることができたのです.他にも出資者は居ましたが,MindChill社の援助なくして彼等は会社を立ち行かせる事は出来なかったでしょう.

しかし,幾つかの前途有望なブループリントの開発には成功したものの,DioCore社では実質的な商品化に失敗してしまいました.やがて会社はまた資金不足に陥り,経営危機が訪れました.けれどもプロジェクトの成功はもうすぐそこに見えていると感じていた彼等は諦め切れませんでした.実際,彼等のプロジェクトに興味を示してくれた将来的な顧客(しかもそのうち幾つかは大手企業です)もいて,既に幾つかの会社とは,「全て開発を終えた場合」という条件付きながらも.DioCore製のブループリントを卸す契約も取り付けていたのです.

DioCore社が商品化成功に漕ぎ着けるまで,新たに出資してくれるベンチャー・キャピタルを探している間,実は秘密裏に陰謀が張り巡らされていました.

MindChill社は,最初の大手出資者だったこともあってDioCore社が直面している問題についてほぼ正確に状況を把握していました.MindChill社は親切にもDioCore社の新たな資金調達を手助けしました.新たな出資者の目処も付き,全てが問題なく進んでいるかに見えました.しかし数週間が過ぎ,DioCoreの幹部がMindChill社に資金提供の終了のお願いを打診したところでそれは起こりました.MindChill社の返答は「御社への出資については近々大きな取引が成立するであろう」とそっけないものでした.そして彼等の本音はもっと腹黒く,会社の簒奪を目論むようなものだったのです.

やがて「DioCore社はキャッシュフローの問題を抱えている」という噂が市場に広まり始めました.投資家達は次々と離れていき,彼等が手放したDioCore株はMindChill社が陰で大安値で買い集めました.時間が過ぎるほどMindChill社はDioCore株を買占め,発言権が強くなっていきました.DioCore本社で行われた緊急会議において状況が究明されると,MindChill社の真の意図が明らかになりました.DioCore社が破産寸前となり,MindChill社の提案を拒否できる立場でなくなった時に,MindChill社は改めて一つの申し入れをしてきました.それは「DioCoreがDroneのブループリント開発を完了するまでの資金をMindChillが提供する代わりに,全ての売り上げ利益はMindChillが得る」というものでした.MindChill社が,ほんのわずかな資金提供の見返りに莫大な利益を刈り取ろうとしていることは明らかでした.

DioCore社の幹部達はそう簡単には諦めず,対抗策を考え出しました.MindChill社からの資金提案は未だかつて無いほど「底値」だったので,これに対抗するだけの資金を調達することは割合に簡単でした.DioCoreの幹部達の説得に応じた個人投資家たちの手を借りた資金の確保が,もう一つの資金調達案として取締役会に提案されました.新案によってもMindChill社が株を保有し続けることには変わりありませんでしたが,皮肉にもMindChill社の工作によってDioCore株の価値は地に堕ちていたので,個人投資家が参入することでMindChill社の発言権は大いに弱まることでしょう.

しかし,困難はこれで終わりではありませんでした.2件の資金調達案はDioCoreの役員による取締役会で投票に掛けられる必要がありましたが,MindChill社は取締役会の役員でもあったのです.MindChill社はJon MondoというGallente人の有名なベンチャー投資家を送り込んできて,MondoはMindChill案を支持するよう他の役員達に精力的に働きかけました.ここにきて,どちらの案が採択されるか誰も予想できない混戦となったのです.DioCore社の内外は危機的なまでの極度の緊張状態に陥りました.DioCore社の主要施設を種々の妨害工作から守るために傭兵部隊が雇われ,星系間を移動するDioCoreの役員を守るために高度に訓練された屈強のボディガードが雇われました.全ての1票がそれを投ずる本人の命よりも重い価値があるといわんばかりの軍隊レベルのセキュリティ警護の中,DioCore本社で行われた取締役会では,最終的に5-6という僅差で,個人投資家から資金を集める案が採択されました.こうして,ようやくDioCoreは会社乗っ取りの危機から脱したのです.

3ヵ月後,その高度なDrone製品の開発力によってDioCoreは莫大な成功を収めました.今日では,DioCore社といえば一際突出した優良企業であり,堅調な長期投資先としてその株は市場で頻繁に売買されています.

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訳者蛇足:
久しぶりにBackStoryを.
二万年後の未来も,シリコンバレーと変わらないなぁ.でもいくら困ってるからって「MindChill(冷酷な心)」なんていう会社から資金提供受けたら,そりゃダメでしょーと思うmococoであった...
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Myth of a salesman(公式訳)

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(原文)

●Myth of a salesman
セールスマンの神話

「Aeron Assis」,あるときは「Niques S. Leutre」,あるときは「Niemar Kokolen」.

これ等の偽名を名乗る者の,本当の名前を知っているだろうか? この者の最もよく知られている通り名は,実は名前ですらない.その通り名を単に「the Broker」(ザ・ブローカー)という.
どの場所,どの国のエージェントでも,「the Broker」についてこっそり問えば,一つ二つは知っていることを教えてくれることだろう.しかし彼が名乗った沢山の偽名よりも知られていることと言っても,彼の素性についての様々な噂くらいなものである.

スパイとして,ネゴシエーターとして,諜報員として,武器商人として,その他捕らえどころのない様々な立場で人々を,そして国家をも陰で操る彼について,分かっている事実はほとんど無い.「the Broker」は最新のクローニングやDNA技術を用いた扮装に精通していて,身長,髪の色,種族といった基本的な外観ですら,今でも謎に包まれたままである.しかしながら,過去に現れた際にこれと言って身体的特徴や種族固有の性癖が無かったため,多くの者は彼の出自はAmarr人かGallente人なのではないかと考えているようだ.

