NPO神奈川県日本ユーラシア協会 日本とユーラシア~ダイジェスト版~

神奈川県日本ユーラシア協会で毎月発行している機関紙「日本とユーラシア」から、ユーラシア芸能情報をお伝えします。

ユーラシア音楽芸能情報'12.04

2012-04-05 00:00:00 | ユーラシア芸能
 ロシアと近隣諸国の音楽を中心とした芸能情報を紹介するコーナー「ユーラシア音楽芸能情報」を発信中!(^_^)v

 ロシア大統領選がひと段落。国際女性デー前日である3月7日。ロシアテレビの特設会場でユーロヴィジョン2012の露代表を決める代表選が開催された。今年は意外なグループがロシアから出場しますよ・・・・。

音楽産業界の寵児たちの転落
 国際女性デーの前日である3月7日夜。ロシアの公営テレビ「ロシア1」でユーロヴィジョン2012ロシア代表選があり、25組が出場した。中でも、'08年にユーロヴィジョンで優勝したジーマ・ビランと、'03年にユニット時代で3位入賞したお騒がせデュオ、タトゥのヴォルコヴァ(黒髪の方)がタッグを組んだことは、視聴者をひときわ驚かせた。彼らは「」という歌で出場し、もちろん優勝候補のひとつとして挙げられていた。それからヒップホップ界の王チマチとオペラ界の歌姫アイダがやはりタッグを組み「Back To Her Future」という楽曲を披露。いつもはピンのこの人たちが男女デュオで挑んだのは恐らく、ユーロヴィジョンで上位についた組の傾向であろう。2009年3位についたアイセル&アラッシュ(アゼルバイジャン代表)は男女デュオ、2010年3位についたセイリング&オビ(ルーマニア代表)は男女デュオ、'11年アゼルバイジャンを優勝に導いたエル&ニッキも男女デュオだった。これを勝利の法則とみたのだろう。

 結果発表。25組ほとんどが横並び一線の結果が続いたが、ビランとヴォルコヴァは29.25%を獲得。この2つ後にチマチとアイダが発表されるも26.74%。2.51%という僅差でビランとヴォルコヴァは勝利に酔いしれ始めていた。

 でもこの更に後に、2組をショックに陥らせる瞬間が待ち構えていた。

 最後から2番目に登場したブラノフスキエ・バーブシュキ。ロシア連邦内ウドムルト共和国ブラノボ村からやって来た8人組のお婆ちゃんたちだ。赤い民族衣装で身を包みエスニックポップスを歌う。実は'10年のロシア代表選にも出場し、3位を獲得した経験を持つ。世界的な実力は勿論未知数だし、なにせメンバー皆高齢という、ユーロヴィジョンでは極めて異色の存在だ。彼女らが歌った「Party for everybody」の結果が発表される直前から、観客総立ちで大声援。こんなこと、他のアーティストの結果発表にはなく大きいものだった。そして結果発表、38.51%という最高点を獲得した。ビランらの得点を10%以上軽がる越え、意表を突いてロシア代表となったのだ。

ロシア国内外を席播きするお婆ちゃんたちと勝因
 国内最大SNSフコンタクテには既にお婆ちゃんたちを応援するコミュニティがいくつも出現し、合計13000名の参加者が集まっている。サーチエンジンでブラノボ村のお婆ちゃんを検索すれば、彼女らの記事が日々更新されて現れる。

 おとなりウクライナでは先にウクライナ代表となったガイタナ。彼女はインタビューで「私もお婆ちゃんに入れたかったな~」と好感もって応援。欧州でも、フィンランドのとある誌では「感じの良いお婆ちゃんたち」と高評価。英国ブックメーカーは、上位につくと予想している。

 どうしてビランらに大差をつけて優勝したのか。新聞雑誌ネットなど様々な媒体を見て感じたのは、感じのよさだ。ステージをおろおろ(これは計算ずくか?)しながら歌って踊るその姿を見て、「かわいい~♪」「頑張って~♪」「お婆ちゃん面白い♪」「お婆ちゃん万歳♪」とかいう声援が目立った。歌を聞いているというより見た目なのだ。また「ビラン&ヴォルコヴァ&チマチにはうんざりだ」「あいつ何回ユーロヴィジョンに出る気でいるんだよ。いらんよ。むかつく」「またプーチンで情勢は変わらないしうんざりだからお婆ちゃんに入れたよ」という声もあった。プーチン時代に平行するグラマラスな露ショウビズ界をラップさせ、現状から抜け出したい気持ちの表れなのかもしれない。

 まあ勿論「ロシアに古くから伝わるエスニックがいいから。ショウビズソング興味ないから」というまじめな視聴者もいたろうが、選ばれた理由は総じて「感じのよさ」であることなのだ。露ショウビズ界の敏腕仕掛け人も、そんな彼女らに注目し始めている。

 たとえ大きさの異なる小さな波でも、波同士が重なると時として大きな波になる。そんな物理の世界にある法則が、今回ショウビズ界で当てはまったのではないだろうか。

盗作疑惑にお婆ちゃんたちヒヤリ!
 お婆ちゃんたちの歌「Party for everybody」は、露ショウビズ界の名音楽プロデューサー・ドゥロービシュ氏によって作られた、ウドムルト語と英語がミックスされた楽曲。実は現在、盗作疑惑がかけられているのだ。メロディはカリノフ・モスト(Калинов Мост)の「Блеснет」を、リズムはイタリアの伝説的歌手イングリッドの「Tue s fortu」に似ているということで、メディアがその行方を連日伝えている。もし盗作と判断されれば、お婆ちゃんたちの出場はなくなり、代わりに代表選で第2位となったビランとヴォルコヴァが出場するらしい。

 私個人の意見では、楽曲を変えるだけでいいのではないかと思うが。実際数年前、ウクライナから出場した女性歌手が自ら手がけた楽曲が盗作と判断されたので、急遽楽曲を変更したではないか。38.51%に込められた気持ちと期待を、裏切ってはならないというか、視聴率が落ちるではないか。ユーロヴィジョンの歴史の流れを変えるかもしれない大変な起爆剤を、私も応援したいと思っている。5月アゼルバイジャン・バクーで開催されるユーロヴィジョン2012が待ち遠しい。「お婆ちゃ~ん♪頑張って~♪」

ブラーノフスキエ・バーブシュキ公式サイト http://www.buranovskiebabushki.ru/



▲ユーロヴィジョン2012ロシア代表選結果発表の模様。ブラーノフスキエ・バーブシュキの優勝曲が最後の方で聴けます。



▲メロディ似てますか?カリノフ・モスト「Блеснет」



▲リズム似てますか?In-Grid「TU ES FOUTU」

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