飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

2018年:プーチン大統領とトランプ大統領の関係はどうなるのか?

2018年01月01日 09時27分41秒 | Weblog
新年明けましておめでとうございます。
今年もこのブログをご愛顧のほど、宜しくお願いします。

    2018年1月1日    飯島一孝

一触即発の北朝鮮情勢が続く中、新年が明けた。肝心の米露関係は依然不透明だが、今年3月に最後の大統領選を迎えるプーチン大統領は、新年の祝辞の中でトランプ大統領に「実務的協力」を呼びかけるなど、柔軟な姿勢を示しているように見える。一方で、中東ではシリア問題で強硬な態度を変えず、今年も米国の一強体制に対抗していく姿勢は変わっていない。

一方、トランプ大統領は支持率の低下が止まらず、支持者がどんどん減っていく中で、これまでの強い姿勢に揺らぎが目立ってきた。対露関係でも、これまでのような強硬一点張りではやっていけない状況に追い込まれつつある。当分、内政状況の変化をじっくり見ていく必要がありそうだ。

これに対し、昇り竜の中国は習近平体制が確立し、対米、対日関係でさらに強気になっていく可能性が高い。特に対日関係では、軍備増強を背景に日本に対するプレゼンスを強めてくることは間違いない。安倍政権としては、米国に一層寄り添う形で中国の攻勢を押しとどめる考えで、米国への従属関係が強まることは避けられないだろう。

その結果として、日本は安全保障面でロシアの反発を招き、対露関係で厳しい状況が生まれつつある。早くもロシアは日本が米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入を決めたことに対し、深刻な懸念を表明、「平和条約締結交渉を含む日露関係に悪影響を及ぼす」と警告している。さらに、ロシアは「米露間の中距離弾道弾全廃条約に違反しており、日本も共犯とみなす」と批判を強め、「日露関係の悪化を招く」とまで指摘している。北方領土交渉の本格化を目指す安倍政権にとって、新たな障害が生じたことは明らかだ。

安倍政権は新年明けから中国との首脳外交を強化し、慰安婦問題でさらに悪化している韓国との関係改善などを進めたい方針だが、情勢は厳しいと言わざるを得ない。その一方で、中国などアジア諸国の反発を招くような憲法改正を推進すれば、ますます状況は悪化せざるを得ない。内政に足を取られ、動きが止まりがちなトランプ政権にこれ以上依存することも事実上できないだろう。

安倍政権としては、当面外交を重視してアジア諸国との友好路線を進め、憲法改正は党内外との調整にじっくり時間をかけるべきだろう。昨年の衆院選で自民党は大勝したものの、安倍政権自体はすでに国民から飽きられつつあり、これ以上国民感情を刺激すれば自民党総裁の3選はおぼつかない。日本では世論を軽視しては事は進まないことをしっかりわきまえるべきだろう。(この項終わり)


 
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