過去50年以上に渡って「the Broker」は直接または間接的に,あらゆる国家の,軍部の,諜報の取引に関係してきた.彼の扱う取引の多くは機密情報,武器の輸出入,スパイ行為といったものに関わっていて,更にはこれまで起こった犯罪活動やテロ行為のうち幾つかにも,彼は少なからず関与していると言われている.勿論,彼が関わったという確たる証拠は何も残されていない.「the Broker」はまた,各国の上流階級層にまで入り組んだ非常に広大な情報網を持っていることで知られている.彼は普段,自分の商取引を有利に運ぶ為にこの情報網を利用している.だが時には,人々や場合によっては政府すらを恐喝し,収賄し,懐柔することにもこの情報網を用いることがある.このような時は大抵,「the Broker」は犠牲者の政治的,あるいは経済的なライバル達の仕事を請け負っているのである.

「the Broker」の秘密主義が功を奏しているのか,彼の存在はほとんど公衆に知られていない.しかしスパイや諜報といった世界に携わる者たちは誰でも彼の存在を知っている.そしてその誰もが大体「the Broker」が関わっていた策動の一端に自分自身も巻き込まれた経験を一つや二つは持っているのである.彼の仕事で,最も(スパイ業界の中で)知られているものと言えば,ほぼ半世紀前に起こった「Omicron Incident(オミクロン事件)」であろう.

当時,Amarr帝国の外縁部付近に封建領地を構えていた領主が亡くなり,彼の領地にそれぞれ隣接していた二人のAmarr領主が,この地の所有権を巡って激しく争っていた.Aeron Assisと名乗っていた「the Broker」はこの頃,大量のCaldariとGallente製の武器を買い付けたばかりであり,彼はこの二人の領主を大量の武器の売り先にすることを目論んだのだった.しかし彼にとって問題だったのは,二人の領主は既にもう紛争地域の分割統治について合意に達するところだったことだ.

「the Broker」は素早く工作を開始した.彼はまず「一方の領主Hurid-Akanが,もう片方の領主Kirionの暗殺を密かに企てている」という偽の告発情報を流した.Kirionはこの情報を入手すると激怒し,Hurid-Akanとの間で進めていた全ての交渉を白紙撤回した.好機を逃さず「the Broker」はすぐさまHurid-Akan領に赴き,今度は「Kirionが交渉を破棄したのは,秘密裏に同盟を結んだ第三国の援助を受けて,かの領地を武力占領する準備ができたからだ」という偽情報をHurid-Akan領の諜報部にリークしたのだった.この情報を得たHurid-Akanは最初,Kirion軍の充実ぶりに対して自軍は余りにも脆弱であると考え,武力衝突することを躊躇(ためら)った.しかしそんなHurid-Akanに救いの手を差し伸べるかのように,とあるCaldariの武器商人が"偶然にも"別件で(勿論これは「the Broker」の口実に過ぎない)彼の領地を訪れていたのだった.Hurid-Akanはこの武器商人から最高級品のCaldari製武器を大量に購入すると,Kirion軍に対抗するべく大急ぎで彼の軍隊を動員し始めたのだった.「the Broker」はと言えば,Hurid-Akanに武器を売りつけた後,直ぐにKirion領へ戻っていた.

Hurid-Akan軍動員の警報を聞きつけたKirionも当然,戦争の準備を始めたのだが,「the Broker」は巧みにHurid-Akan軍の保有するCaldari製の最高級軍備に関する情報を漏らし,Kirionを不安に陥れた.こうしてKirionもまた,Hurid-Akan軍に対抗するべく,"偶然にも"彼の領地を訪れていた武器商人からGallente製の武器類を購入し始めたのだった.

この後何日にも渡って,「the Broker」は偽の報告書,偽の偵察データ,架空の侵攻計画などを彼の情報網やスパイを利用してばら撒き,二人の領主を翻弄し続けた.疑心暗鬼に陥った二人の領主は熱に浮かされたかのように偏執的に軍備を拡充し続けたのである.

結局,辺境の極度な緊張状態を知ったAmarr帝国皇帝が,皇室名義の調停者を派遣して事を収めるまでこの状態は続いた.しかしこの時にはもう,既に領主達は軍備拡充に全財産を費やしてしまっていたのである.事態が沈静化すると,二人に武器を売り続けた「the Broker」は密かに帝国から姿を消した.

この事件以外にも,対立する二組織を煽り立てて双方から利益を上げる,という手口は「the Broker」がしばしば取る手法である.このような手口の為か,「the Broker」は以後ずっと彼自身の身元や居場所を注意深く隠し続けている.彼の持つ広大な情報網と巨額の富がこれを可能にしており,今日では彼の取引はほぼ全て,外宇宙に居る複数人のエージェントを介して行われている.彼の取引は今でも非常に活発であることは確かだが,彼が手がける取引の規模や巨額の財産は,今となってはもはや推測することしかできない.


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訳者蛇足:
権謀策略で財を成した伝説の死の商人.きっと両領地の領民は高税に苦しんだに違いない.

EVEの世界はプレイヤー売買で市場が形成されているので,頑張れば本当に同じようなことも出来るはず.騙されたプレイヤー達にリベンジされても責任は負えないけど...
(LinkはRepunさんとこ紹介記事から)
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Time & the Astrologer(公式訳)

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(原文)

●Time & the Astrologer
暦と,とある占星術師の話

大国同士が接触し始めてすぐに発生した,取り決めなければいけない沢山の出来事のうちの一つに,世界標準時の制定が挙げられます.全ての国家は多少の違いはあれ,自分達の母星の自転と公転に基づいた「日」と「年」の概念を持っていたので,これが国家間のやり取りに多大な混乱をもたらしました.相互のコミュニケーションを円滑に行うために,全世界で同期されている時刻を取り決める必要があるのは明らかでした.

無論,どこかの国家の暦(こよみ)を世界標準時とすることは問題外でした.他の国家が絶対に同意しません.標準時には,全く新しい基準を用いることになりました.
当初,議論は学者のみで行われていたのですが,後に政治家が介入し,政治的意図を含んだ沢山の提案を行いました.しかし,やがて様々に出された提案は大きく分けて3つの案に集約されました.「Arithmetic」(数論)派,「Traditionalist」(保守)派,そして「25ers」です.3つの案はそれぞれ異なる分野の者達によって支持されることになりました.「数論」案は主に物理学者と技術者が,「保守」案は多くの歴史家と考古学者が,そして「25ers」案は生物学者と社会学者が支持しました.

「数論」派は,新しい暦は,どんな古い因習にも一切のしがらみを持たない,純粋に数学的な時を刻むべきだと主張しました.彼等はまた,この案は現在世界の物理的な志向に則しているとも主張しました.
一方「保守」派は,人類全員が唯一合意できるのは,古代地球で用いられた暦だけだと主張しました.全ての種族は(とりわけJove人とAmarr人は)多少なりとも古代地球暦に関する資料を保有していたので,これ等を組み合わせれば完全な地球暦を復元することは容易だったのです.
最後の「25ers」は,専ら宇宙に暮らす我々が考慮すべき唯一つの指標は,人体のみであると主張しました.すなわち,人間の体内時計のサイクルは,古代地球時間で言うところの凡そ25時間です.彼等は新しい時刻はこの基準を元に取り決めるべきだと主張しました.

無数の団体がこれら3つの案のどれかの擁護を主張し,長く難儀な議論が繰り返されました.「25ers」の支持勢力の一つに,Cerb Rausolleという名の精力的な若者に率いられたGallente人の小さな草の根組織がありました.Cerb Rausolleという名は,実際には彼の占星術師としての偽名でしたが,ともあれ彼の努力により,意外にも大規模だった占星術師達の支持活動により「25ers」は大きな世論の支持を得ることに成功しました.しかし「25ers」が世論を味方に付ける一方で,「保守」派は政治家の支持を取り付けるよう努力していました.結局のところ,「保守」派の目論見は正しく,Jove帝国の巡洋艦"Yoiul"内で行われた人類の新暦を定める歴史的会合においては,議決権を有する政治家を多数抱え込んでいた「保守」案が成立することになったのです.

こうして,EVEの新暦が定まりました.新しい暦は1年を365日,1日を24時間と定め,4年に一度の補足日を設けることになりました.すなわち,古代地球で用いられていたであろう暦と同一です.後に「Yoiul会議」と呼ばれるこの会合の開催年をもって0EST(Earth Standard Time(地球標準時))とすることが定められました.今年で会合から105年が経ち,105ESTを迎えますが,多くの人々が我々の銀河系をEVE世界と呼ぶことから,新暦は今では専らEST(EVE Standard Time(EVE標準時))と呼ばれています.

さて,新暦制定には破れたものの,偽Rausolleは培った政治力と政治組織を無駄にすることなく,直ぐに次の標的を見つけました.その当時,宇宙船の所有者は,毎年船舶のライセンス更新に巨額の更新料を必要としていました.この巨額のライセンス制度が,全ての国家の重要な資金源となっていたことは勿論ですが,ほんの一握りの裕福なものだけしか宇宙ビジネスに進出することができないことの原因にもなっていました.この制度が宇宙間交易の促進を阻害しているばかりでなく,一般人が宇宙ビジネスに介入する機会を損なっていることは明らかです.偽Rausolleと彼の組織は,(彼の組織はまだ「25ers」と呼ばれていました)この制度を改正するために政治活動を始めたのです.

当初,彼等は主にGallente連邦政府に対して活動を行っていました.しかしやがてCONCORDが船舶ライセンスの発行及び更新に関する監督責任を担うようになると,彼等「25ers」はCONCORDを政治活動の対象とするようになりました.

最初,CONCORDはこれ等の抗議活動を全く無視していました.しかし活動が激しくなり,世論を味方に付けるようになるとやがて関心を寄せるようになり,遂には世間の反発を恐れたCONCORDによって,ライセンス制度を検討する委員会が設立されるまでに発展しました.しかしながら,ありがちなことですが,委員会の冗長な議論は何ヶ月にも及びました.この間中,「25ers」は過激な抗議運動を繰り返し,幾つかの星系では大規模なゼネストまでもが計画されるようになりました.
1ESTを迎え,最初の新年を祝う式典がCONCORD本部で行われている最中,偽Rausolleは単身でステーションの周囲警戒システムに侵入しました.彼は爆薬を満載させた無人船を,当時,EVEで最も著名な人々が集まっていたこのステーションのすぐそばで自爆させました.彼はこの爆破によって誰も怪我などしないように,細心の注意を払いましたが,ステーションの何処からでも目撃できたこの爆破という過激なメッセージは,多くの人の関心を集めたのです.

約2ヵ月後,新しいCONCORDの規約が制定され,ライセンス料を廃止することが全ての加盟国によって可決されました.

無論,彼の行為は犯罪であり,彼は指名手配の逃亡者となりました.「25ers」は解散し,彼は政治組織も地位も失いました.しかし,偽Rausolleは,瞬く間に生きる伝説となり,彼と「25ers」という組織は,不滅の名前を歴史に刻みました.今日でもしばしば,「25ers」を引き継ぐと名乗る組織が結成されることがあります.かつて,無名の若者が巨大な勢力を揺り動かしたように,彼等もまたEVEの世界を変えていくことを志しているのでしょう.


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訳者蛇足:
占星術師の扇動で動いちゃう世論ってどうなんだろ...いや,宇宙だからこそ占星術は重要なのか?
なんか似た話を聞いたなーと思い返したら,共通語の話だった.
作中で105ESTという話題が出ているが,これはこのバックグラウンドストーリが発表された当時の話.mococoの計算が間違っていなければ,EVEの世界は今年 23345A.D.=109ESTになる.
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Old Man Star(公式訳)

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(原文)

●Old Man Star
オールドマン・スター

Gallente連邦領内,Peccanouette周辺からPatrie周辺にかけて航行する際には,Ouperia星系を通過すれば途中航路を大幅に短縮することができます.Ouperiaはは無人の白色矮星の星系ですが,その名を知っている人は皆無と言ってよいでしょう.Ouperia星系は今では殆どの人にこう呼ばれています,「Old Man Star(オールドマン・スター)」と.

恒星間ジャンプドライブ技術(*1)が確立したのはつい最近のことです.これが実現するまで,各国家が領土を広げる唯一の手段は,スターゲートを構築するための船を送り出すことでした.最も新しいゲート構築船は光速度のおよそ30%で航行することができました.これはすなわち,10光年離れた星に辿り着くのに33年掛かるということを意味しています.それゆえ,ゲート構築船のクルーは目的地に近づくまでの航行期間中は極低温の冷凍休眠状態におかれることが一般的でした.
(*1 inter-stellar warp drive technology)

1世紀以上も前,まだ操艦カプセルや自動衝突回避システムといった技術も無かった頃,その当時Ouperiaと呼ばれていた無人の星系に向かってGallente連邦のゲート構築船が出発しました.OuperiaのスターゲートはPeccanouette一帯とPatrie周辺を直接繋げることができるだけでなく,豊かなアステロイド資源ももたらしてくれるはずでした.ゲート構築船はOuperia星系から約12光年離れていたVillore星系から出発し,見積もられた移動期間はおよそ40年でした.このゲート構築船のクルーは,わずかエンジニア5名のみでした.ドローン技術により実際のゲート構築にはそれほど人手は必要とならず,その昔,数十名の作業クルーを必要としていた時代と比べて格段に少人数で済んだのです.

ゲート構築船が出発してから5年後にその災害が降りかかりました.深宇宙空間を航行中に,巨大なアステロイドが船を直撃したのです.船体は破壊され,極低温装置は深刻なダメージを受け,5名のクルーのうち4名は死亡しました.ただ一人,完全に壊れる前に装置から覚醒することができたクルーは,名をCeul Darieuxと言い,彼はドローンのオペレータでした.

Darieuxが覚醒してまず直面した問題は「何を食べるか」でした.重量やスペースの節約のために,船上にはまったく食物が積まれていませんでした.本来ならクルーは覚醒後に小さな温室バルブを展開し,そこで食用植物を育てる手はずになっていました.しかし,このバルブに光と熱を供給するためには恒星光を必要としていました.要するに,どの星からも遠い深宇宙空間ではこの温室バルブは全くの役立たずでした.生きるのに必要不可欠な水も有りませんでしたし,何より船内の酸素も欠乏し始めていました.何もかもが全く思わしくありませんでした.アステロイドは船の中枢まで甚大な被害を及ぼしていて,重要なシステムは殆ど破壊されていました.貨物庫は特に酷い打撃を受けていて,破壊された瓦礫と小惑星の破片で酷い有様でした.

これらの数々の死活問題に,Darieuxは自分のエンジニアリング技術を駆使して立ち向かいました.彼はまず,燃料タンクを改造することから始めました.目的地で減速するために,船には推進燃料が積まれていて,これらは幸いにも無事でした.液体水素と液体酸素で満たされた燃料タンクをいじることは爆発の危険も伴って非常に危険でしたが,彼は根気強く,そして注意深く作業を進め,遂にこれらを抽出して反応させることに成功しました.つまり,当面の水と酸素を確保したのです.次に彼は船の中に散乱していたあらゆるガラスの破片と金属片を溶接し,巨大なレンズを作り出しました.これにより,どうにか小さな温室バルブ1基分の熱と光を遠い遠い星々から集めることができました.バルブ1基で彼一人が食べて行くには十分でした.また,温室バルブを有機肥料分解タンクとも連結して,とりあえず有機サイクルを生み出しました.すなわち,彼はどうにか自分ひとりが生き延びていけるだけの小さなエコロジーサイクルを作り出したのです.

当面の生命の危険を回避すると,Darieuxは次に船の針路を調整する必要に迫られました.アステロイドの衝突により船の針路はほんの僅かにズレたに過ぎませんでしたが,果てない宇宙空間を亜光速で進む船にとって,この僅かなズレは最終的にOuperia星系を数十億キロメートル以上離れて通り過ぎてしまうであろうということを意味していました.燃料は無事だったものの,船の推進システムは修理不可能なほど破損していました.このままでは,船は制御不能なまま宇宙空間を永遠に突き進むことになってしまいます.時間が経てば経つほど,船は目的地から外れていくことになるので,彼は新しい推進システムを作り出すことに早々に見切りを付けました.Darieuxはもっと巧妙な方法を選んだのです.彼は装備されていた戦闘ミサイルを船の一番装甲の厚い部分に揃えて向け,発射角,爆薬量,衝突速度を慎重に計算した上で一度だけ発射しました.こうして爆発の衝撃により,彼はどうにかして船を正常な航路に向けることができました.彼は当初,完全に元の航路に戻すまでの弾道計算を行ったのですが,それを完璧に実現するにはミサイルの弾数も足りず,船体装甲もまた耐えられないだろうことを直ぐに理解したのです.

こうして,出来ることをやり尽くしてしまうと,Ouperia星系まで数十年にも及ぶDarieuxの永い旅が始まりました.彼はこの年月の大部分を,貨物庫に散らばっているがらくたを用いて作れるドローンをデザインすることに費やしました.不幸中の幸いと言うべきか,衝突したアステロイドには大変貴重な鉱物 "megacyte" が豊富に含まれていました.珍しい性質を持つmegacyteは複雑なロボット工学の実現と高度なドローン製造に極めて有益だったのです.
長い旅路の中,無重力空間での生活からDarieuxは独創的で斬新なドローン製造手法を編み出しました.また,原材料にも限りがあったにも関わらず,彼が狭い船の中でこの間に設計したドローンの性能は大変優れていて,実際,彼の設計したドローンの素晴らしい性能は今なお,越えられてはいません.

アステロイドの衝突事故とミサイルの爆発が原因で失速していたゲート構築船は,当初のスケジュールから遅れること10年,ようやくOuperia星系内に突入しました.Darieuxは,数年に渡ってただこの時のためだけに,船を減速させるための幾つかの手法を発明していました.主な原理は,星の重力を利用したスイングバイによる減速です.船の推進システムは壊れたままでしたが,Darieuxはすでに姿勢制御スラスタの幾つかを復旧させることに成功していました.彼は残っていた燃料を残らず注ぎ込んでスラスタを吹かし,星系内をジグザグに航行しながら,惑星や月に近づくたびに重力を利用して徐々に速度を落としていきました.時には手作りのシールドで船を保護しながら惑星の大気圏に突入することすら行いつつ,ゆっくりと減速していったDarieuxは,こうして再び深宇宙に飛び出していってしまう事をどうにかして防ぎました.

このとき既に,Darieuxは老齢に達していました.彼の痩せた肉体は余りにも長い間無重力状態にあったために衰えていました.それでも彼の心はまだ強く,目的地に到着してもなお,不屈の闘志を燃やしていました.アステロイドの衝突事故の際に必要だったことは生き延び,Ouperiaに到達することでしたが,しかしOuperia星系に到達したからと言って助けが来るわけでは全くありません.彼の運命は彼自身で選び取らなければならず,彼が再び人類とまみえるために出来ることは,たった一人でスターゲートを構築することだけでした.

スターゲートを構築するための資材や機器は,殆ど見分けが付かない程に破壊されていました.Darieuxはまず,資材を生産するロボット達を増やすために,ドローン工場をゼロから考案し,設計し,構築するところから始める必要がありました.彼は活動拠点を主恒星と小さな褐色伴星の軌道共鳴地点に位置する大き目のアステロイドに定めました.Darieuxはわずかな彼の忠実なドローンだけを頼りに,このアステロイド上に小さなドローン工場を建設しました.それからおよそ5年の歳月の後,彼は数々のドローンを駆使して,遂にたった一人でスターゲートを建設することに成功したのです.

もちろん,これはEVE史上でも最難関を切り抜けた個人の偉業の一つに違いありません.Darieuxがこれを為しえたとき,彼は既に白髪,しわしわの顔,震えるようになった手...実に80歳になっていました.

すっかりボロボロになったゲート構築船が,ふいにワープアウトしてきた時の,Villore星系のスターゲート管制センタの驚きと喜びを想像して下さい.半世紀以上前にとうに失われたと思っていた同胞が,輝かしい偉業を達成して帰還したことは直ぐに全国民の知るところとなり,Darieuxは一躍世間の脚光を浴びる英雄になったのです.彼はまた,50年以上に渡ってこつこつと作成した秀逸なドローンのブループリントを元に「CreoDron」社を立ち上げました.残念なことに,彼は帰国後数年で亡くなりました.半世紀以上に渡る無理な航海により,彼の肉体と内臓は限界に達していて,クローニングを施すには余りにも脆弱過ぎたのです.

けれども,Darieuxの偉業は今日でも輝きが衰えることはありません.CreoDron社はEVEの世界で最大のドローン製造企業であり,彼の生み出したドローン設計は今なお業界最先端にあり続けています.
彼が人類に遺してくれた偉業を称えるために,かつてのOuperia星系は,今では「Old Man Star」と呼ばれているのです.


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訳者蛇足:
対向地点すら必要としない「恒星間ジャンプドライブ技術」がEVEの世界で実用化したのはつい最近のこと.(これの簡易版がRecon shipが生成するCynosural fieldってアレ.)
それまでは「ワープするための向こう側」を作りに行く最初の一隻は大冒険だったというお話.Amarr帝国とかでは以前に送り出したゲート構築船がまだ沢山あって,今も遠方宇宙に向けて航行中だという設定になっている.

実際のOld Man Star星系は都会Highsecに隣接するLowsecの一つでもあり,Domain:Mai星系なんかと共にPvPerの腕磨きの場として利用されていたりもする.

# CA着.暫く忙しくて更新できません.
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The vicious cycle(公式訳)

Copyright © CCP
(原文)

●The vicious cycle
悪循環

それが一巻の終わりだった.カプセルが壊されて割れると,恒星光の直射に曝(さら)された皮膚は即座に燃え上がった.痙攣しながら身体は膨れ上がり,唾液は乾いて口の中で沸騰し,意識が薄れ,あっと言う間に死が訪れたってわけ.そして遺体はフリゲートの瓦礫と一緒に宇宙空間を漂うことになっちまった.殺った方の当人は,その時まだポリス艦とチェイスしてたけどね.

ことの始まりは他愛も無かった.連邦領を航行中のGallenteのフリゲートが二隻,たまたま出会ったんだ.二人は最初は愛想よく駄弁ってた.一人は無邪気な新米(rookie)で,もう一人はもう少しベテランっぽかった.そして惨事は唐突に起こった.二人はいつの間にか口汚い口論になっていて,脅しと罵り合いが繰り広げられた.やがて口論が止み,それは武器での「語り合い」になったのさ.こうなりゃもう新米君に勝ち目は無かったね.けれどここは連邦領内だってことを忘れちゃいけない.当然ポリスがすっとんで来たんだが,残念なことに新米君を救うにはちっとばかし遅くてな,上の通りさ.でもまぁ,警察ってのは至って厳格だ.領内の犯罪者は見逃しちゃくれない.法の裁きの下,目には目を,歯には歯をってね.新米君を殺ったベテラン氏もまた,結局は彼と枕を並べて,いや遺体を並べて,星屑の一つの仲間入りをする破目になったってわけ.

さて,それでも彼等は二人とも生きている.まさしくこの瞬間に,彼等はそれぞれ真新しい身体の中で「お目覚め」なこったろう.彼等はまたいずれ宇宙のどこかでばったり出くわすかもしれないが,その時は新米君も今よりはもうちょっと権謀術数を学んでることだろうな.

それに...実は話はこれで終わりじゃない.世の中ってのは上手く出来ててね,二つの遺体を見捨てちゃ置かない.彼等の氷付けの遺体はもう一度,ちゃんと無限の輪廻の環に戻されるんだ.
ほら,警察艦隊が星々の彼方に消え去るや否や,現場に一隻の不審船がにじり寄って来た.不審船は素早くサルベージドローンを展開して,もはや命の宿っていない凍てついた遺体を引っ掴んで「誘拐」すると,足早に現場を離れて行った.分かっちゃいると思うが,警察に撃墜された犯罪艦の残骸を,しかも遺体を盗むなんてそりゃ重大犯罪だ.でもまぁ,今頃,奴は二体の「お宝」を積んでとっとと連邦領をワープで脱出しているだろう.行き先は外宇宙のどっかにあるはずの非合法クローニング施設だ.そこじゃ高級な「Aグレードバイオマス原料」がどんな不正な手段で運び込まれたかなんて,誰も気にしないだろうからな.
まぁこうして,生命の輪廻は繰り返されるってわけさ.


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訳者蛇足:
Frozen corpseの話.どうしてこんな話になるのかは,クローンの話カプセルの話を読むと分かる.ただし実際のEVEではNPC警察にPodまで成敗されることは無い,はず.
「ベテランっぽい」人はHighsecでうっかり先制攻撃はしないと思うけれど,Lowsec帰りの血気盛んな人だったのかしら.でもそれよりも,個人的には不審船が使う「salvage drones」がとても気になる.あるならmococoも欲しいんだけど...

ちなみに原文は-(ダッシュ)や:(コロン)や;(セミコロン)で単語を繋げただけの,文章というより呟きみたいなシロモノ.訳し辛かったので口語調にしてみた.
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Power politics(公式訳)

Copyright © CCP
(原文)

●Power politics
権力政治

Souro FoiritanがGallente連邦 大統領の5年の任期の座に着任したとき,彼がまず最初にやったことは,革新党(Progressive Party)の中から彼の政敵達を除名して追い出すことでした.次に貧民や困窮者に対する食料助成金に関する法案を否決しました.これが終わると彼は激務だった大統領選の選挙運動の疲れを癒す必要があるのだと言って「豪華レインボーゾーン 宇宙遊覧2日間の旅」ツアーに出かけてしまいました.政敵や各国の駐在大使から軽蔑と冷笑を受けた,こういった奇天烈(bizarre)な大統領の言動は,就任以降3年経った今も変わらず,それどころかますます派手になりつつあります.一連の奇抜な言動にも関わらず,Souro Foiritanは連邦史上最高の人気を誇る大統領でもあります.幾度と無く報じられる彼の愚行も,公的調査による大統領の圧倒的な支持率にはいささかの影響も及ぼしていません.(最新の調査結果では支持率85%)

この理由は明快で,数々のおどけた言動にも関わらず,実際にはFoiritan大統領は抜け目が無く,理知的な政治家でもあるからです.彼はカリスマで,楽天的で,率直な人柄ではありますが,同時にGallente人の生活向上や,連邦の国益拡大に関してはこと非常に厳格で,スタッフや自分自身に対しても一切の妥協を許しません.彼の政敵達も,Foiritanの大統領としての素晴らしい仕事振りに関してはしぶしぶ認めざるを得ないところなのです.

今までの大統領と違い,Foiritanは非常に主体的な大統領でもあります.彼は革新党の代表として立候補しましたが,当選以後,彼は意識的に党と距離を保つようになりました.(当然,彼は今でも革新派です.) 着任早々,彼は党からライバル達を一掃し,党の幹部等によって徒(いたずら)に踊らされる「ただの操り人形のような大統領にはならない」ということを明確に示しました.最近では自ら政治団体を結成するに至り,Foiritanは誰からも束縛を受けない確たる大統領であるという印象を更に強めています.しかしながらFoiritanはまた,民主主義における大統領という立場は砂上の楼閣に過ぎないということも十分に承知しています.特に人種,信教,経済的立場も雑多で移り気な気風の連邦では,たった一つ施策を間違えただけで,それが命取りになることもあるのです.

Gallente連邦における民主主義統治は大変開放的です.大きな問題を審議する場合には,大統領や上院だけで決めるのではなく,国民投票が行われることも一般的です.これはかつてロビー団体が重要な議題を審議する際に世論を利用する方法として推し進めた手法の名残りですが,Foiritan大統領は過去に何度か,圧倒的な支持を背景にこの国民投票を利用することで,上院の反対を押し切って難しい政策を実現してきました.(実際には大統領の思惑自体よりもプロパガンダ活動の方が世論に対する影響力は強いのですが.)

FoiritanはGallente人の気質というものを非常によく理解しています.Gallente社会はいわゆる資本主義的であると言われることがありますが,後に形成されたCaldariにおける資本主義と,Gallenteにおける資本主義とは根本からして異なっています.Gallente人にとって「富を築く」ということは個人個人が行うべきことなので,誰かと比べて個人が裕福になるかどうかということが一番重要な問題となります.一方のCaldari人にとっては,国家の経済活動が大企業によって完全にコントロールされているため,個人が富を築くことよりも,自分の会社が競争に勝ち抜けるように作業効率や市場占有率を高めることの方が重要となります.(勿論,Caldariにおいても企業の利を追求した結果,個人が富を得ることはあります.) この違いゆえ,Gallente人の「大勢の幸せより個人の富」というビジネスモデルはCaldari人とは全く相容れないのです.このGallente人の気質をFoiritanはよくわきまえていて,実際には誰も嬉しくならない包括的な解決法案を打ち出すよりも,たとえ少数であっても誰か「個人」を利する法案の方が受けがよいと知っているのです.

この問題について,Foiritanは第二政党である社会民主党(Social Democrats)とよく争っています.社会党の党首であるMentas BlaqueはFoiritanを目の敵(かたき)にしており,大統領と現政府の打ち出すあらゆる施策を貶(けな)し,反対しています.社会党は全ての人々は社会的に平等であるべきであり,連邦政府は下層社会を援助することを最優先すべきであると主張しています.Blaque上院議員はFoiritan大統領の個人主義的アプローチを酷く毛嫌いしており,これは下劣な政治的駆け引きであり,もっと言えば不正であるとすら考えています.

最近の論争は,非居住(住んでいる人の居ない)惑星の法律上の所有権に関する議論です.大統領と革新党が個人に所有権を分配するべきであると主張しているのに対し,社会党は惑星を連邦の所有物にすべきである(連邦の国家探査船が発見し,国がスターゲートを構築した場合)と主張しています.また社会党は,連邦が惑星の植民移入と開発の権利を管理することで税収を賄うことができるとも述べています.この件では,大統領派は労働組合の支持(伝統的にMinmatar移民の力が非常に強い)を期待しており,Blaqueと社会党は下層階級の支持を期待しています.この問題は現在まだ政府内で議論されているに過ぎませんが,国民の多くは,遅かれ早かれ,いずれ国民投票に持ち越されるだろうと予想しています.また,人々は連邦内の多くの関心を集めているこの論争の行く末如何によっては,大統領の人気も今回限りとなるかもしれないと考えています.


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訳者蛇足:
帝国皇帝が出てきたので,今度は連邦大統領の話.ちなみに昨年(108 EST)10月に行われた連邦大統領選において,2兆8千億人のGallente国民による投票の結果,Blaque上院議員の猛追を僅差でかわして彼は再選を果たした

2万年経っても合意制政治の腐敗は変わらないらしい.Caldariもなんだかディストピアっぽい書かれ方だし.ま,SFと社会風刺は得てして表裏一体なんだろうけど.
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The Titans(公式訳)

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(原文)

●The Titans
タイタン

Amarrの古典に記されしBeast of Heaven(天国の獣),その名を「Imud Hubrau」と言う.Gallenteの伝承に伝わりしSun Slayers(星を屠る者),その名を「Soltueurs」と言う.これ等の伝説上の怪物は総じて「Titans(タイタン)」として知られている.そしてこの名は,今まで建造された中で最も巨大な宇宙艦に冠された名称でもある.

Titanと呼ばれるような宇宙艦規模になると,その建造に必要な技術力,必要な資源,必要な人材,必要な費用ゆえから,実質的には巨大国家のみが所有可能だと言ってよい.Titanの建造には数十年,時には百年以上もかかり,最初のTitanとして知られるJove人の3隻の母船の建造開始は,実に近代宇宙航行技術が確立される以前にまで遡る.この3隻は今でも改修され続けており,3隻のうち1隻は常に何らかの改修のために戦列から離れている.

Titanの存在価値は筆舌に尽くし難い.一度(ひとたび)戦闘が起きれば,旗艦としての機能は勿論のこと,機動要塞として司令部そのものを担うことも出来る.しかし実際にはTitanがただ「そこに存在する」ということだけですら戦争の流れを全く変えてしまう.Titanの備える圧倒的な火力と,優に数メートルを超える分厚い装甲はさて置いても,この要塞は複数の艦隊を丸ごと船内に格納し,星系間を自在に輸送することができるのである.Titanの持つ驚くべき質量は,近隣を航行する小型艦がその重力張波(*1)に捕らわれる程で,Titanの航行は惑星の潮汐に影響することすらある.
(*1 the gravity bow-wave)

過去には実際,これを顕著に示す事件が起こった.ゴーラル(カモシカの一種)の牧畜を営む小さな惑星の軌道近くをGallente連邦のTitanが横切った際,Titanの大質量が惑星の潮に突然の変化を引き起こし,洪水が起こって畑と牧草地が押し流されてしまったのである.食料生産の減少は惑星全土に影響し,主たる産業を農作・牧畜に頼っていたこの惑星では暫くの間,物価の高騰と深刻な飢饉に悩むことになった.この事件以来,Titanの航行システムには十分な安全機能が組み込まれるようになり,惑星近傍を航行することはなくなっている.

最も裕福かつ強大なAmarr帝国では,近年,更なるTitanの建造が推し進められた.惑星探査時代の到来と共に豊かな資源を持つ新しい星系が次々に発見されたが,帝国は,これ等の惑星や衛星(月)の資源を最新の軍備拡充に用いることを決定したのである.Amarrの各企業が過剰なまでの惑星採鉱を繰り広げた結果,これ等の新星系の資源は僅かここ十年足らずで掘り尽されてしまった.幾つもの惑星を荒廃に追い込み,数万人のMinmatar人奴隷の命を犠牲にして,帝国のTitanは完成したのである.


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訳者蛇足:
[-LV-]の保有するAvatar級Titanがたった一撃で215隻の敵プレイヤーを屠った話は有名.確かに強力だけど,建造コストや必要スキルはかなり途方もない.mococoが知る限り,プレイヤーの手によるTitanは今までわずか7隻(2隻既沈)が就航したに過ぎない.

Titanの話題はEVEの開発当初からあった.実はこのバックストーリが書かれたのは2002年4月.EVEの正式発売がこれより後で2003年5月,Titanがゲーム内に実装されたのは2005年12月.最初にプレイヤーが建造したのが昨年11月で,最初に撃沈されたのが昨年12月.世界設定も遠大だけど,EVE自身の歩みもまた長い.
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Kiss of the Soul(公式訳)

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(原文)

●Kiss of the Soul
魂の口づけ

15名のPrivy Council(枢密院)のメンバーが,その惜しげもなく飾られた壮麗な部屋に順番に入室すると,円卓の中央には既に皇帝が着座していました.皆が卓に着席し終えると,宮廷執事が形式通りに議会の開会を宣言し,議題を読み上げ始めました.メンバーのうち幾人かは熱心に,また幾人かは無関心にこれを聞いていました.皇帝はと言えば,座席に深く沈みこんで老いた頭を胸にうずくませ,もはや起きているのか寝ているのかも定かではありませんでした.

皇帝(と執事)以外の枢密院の全てのメンバーは,形式上,帝国のみに尽くすべく責務を負った貴族ないし官僚であること,とされています.しかし実際には各メンバーはそれぞれ政治組織と強い繋がりを持っています.一つの政治組織が余りにも強大な影響力を及ぼすような事態にならない限り,このことは暗黙の了解とされてきました.長い年月を経るうちに,各組織がそれぞれ一定数の議席を確保し,議席が空いた場合は該当の政治組織が次の候補者を指名する,という形態が定着してしまいました.議席数の変動が殆ど無いということは各組織の勢力が均衡しているということを示していますが,実際には選出されたメンバーが議会の中でどれだけの発言力を持っているかによっても影響力が大きく変わります.

この日最初の時間は通常国政にまつわる議題に充てられました.執事が帝国内各地,そして大使館から届いた現状報告書を読み上げ,諸国との取引や協定,会計上の課題,社会問題などに関して議論が成されました.正式手続きの承認などの一通りの問題が片付くと,議題は個々別々の細かな問題に移りました.予想通り,議論を取り仕切ったのは発言力を持つ有力メンバー達でした.すなわち皇后の従兄弟で「大声の」Afrid Sarkon,"Ministry of Internal Order"から派遣された「狡猾な」Sin Callor,"Theology Council"の高助祭で「我の強い」Moritok,帝国首相の代理人で「舌鋒の」Zach Dormondan,等です.

議題の一つに,Semouの領主からの報告がありました.この報告は最近Semou周辺で活動が活発化しているBlood Riderに関してのもので,このままでは嘗てのBleak Landsの辺境地域のようにSemouもいずれBlood Riderの支配に屈するか,従わなくば破壊され焦土にされてしまうだろう,という危機を訴えると共に,この脅威に対抗するための宇宙艦隊を編制する許可を求めていました.議会の大多数がSemou領主の言い分を認め,この厄介な問題に対応すべく許可を出すことに合意し,宮廷執事の役職にあるKarsothが議論をまとめていた時のことでした.

幻想の縁を彷徨っていると思われていた皇帝の不意の発言が皆を驚愕させました.

「それはならぬ.」
皇帝の声は彼の衰えた肉体に似合わず,力強いものでした.

「余はAmarr正規軍以外の如何なる者にも,宇宙での武力を持つことを認めぬ.地方領主に武力を持たせるは,行く行く将来に危険の種を撒くことと同じよの.」

枢密院のメンバーはとっさにどのように反応してよいか分からず,居心地悪く座り直しました.皇帝がこのように議事に干渉してくることは久しくありませんでした.勿論,皇帝にその権限が有ることは疑うべくもありません.しかし自分達の手で日常的な国務を執り行うことに慣れていたメンバーは,皇帝によるこの突然の介入がこの先も続くことなのかどうかを心配しました.もう数十年も前から,皇帝は自らの内なる世界に没頭し始めたように思われていました.枢密院のメンバー達は皇帝が国政に不干渉になったことをむしろ喜び,自分達の権力を伸ばしてきたのです.今,彼等の心配の大部分は国政そのものではなく,彼等が意のままにしてきた権力が皇帝の突然の「復活」により取り上げられてしまうのかどうかということでした.

短い沈黙の後,Karsoth執事が敢えて意見しました.
「お,恐れながら陛下,Semouは危機的状況にあります.我等が思い切った決断を下さなければ,悪しきBlood Riderの手によって数千人の人々が苦しむことになるかと.」

「地方の領主は地上軍を持っているであろうが.しかし,余は彼等が宇宙軍を持つことは制限したい.Semouの件はAmarr正規軍に当たらせよう.それともよもや,余はそなた等に「個々臣民の益よりも帝国全体の益を優すべし」ということを改めて思い出させてやる必要があるのではあるまいな?...もしそうならば,皆が思い出すまで,そなた等の誰かを見せしめに懲らしめねばなるまいて.」

皇帝が口を閉じると,戦慄が空気を震わせました.Karsoth執事は蒼白になって何か弁解を述べたようでしたが,その声は低くどもっていて誰にも聞こえませんでした.

残りのメンバーはお互いの伏せた顔を盗み見合いました.皇帝が精力を取り戻したのだと確信するにつれ,皆の顔には一様に畏怖と焦りが浮かんでいました.「狡猾な」Sin Callorはそれでもなお,微笑をたたえたまま額に当てた手の奥から皇帝を観察していました.しかしほんの一瞬の間,皇帝と目が合った彼は,我にもあらず背筋が震えるの感じました.皇帝の目を見た彼は,皆が囁いている皇帝の「復活」は真実であると瞬時に悟ったのです.


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訳者蛇足:
老いてなお眼光鋭かったAmarr皇帝Heideran VII世のお話.人気沸騰本「Pax Amarria」の著者でもある.でも彼はこの直ぐあと105 ESTに崩御した.タイトルは「pax == kiss of peace(主の平和は共に)」と掛けたのかな.
Amarr皇帝への呼びかけは分かりやすく「陛下」って訳したけど,原文では"your Imperial Majesty"じゃなくて"most exalted one"となっている.正しく訳すなら「最も崇高なる御君」くらいな感じ?

そういえば,devblogでは4/1に合わせてこんなニュースが出ていた.うーん,待ちきれない :p
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